キアヌ・リーブスには、映画の出演契約を結ぶ際に必ず入れている「ある項目」があるという。
映画『マトリックス』シリーズなどで知られるハリウッドの大物俳優キアヌ・リーブスがこのたび「Variety」誌の取材に応じ、出演契約に「デジタル編集禁止」という項目が入っているというウワサが事実であることを認めた。
そしてこの項目を入れるようになったのには、明確な理由があるという。キアヌによると、この項目を入れる以前に、自身の演じた役柄が納得いかない形で編集されたことがあったという。
「たとえば、編集の段階でまばたきをカットされるとか、そういうのは気にしないんだ」と語ったキアヌは、過去を振り返る中で感極まったのか、目に涙をうかべて「2000年代初頭、いや、90年代だったかもしれないが、パフォーマンスそのものを変更されたことがある」と続けた。
そしてキアヌは、「ぼくとしては、『あれ?ぼくってここにいる必要すらなかったんじゃないかな』とさえ思った」と悔しさをにじませた。
さらに「何が不満かって、自分の主体性を失ってしまうことなんだ」と訴えたキアヌは、ディープフェイクやAIの技術を引き合いに出したうえで、「映画に出演するとなれば、編集されるのも承知のうえだ。それでも、自分の意思を持って参加している。それがディープフェイクの世界になってしまったら、自分の意思はまったくなくなってしまう。恐ろしいことだよ。人間がこれらのテクノロジーにどれだけ対応していくのかには興味があるけれどね。文化的、社会的なインパクトも大きいし、生物種の研究も進んでいて、いまは行動に関するあらゆる『データ』が集まっているんだ」と付け加えている。
キアヌは現代社会に生きる人々が、「すでにこれらのツールの中で育っている」としたうえで、「それらのテクノロジーを使って人々をコントロールしようとする企業社会がある」と問題視している。