カニエ・ウェストの発言をめぐり、ジョージ・フロイドさんの遺族が訴訟を検討していることがわかった。
最近なにかとお騒がせなラッパーの「イェ」ことカニエ・ウェストは10月16日(日)、ポッドキャスト番組「Drink Champs」に出演。さまざまな話題に対し自身の見解を述べる中で、2020年5月に白人警官による不当な暴行で亡くなった黒人男性、ジョージ・フロイドさんの死因についても持論を展開した。
この事件は、黒人への人種差別に抗議する「Black Lives Matter(黒人の命も大切)」運動の発端となり、全米各地でデモが行われるほど、社会的に大きな影響を与えた。
フロイドさんの死に関わったとされる白人警官はすでに22年半の禁固刑を命じられているが、カニエはフロイドさんの死因について、麻酔用鎮痛剤「フェンタニル」の接種によるものだと語った。
番組内で「彼らは(フロイドさんに)フェンタニルを注射したんだ」と切り出したカニエは、「彼(警官)のヒザを見てみろ。首にはかかっていないだろ。彼らは、フロイドさんが『ママ』を呼んでいたと主張している。『ママ』とはフロイドさんのガールフレンドのことだ。ドキュメンタリーにおさめられている」と続けた。
なお、フロイドさんの死因については、ヘネピン郡検死局が警察に取り押さえられた際、「拘束され、首を圧迫されたこと」が複雑に作用したことによる「心肺停止」であり、殺人だと断定していた。
カニエのこの発言を受け、フロイドさんの遺族の担当弁護人がツイッターで声明を発表。「フロイドさんの死因に関するカニエの虚偽の主張に対し、訴訟を検討している」と明かした。
弁護人は声明の中で、「フロイドさんの死因がフェンタニルであると主張することは、彼の死が刑事的・民事的に立証された残虐行為によるものではないとの誤解を招き、フロイドさんの家族を萎縮(いしゅく)させるものだ」とつづっている。
また、弁護人のヌル・ウィザースプーンは、フロイドさんの娘がカニエの発言によって再びトラウマを抱え、家族は少なくとも2億5000万ドル(約370億円)の損害賠償を求める予定であると伝えている。