トランスジェンダーで女性の体から男性へ性転換した人物が、性転換治療の期間中に妊娠。その後、出産を経て子供が成長する記録を公開し、話題となっている。
シアトルに住む36歳のダニー・ウェイクフィールドさんは、25歳の時、出生時の体は女性であるものの、男性性の要素が強い「トランスマスキュリン」であることをカミングアウトした。その後9年間、性転換治療を行う中で乳房の切除も行っている。
「トランスマスキュリン」は、「男性性の要素が女性性よりも強い」という認識はあるものの、完全に男性として自認しているわけではない人のことを指す。
ダニー・ウェイクフィールドさん自身も、「私は男性ではなく、トランスマスキュリンであると認識しています。周りの人はしばしば私をゲイ男性だとして見ているようですが。それでも、『トランスマスキュリン』というアイデンティティで生きることが、いまの私の存在をより際立たせているのです」と説明している。
そんなダニーさんは2020年、性転換治療の期間中に名前も知らない男性と一夜限りの関係を持つ。するとその後、妊娠していたことがわかった。
こうして誕生したのが、あえて性別をハッキリと明らかにしていない第1子「ワイルダー」だ。
ダニーは妊娠が発覚し、出産する決断をしたことについて、「私はずっと子供がほしいと思っていたし、性転換する前に少なくとも一度は妊娠したいと思っていました」と語り、「性転換の移行期間には、卵子を凍結する機会もあります。また乳房を切除した際には、どうやって赤ちゃんに栄養をあげようかと悩んだこともありました。このような小さな決断はたくさんありましたが、それでも、私は出産したことを少しも後悔していません」と続けた。
そんなダニーは現在、自身のウェブサイトやSNSを使って子育ての様子を発信している。
投稿された動画の中でダニーは、「女性であることを感じないからといって、持って生まれた体の器官を利用できないわけではない」とし、「生殖器官を持っている以上、トランスマスキュリンやノンバイナリー(男女どちらにも当てはまらない性認識を持つ人のこと)の人でも妊娠、出産することができる」と呼びかけている。