注目トピックス
Vol. 11. “字幕好き”の国、ニッポン
2001年2月6日
みなさん、「チャット」をしたことがありますか? わたしは、今まで、ハマるのが怖くて、あえて避けてきたのですが、最近ちょこっと手を出してしまいました。(^^;;) チャットでは、初めて知り合った人と話をしていて、話に詰まったりすると、とりあえず、お互いの職業について聞いてみたりします。
相手:「ところで、お仕事は何?」
わたし:「翻訳だよ」
相手:「何の翻訳?」
わたし:「字幕」
相手:「ええー、すごい!」
わたし:「い、いや、べつに、ちっともすごくないんですけど…。(^^;;)」
この連載の第1回目にも書いたんですが、どうして、みなさん「字幕翻訳」って聞いただけで「すごい」って言うんでしょう? 字幕翻訳者っていっても、ピンからキリまであるんだけどなあ~~。まあ、このエッセイの読者の方でしたら、わたしがいつも字幕翻訳の仕事のヒサンな実態を暴露(?)しているので、そこらへんは、よくご存知ですよね。
ちなみに、アメリカ人と話していると、正反対の反応が返ってきます。
アメリカ人:「お仕事は?」
わたし:「翻訳だよ」
アメリカ人:「何の翻訳?」
わたし:「字幕」 アメリカ人:「(とても気の毒そうに)あら…そうなの…それは大変ねえ」
そう、(多くの)アメリカ人にとって、字幕翻訳なんていう、しち面倒で、地味~な仕事をしている人は、とっても「カワイソウな人」なのです。それに、最近までアメリカでは、映画はもろん、書籍ですらも翻訳者の名前が出ることはめったになかったとか。(今も、明記されるケースは少ないそうです。)本の表紙にでかでかと翻訳者の名前が出たり、著名な翻訳家が講演会に、うら若い女性の方々が大挙して詰め掛け、サイン会が開かれちゃうなんていう国は、おそらく日本だけだと思います。
だいたい、アメリカでは「字幕翻訳」なんて嫌われています。欧米諸国では、劇場公開の作品でも、圧倒的に「吹き替え」が主流で、字幕で上映すると全然お客さんが入らないそうです。しかし日本は、映画を劇場で公開する際には、子供向けの作品をのぞいて、ほぼ全作品が字幕で公開されていますよね。以前、翻訳学校の先生に聞いた話ですが、何十年か前に「今後、映画はすべて吹き替えにしよう」という動きが業界内であったものの、映画ファンの猛反対によって中止されたそうです。
これだけ日本で字幕が支持されるのは、考えようによっては不思議な現象ではないかと思います。字幕を読んでると、俳優の細かい表情などに目がいきません。暗いシーンでは、まっ白な字幕ばっかり、でかでかと目立っちゃって、ムードなんかぶち壊しです。(映画監督は、絶対、歯がゆく思っているはず。)また、字数の関係上、セリフの情報は約3分の1程度しか伝えられません。フランス語などで、早口のセリフがあると、内容を10分の1くらいしか伝えられないこともあります。
それでも、字幕人気が根強いのは、やはり「俳優の声が聞きたいから」ということに尽きるようです。実際、わたし自身も、自分で映画やビデオを見るときは、つい字幕版を選んでしまいます。
このように、字幕派が多いためだと思いますが、日本の字幕は欧米に比べて、表示のルールなどが非常に厳しいことでも知られています。たとえば、字幕と音声のズレなどが生じた場合は、チェックの段階で厳密に修正されます。わたしは、字幕の翻訳と共にスポッティング(字幕の表示位置を1/30秒単位で指定する作業)の作業も一緒に請け負っているのですが、それがちょっとでもセリフの音声とズレていると、制作会社の人に「SIGGYさん、今回のスポッティングですけど、2フレームくらいズレていますよ。」なんて注意されちゃいます。
1フレームが1/30秒、つまり約0.03秒に値しますから、「2フレームのズレ」っていうのは、たった0.06秒のズレです。最初は「どうしてそんな違いが分かるんだあー!」とびっくりしていましたが、見慣れた人が見ると、すぐにズレに気づくそうです。最近、わたしも、テレビなどを見ていて4~5フレームくらい字幕がズレ ていると、「なんだか、ズレてて気持ち悪いなあ…」と思うようになりました。一種の職業病ですね。(^^;;)
一方、東京国際映画祭などで、英語の字幕の入った作品を見ると、表示の方法が実にいいかげんなのに気付きます。2人分の字幕を一緒に出しちゃったり(日本では絶対にご法度!)、字幕と音が1秒以上ズレてたり。日本に比べると、なんていうか…非常に「おおらか」なんですね。ちょっとうらやましいくらいです。日本で、1秒もズレた字幕を出してたら、大目玉です。何度も続けたら、クビになること間違いなしです。
しかし、日本って、これだけ字幕が好まれ、尊重される国なのに、なんで字幕翻訳のギャラって、こんなに安いんでしょう。あああ、納得いかないなあ…。(T_T)
おおっと! ついつい、(また)本音が出てしまいました。(^^;;) また愚痴モードになってしまったところで、今回は、さようなら~~。(^o^)丿
さあてと、収入アップを目指して、今月もがんばるぞー!
相手:「ところで、お仕事は何?」
わたし:「翻訳だよ」
相手:「何の翻訳?」
わたし:「字幕」
相手:「ええー、すごい!」
わたし:「い、いや、べつに、ちっともすごくないんですけど…。(^^;;)」
この連載の第1回目にも書いたんですが、どうして、みなさん「字幕翻訳」って聞いただけで「すごい」って言うんでしょう? 字幕翻訳者っていっても、ピンからキリまであるんだけどなあ~~。まあ、このエッセイの読者の方でしたら、わたしがいつも字幕翻訳の仕事のヒサンな実態を暴露(?)しているので、そこらへんは、よくご存知ですよね。
ちなみに、アメリカ人と話していると、正反対の反応が返ってきます。
アメリカ人:「お仕事は?」
わたし:「翻訳だよ」
アメリカ人:「何の翻訳?」
わたし:「字幕」 アメリカ人:「(とても気の毒そうに)あら…そうなの…それは大変ねえ」
そう、(多くの)アメリカ人にとって、字幕翻訳なんていう、しち面倒で、地味~な仕事をしている人は、とっても「カワイソウな人」なのです。それに、最近までアメリカでは、映画はもろん、書籍ですらも翻訳者の名前が出ることはめったになかったとか。(今も、明記されるケースは少ないそうです。)本の表紙にでかでかと翻訳者の名前が出たり、著名な翻訳家が講演会に、うら若い女性の方々が大挙して詰め掛け、サイン会が開かれちゃうなんていう国は、おそらく日本だけだと思います。
だいたい、アメリカでは「字幕翻訳」なんて嫌われています。欧米諸国では、劇場公開の作品でも、圧倒的に「吹き替え」が主流で、字幕で上映すると全然お客さんが入らないそうです。しかし日本は、映画を劇場で公開する際には、子供向けの作品をのぞいて、ほぼ全作品が字幕で公開されていますよね。以前、翻訳学校の先生に聞いた話ですが、何十年か前に「今後、映画はすべて吹き替えにしよう」という動きが業界内であったものの、映画ファンの猛反対によって中止されたそうです。
これだけ日本で字幕が支持されるのは、考えようによっては不思議な現象ではないかと思います。字幕を読んでると、俳優の細かい表情などに目がいきません。暗いシーンでは、まっ白な字幕ばっかり、でかでかと目立っちゃって、ムードなんかぶち壊しです。(映画監督は、絶対、歯がゆく思っているはず。)また、字数の関係上、セリフの情報は約3分の1程度しか伝えられません。フランス語などで、早口のセリフがあると、内容を10分の1くらいしか伝えられないこともあります。
それでも、字幕人気が根強いのは、やはり「俳優の声が聞きたいから」ということに尽きるようです。実際、わたし自身も、自分で映画やビデオを見るときは、つい字幕版を選んでしまいます。
このように、字幕派が多いためだと思いますが、日本の字幕は欧米に比べて、表示のルールなどが非常に厳しいことでも知られています。たとえば、字幕と音声のズレなどが生じた場合は、チェックの段階で厳密に修正されます。わたしは、字幕の翻訳と共にスポッティング(字幕の表示位置を1/30秒単位で指定する作業)の作業も一緒に請け負っているのですが、それがちょっとでもセリフの音声とズレていると、制作会社の人に「SIGGYさん、今回のスポッティングですけど、2フレームくらいズレていますよ。」なんて注意されちゃいます。
1フレームが1/30秒、つまり約0.03秒に値しますから、「2フレームのズレ」っていうのは、たった0.06秒のズレです。最初は「どうしてそんな違いが分かるんだあー!」とびっくりしていましたが、見慣れた人が見ると、すぐにズレに気づくそうです。最近、わたしも、テレビなどを見ていて4~5フレームくらい字幕がズレ ていると、「なんだか、ズレてて気持ち悪いなあ…」と思うようになりました。一種の職業病ですね。(^^;;)
一方、東京国際映画祭などで、英語の字幕の入った作品を見ると、表示の方法が実にいいかげんなのに気付きます。2人分の字幕を一緒に出しちゃったり(日本では絶対にご法度!)、字幕と音が1秒以上ズレてたり。日本に比べると、なんていうか…非常に「おおらか」なんですね。ちょっとうらやましいくらいです。日本で、1秒もズレた字幕を出してたら、大目玉です。何度も続けたら、クビになること間違いなしです。
しかし、日本って、これだけ字幕が好まれ、尊重される国なのに、なんで字幕翻訳のギャラって、こんなに安いんでしょう。あああ、納得いかないなあ…。(T_T)
おおっと! ついつい、(また)本音が出てしまいました。(^^;;) また愚痴モードになってしまったところで、今回は、さようなら~~。(^o^)丿
さあてと、収入アップを目指して、今月もがんばるぞー!
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