ネズミが人間と同じような「ある能力」を持っていることが明らかとなった。
東京大学の研究者たちは、ワイヤレス加速度センサーを装着した10匹の研究用ラット(ネズミ)に音楽を聴かせ、頭の動きを測定。すると、ラットが音楽に合わせて自然と体を動かしていることが確認されたという。
同大学の高橋宏和准教授は、「ラットは事前の訓練や音楽への接触なしに、つまり生まれながらにして、『ビート同期』(音楽に合わせて体を動かす現象)が見られることが分かりました」と語っている。
高橋宏和准教授はこの実験が、動物のマインドや音楽の起源にせまるものであるとし、「音楽は脳に強くアピールし、感情や認知に深い影響を与えます」と語ると、「音楽を効果的に利用するためには、この経験的な事実の根底にある神経メカニズムを明らかにする必要があるのです」と、この実験の意義を述べた。
今回の研究ではモーツァルトの「K.448」への反応がメインであったものの、レディー・ガガの「Born This Way」やクイーンの「Another One Bites the Dust」、マイケル・ジャクソンの「Beat It」、そしてマルーン5の「Sugar」なども聴かせたという。
今回ラットは、それぞれ異なる速度で再生された音楽を聴き、どのように反応するか調査をされた。その結果、研究者らは彼らがよりテンポの速い音楽を好む傾向があると考えているという。
さらにラットも人間も、似たようなリズムで頭を揺らし、ビートを刻むこともわかった。さらにその揺らし方は、音楽のスピードが速くなればなるほど小刻みになるようだ。
研究者らは今後、音楽のメロディーやハーモニーが脳に与える影響についても研究を行っていくという。
「美術、音楽、科学、技術、宗教など、人間の文化的な分野が、脳のどのようなメカニズムによって、どのように、なぜ、どうすれば生み出されるのかに興味があります」と語った高橋准教授は、「この疑問は、脳の働きを理解し、次世代AIを開発するためのキーになると考えているのです。またエンジニアとして、幸せな生活を送るための音楽の活用法にも興味があります」と付け加えている。