注目トピックス
Vol.36 ライター達のストライキが、テレビ界に投げかけた大きな波紋
2007年12月4日
アメリカのテレビ界は、現在戦々恐々としている。特に今後のスケジュールに関しては、上を下へのバタバタぶり。なぜなら、もうご存知の方も多いと思うが、テレビドラマやコメディ番組、そして映画のライターたちが揃って、近年まれに見る大規模なストライキを決行したからだ。
彼らがストライキを起した動機は、DVDやインターネットで上映されている分の脚本使用料の要求。大多数のプロダクションは、このライターの要求を拒絶する姿勢を見せているが、一部の俳優やレイトナイトショーのホストたちはライターたちを支持する声明を早々に発表。ライター+出演者と、雇用サイドの対立構造が確立していた。
大人気ドラマやトークショーが、次々と番組存続の危機に!
この一連のストライキにより、多くのドラマやコメディ番組は、スケジュールの変更を余儀なくされている。大きなところでは、昨年のエミー受賞作である『The office』や、今年でシーズン7を迎える『24』。昨年から始まった大ヒットドラマにして、私の月曜日の友であった『Heroes』も、わずか12話にして脚本切れ。なんと、2008年の訪れを待つことなく今シーズンのスケジュールを終えてしまうという憂き目にあっている。ストライキ開始当初は、一応物書きのはしくれとして「そうだそうだ! ライターはしかるべき権利を受けるべきであり、その権利を得るまでは断固闘うべきだ!」とサポート体制に入っていたワタクシめだが、お気に入りのショーが次々と終了していく段に入っては、「いい加減に人様に迷惑かけずに、キリキリと働かんかい!!!」と憤懣やるかたなくなっている次第である。
ライター以外の番組スタッフ間に生まれた確執……
この大規模かつ長期に及ぶストライキだが、開始から一月近く経ったにも関わらず、未だ解決の目処は立っていない。ライター達と雇用者達の話し合いは平行線をたどるばかりで、収拾ポイントは地平線のかなた。そうこうしているうちに、事態はさらなる局面を向かえ、新たな抗争をも招いていくのだった。レイトナイトショーのように日刊ベースで収録が行われているコメディ番組(『いいとも』のような物だと思って下さい)は、件のストライキ以降は番組の収録が一切できずにいる。その間、従来の番組の放送枠では再放送を流し、そしてライター以外のスタッフ達(カメラマンや音声さんetc...)は仕事にあぶれてしまっていた訳だが、ここにきて多くのテレビ局は、これら仕事にあぶれたスタッフ達への給料支払を止めてしまったのだ。これに対し、いくつかの番組のホスト(『いいとも』で言えば、タモリさん)は、自身の番組のスタッフ達に、自腹を切って給料を支払うという大英断を下す。規模の小さな深夜番組でもその人数は80人前後に及ぶというのだから、「番組のホストというのは儲かるものなんだな~」と、羨望の目を向けずにはいられない(感心すべきポイントは、そこではないかも)。
その一方で、もちろん「全員の給料を払うなんて出来ない」と、難色を示すホストもいる。その判断を、責めることなんて出来ない。そもそも、ストライキが始まったのは彼らのせいでは無いのだから。だが、ある番組のスタッフは金がもらえるのに自分達は仕事を失う……となった日には、やはりその不満の矛先は、自分が従事する番組のホストやボスに向けられることになってしまう。スタッフと番組ホストの信頼関係は瓦解し、「彼とはもう仕事をしたくない」と公言する人達まで現れる始末で、完全なる泥沼状態となっているのだった。
かくして、ライター達のストライキに端を発した番組中断は、テレビ制作に様々な形で携わる多くの人々に、異なる濃さの影を落とした。仮にストライキが解決し番組制作が再開したとしても、その時、かつての顔なじみ達が以前と同様の関係で仕事を続けられるかどうかは、甚だ疑わしい。インターネットという、テレビの地位を脅かすメディアの台頭との関連性も含め、ここから先、テレビの在り方そのものが変革の時を向かえそうな予感が漂う、2007年の年の瀬である。
彼らがストライキを起した動機は、DVDやインターネットで上映されている分の脚本使用料の要求。大多数のプロダクションは、このライターの要求を拒絶する姿勢を見せているが、一部の俳優やレイトナイトショーのホストたちはライターたちを支持する声明を早々に発表。ライター+出演者と、雇用サイドの対立構造が確立していた。
大人気ドラマやトークショーが、次々と番組存続の危機に!
この一連のストライキにより、多くのドラマやコメディ番組は、スケジュールの変更を余儀なくされている。大きなところでは、昨年のエミー受賞作である『The office』や、今年でシーズン7を迎える『24』。昨年から始まった大ヒットドラマにして、私の月曜日の友であった『Heroes』も、わずか12話にして脚本切れ。なんと、2008年の訪れを待つことなく今シーズンのスケジュールを終えてしまうという憂き目にあっている。ストライキ開始当初は、一応物書きのはしくれとして「そうだそうだ! ライターはしかるべき権利を受けるべきであり、その権利を得るまでは断固闘うべきだ!」とサポート体制に入っていたワタクシめだが、お気に入りのショーが次々と終了していく段に入っては、「いい加減に人様に迷惑かけずに、キリキリと働かんかい!!!」と憤懣やるかたなくなっている次第である。
ライター以外の番組スタッフ間に生まれた確執……
この大規模かつ長期に及ぶストライキだが、開始から一月近く経ったにも関わらず、未だ解決の目処は立っていない。ライター達と雇用者達の話し合いは平行線をたどるばかりで、収拾ポイントは地平線のかなた。そうこうしているうちに、事態はさらなる局面を向かえ、新たな抗争をも招いていくのだった。レイトナイトショーのように日刊ベースで収録が行われているコメディ番組(『いいとも』のような物だと思って下さい)は、件のストライキ以降は番組の収録が一切できずにいる。その間、従来の番組の放送枠では再放送を流し、そしてライター以外のスタッフ達(カメラマンや音声さんetc...)は仕事にあぶれてしまっていた訳だが、ここにきて多くのテレビ局は、これら仕事にあぶれたスタッフ達への給料支払を止めてしまったのだ。これに対し、いくつかの番組のホスト(『いいとも』で言えば、タモリさん)は、自身の番組のスタッフ達に、自腹を切って給料を支払うという大英断を下す。規模の小さな深夜番組でもその人数は80人前後に及ぶというのだから、「番組のホストというのは儲かるものなんだな~」と、羨望の目を向けずにはいられない(感心すべきポイントは、そこではないかも)。
その一方で、もちろん「全員の給料を払うなんて出来ない」と、難色を示すホストもいる。その判断を、責めることなんて出来ない。そもそも、ストライキが始まったのは彼らのせいでは無いのだから。だが、ある番組のスタッフは金がもらえるのに自分達は仕事を失う……となった日には、やはりその不満の矛先は、自分が従事する番組のホストやボスに向けられることになってしまう。スタッフと番組ホストの信頼関係は瓦解し、「彼とはもう仕事をしたくない」と公言する人達まで現れる始末で、完全なる泥沼状態となっているのだった。
かくして、ライター達のストライキに端を発した番組中断は、テレビ制作に様々な形で携わる多くの人々に、異なる濃さの影を落とした。仮にストライキが解決し番組制作が再開したとしても、その時、かつての顔なじみ達が以前と同様の関係で仕事を続けられるかどうかは、甚だ疑わしい。インターネットという、テレビの地位を脅かすメディアの台頭との関連性も含め、ここから先、テレビの在り方そのものが変革の時を向かえそうな予感が漂う、2007年の年の瀬である。
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