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Vol.73 転職も考えた苦しい下積み時代、そしてERに出演! マリスカ・ハージティ PART3

2010年11月9日
前回分:Vol.72 ミスコンの常連だった!元ミス・ビバヒルのマリスカ・ハージティ PART2

現代社会に潜む凶悪で陰湿な性犯罪に立ち向かう、ニューヨーク市警性犯罪特捜班。エリートのみが配属される特捜班ですが、どんなにタフで優秀な刑事でも2年くらいで音を上げてしまうと言われています。

その理由は、事件を通して被害者やその家族の気持ちに入れ込んでしまい、精神的にやられてしまうから。幼い我が子を性虐待する事件、女性が子供や夫の目の前でレイプされた挙句、殺害される事件など、想像を絶する惨い事件ばかりで、いくらケースを重ねても慣れる日は来ないのだそうです。

そんな性犯罪特捜班の刑事を11年間演じ続けているマリスカも、警察がどんなに頑張って犯人を取り押さえても、性犯罪はエンドレスに発生するという現実をドラマを通して伝えることに、何度も限界を感じたそうです。

今回も、現代のアメリカTV界を代表する名女優マリスカ・ハージティをご紹介します!

大学を中退したものの・・・

卒業まであと1学期というところで大学を辞め、TVドラマ・レギュラーの仕事を選んだマリスカ。しかし、「Down Town」は視聴率が悪く、数話で打ち切られてしまいました。その後、すぐに人気プライムソープ「Falcon Crest」へレギュラー入りしましたが、こちらも1シーズンしないうちに降板させられてしまいます。

ねばり強くオーディションを受けまくったマリスカですが、なかなか役を得ることができず、この頃は生活のためにアルバイトをしていました。Book Soupでのウェイトレスと、ホーソーン小学校での教師助手を主にしていたのですが、子供好きだったため一時期、本気で教師に転身しようかと考えたそうです。

キャリアに行き詰っていたマリスカは、1990年に友人の紹介で交際を始めたワーナーブラザーズのエグゼクティブと、1年も経たないうちに婚約。マリスカいわく「当時は、安定した収入がある男性が好みで、魅力的に感じた」そうで、急ぎ足で結婚を決めたそうです。

きっかけは、たった2話でキャンセルされたドラマ

婚約し幸せいっぱいなはずのマリスカですが、「この頃は自分に自信が全く持てず、自分が何なのかも見失っていた」そう。マイナスのオーラでいっぱいだったため、婚約も解消となってしまいました。

どうしても女優を諦められなかったマリスカは、「あともう少し、自分にチャンスを」と踏ん張り、1997年に覆面刑事の新ドラマ「Prince St.」の主要キャラクターの役を手に入れました。このドラマは、「ER 緊急救命室」が放送されない時期にオンエアされる"代わりの番組"という位置づけで、マリスカは意気込んでいたのですが、視聴率は低く、たった2話で打ち切りになってしまったのです。

失意の底に落ちたマリスカですが、この「Prince St.」を、たまたま見ていた「ER 緊急救命室」のプロデューサーがマリスカの演技力に注目。番組の製作総指揮者ジョン・ウェルズに「このマリスカという女優も、ERの新しい受付嬢役のオーディションに呼んでみよう」と提案したのでした。

ジュリアナ・マルグリーズの言葉が大きな自信に

当時、社会現象を巻き起こしていた人気ドラマ「ER 緊急救命室」のオーディションに呼ばれ、すっかり舞い上がってしまったというマリスカでしたが、「会場に到着してガッカリ。来ているのはブロンドの美女ばかりなんだもの」と、拍子抜けしたそうです。

でも、逆に緊張が解け、とてもリラックスしてオーディションに臨むことができたそうです。そして、オーディション終了後は、なんと!ジョンを待ち伏せして「私よりも上手い人いた?」という質問をぶつけました。ジョンは、「う~ん、まあね」と言葉を濁しましたが、マリスカは引かず、「でも、私は本物の役者だから。どんなキャラクターでも演じられる。ソンはないわよ」と笑顔で言い放ったそうです。

帰宅後、留守電に「おめでとう、ERの役はあなたに決まったわよ」とのメッセージが入っているのを聞き、マリスカは大喜びしたと振り返っています。

「ER 緊急救命室」での最初のシーンは、マーク・グリーン(演:アンソニー・エドワーズ)とキャロル・ハサウェイ(演:ジュリアナ・マルグリーズ)から受付嬢としての面接を受けるシーンでした。心は優しいけれど、とても騙されやすそうなキャラクターを見事に演じ、シーンカットの後、その場にいた制作クルーが拍手をしてくれたそうです。

拍手を素直に喜ぶマリスカに、驚いた表情のジュリアナが「言っとくけど、彼らが拍手することなんてないのよ。あなたには稀な才能があるということよ」とコソッと教えてくれたそうです。そして、このジュリアナの言葉は、マリスカにとって大きな自信となったのでした。

<次回は、「Law & Order:性犯罪特捜班」オーディション秘話などをご紹介します。お楽しみに!>