先日、孫4人から「王子」「王女」の称号をはく奪すると発表し、世間をおどろかせたデンマークのマルグレーテ女王。この決断はイギリスを含むヨーロッパ王室にどのような影響を与えたのだろうか。
デンマーク王室は9月28日、マルグレーテ女王が4人の孫から王子、王女の称号をはく奪すると発表。その4人の孫とは、女王の次男で王位継承順位6位のヨアキム王子の4人の子ども。称号をはく奪されたのはニコライ王子(23)、フェリックス王子(20)、ヘンリック王子(13)、アテナ王女(10)だ。マルグレーテ女王の長男で跡継ぎであるフレデリック皇太子との間に生まれた4人の孫は、それぞれの称号を維持する。
はく奪の理由としては、この4人の孫たちがより普通の生活を送れるようにするため、また現在ヨーロッパ王室では時代に合わせ君主制をスリム化する傾向にあり、デンマーク王室もその流れに沿ったというものだ。
このヨーロッパでの“王室スリム化”が具体的に始まったのは、2018年末頃。スウェーデン国王が毎年恒例のクリスマス演説で、孫5人から王族の称号をはく奪すると発表した。またオランダではアレクサンダー国王が、現役の王族の数をわずか5人に減らすとともに、宮殿、スタッフ、リムジン、相続人の数を削減した。
このスリム化の流れは、最近君主が変わったイギリスにどのような影響をあたえるのだろうか?
王室専門家は、デンマークのマルグレーテ女王の決断は、「チャールズ国王に対し“決定的な行動”を取るようプレッシャーのひとつとなっている」と指摘。現在イギリス王室は、2020年に王室を離脱したヘンリー王子と妻のメーガン妃との確執のウワサが絶えない。
また2019年に買春あっせんなどの罪で起訴されたアメリカの大富豪ジェフリー・エプスタインによる一連の事件を発端とし、アンドルー王子はバージニア・ジュフリーさんへの性的虐待疑惑が浮かび上がった。これをうけ、アンドルー王子は公務から引退している。
しかしヘンリー王子やメーガン妃、アンドルー王子は今もまだロイヤルファミリーのウェブサイトに名が記載されている。マルグレーテ女王の先日の決断は、チャールズ国王のヘンリー王子一家やアンドルー王子へ対する処分に圧力をかけただろうと王室専門家は語っている。
さらに専門家は「チャールズ国王は、ヘンリー王子の自伝本とネットフリックスの番組の内容を知るまではあまり多くの決断を下すことを警戒しているかもしれない。デンマーク女王は断固とした態度を見せましたが、そのせいでファミリー内に分裂を招いた。チャールズ国王はこれに学び、慎重になっているかもしれないが、決定をいつまでも先延ばしにすることも不可能です」と話している。