日本のラーメン店には、暗黙の了解がある。「素早く食べて、店を出る」と言うものだ。
そんな中、東京のとあるラーメン店が客に対して「ピーク時間帯に、食事中のスマホ利用を禁止する」というルールを設けた。このニュースをイギリスのCNNが報じている。
In Japan’s ramen restaurants, there’s an unspoken rule: eat quickly and leave.https://t.co/RwPxQCnmri
— CNN (@CNN) April 3, 2023
今年3月にこのルールを設定したのは、東京・高田馬場にある「博多ラーメンでぶちゃん」。今年6月で5周年を迎え、食べログでも評価の高い人気店だ。
店主の甲斐康太さんはかねてより、スマホを見ながら食べることによりラーメンがおいしくなくなること、そして客席の回転率が下がることに悩んでいた。
甲斐康太さんは取材の中で、「ある日、忙しくしている時間帯に、4分間も食べ始めないお客さんがいたんです」と語ると、その客がスマホ動画に夢中になっており、目の前のラーメンが冷めてしまっていたと続けた。
このような光景が問題とならないラーメン店もある。しかし「博多ラーメンでぶちゃん」が提供する博多ラーメンは、甲斐さんいわく「せっかちな人のための食事」なのだという。
「博多ラーメンでぶちゃん」の麺は博多ラーメンの特徴である細麺を使用しておりその細さはなんと1ミリ。甲斐さんによると、1分ほどでスープを吸い、伸びてしまうのだという。つまり4分後に食べ始めたラーメンは、おいしさのピークをとっくに過ぎてしまっている。
店内は33席あり、東京のラーメン店の中では広い分類に入る。しかしピーク時には、10人ほどの行列ができることもめずらしくない。
「満席状態で、食べる手を止めてスマホに見入っているお客さんがいれば、声をかけるようにしています」と甲斐さんは語る。
そんな甲斐さんにとって、ラーメンはただの食事ではない。
「ルールも含めて、エンターテイメントとして味わってほしい」と述べた甲斐さんは、「『郷に入っては郷に従え』です。ラーメンは、ある種のエンターテイメントなんです」と強調した。
一方、客側からは「食事くらい自由にさせてほしい」といった声もあり、賛否両論を呼んでいる。