ニュージーランド発のバンド「Drax Project(ドラックス・プロジェクト)」にインタビューを実施した。
「Drax Project」は、2014年に結成し、注目を集めているニュージーランドの4人組バンド。シャーン、マット、ベン、サムからなるポップバンドで、これまでエド・シーラン、クリスティーナ・アギレラ、カミラ・カベロなど大物アーティストたちのオープニング・アクトを務めた実績を持つ。
2019年に、ヘイリー・スタインフェルドをフィーチャリングしたシングル「Woke Up Late」をリリース。同曲は世界的ヒットを飛ばし、最近アメリカでゴールド・ディスクを獲得し、日本のSpotifyのViral Weekly Charで3位を獲得。ミュージックビデオは、YouTubeで2400万再生を記録している。
同じく2019年にリリースした「Catching Feelings」は、全米R&Bラジオチャートで16位を獲得するなど、いま勢いのあるバンドだ。
そんな「Drax Project」にインタビューを実施。「Drax Project」という名前をつけた経緯や、「Woke Up Late」の制作秘話、セカンド・アルバムともうすぐリリースされるリードシングル「Atmosphere」、そして人気シンガーソングライターのエド・シーランからもらったアドバイスなどたっぷりと語ってもらった。
ーーまずメンバーの自己紹介からお願いします。
シャーン:こんにちは。僕の名前はシャーンです。サックスとボーカルを担当しています。
ベン:こんにちは、ベンです。僕はギター担当です。
マット:僕はマットです。ドラムを担当しています。
サム:僕はサムです。ベースを担当しています。
「Drax Project」という名前は思いつきでつけた!?
ーーなぜグループ名を「Drax Project」にしたのでしょうか?
マット:いい質問だね。最初は僕とシャーンの2人だったんだ。シャーンがサックス、僕がドラムで、ニュージーランドの(首都)ウェリントンで、ストリートパフォーマンスをしていたんだ。道行く人たちから2ドルとか5ドルとかちょっとしたお金をもらっていて、「YouTubeにアップロードしたいんだけど、君たち名前は何て言うの?」って聞かれて、そのときはまだ名前がなかったんだ。そこで、ドラムとサックスを合わせて「Drax」=「Drax Project」という名前をその場で決めたんだよ。その後サムとベンが加入してリアルなバンドになったわけだけど、名前は一緒のままなんだ!
ーーバンド名は急きょ決めたという感じだったんですね?
シャーン:そうなんだ。ちょうど僕のお母さんと3人でグループチャットをしていて(笑)。誰がその名前を出したか覚えてないんだけど、たぶんお母さんだったかもしれない(笑)。そのときは急いで名前を決めたけど、バンドがこんなに本格的なものになるって想像していなかったね。
ーーDrax Projectさんは、ジャズ、R&B、ポップスをミックスした音楽が特徴的ですよね。今の音楽スタイルを確立したキッカケ、経緯を教えていただけますでしょうか?
サム:僕たち全員いろんなスタイル、いろんなジャンルの音楽が好きで、そのすべてが合わさって曲ができていくんだ。さらにその日によって好きなものも変わってくるね。
ーーどういったアーティストにインスパイアされているのでしょうか?
シャーン:僕たちはみんな大学でジャズ音楽を勉強したんだ。だからかなりジャズ系のアーティストに影響を受けてるね。例えばロバート・グラスパーとか、ディアンジェロ、他にもジャスティン・ティンバーレイクなど、ジャズのアーティストだけではなくいろんなジャンルのアーティストに影響受けているよ。ジャズの影響を受けているポップ音楽だったり、ヒップホップだったり。ケンドリック・ラマーとかね。
ーー(少し日本語を披露してくれたシャーンに対し)シャーンさんはなぜそんなに日本語がお上手なんですか?
シャーン:高校で日本語を勉強したんだ。日本で日本語を練習したいよ。楽しみにしてます。
サックスをフィーチャーしたバンドスタイルはライブでも大盛り上がり!
ーーギター、キーボード、ドラム、ベース、そしてサックスといった楽器を組み合わせて演奏していますよね。こうしたバンドスタイルでサックスを組み合わせるのは珍しいように思えます。迫力ある演奏は、ライブでもとても盛り上がるんじゃないでしょうか?
ベン:盛り上がるって僕たちは思いたいね(笑)!
サム:やっぱりエネルギッシュなお客さんですごく盛り上がったライブもあるね。「オール・ディス・タイム」という曲をライブでよく演奏するんだけど、これがサックスをフィーチャーしているからかなり盛り上がるし、次のアルバムではよりサックスをフィーチャーした曲や、この曲と似たようなサウンドの曲を盛り込んでいるんだ。
【動画】All This Time – Live Performance
シャーン:なんでかわからないけど、サックスってすごくお客さんにウケるんだよね!
サム:僕たちはジャズスクールに通ってたけど、シャーンはそこで歌の方ではなくてサックスを学んでいたから、それをフィーチャーしているのもあるね。
ベン:とにかく僕たちはライブ演奏が大好きで、バンドとしてやる前はよくカバー曲をやって、その中で1~2曲オリジナル曲をやって、それからどんどん変わってったんだ。とにかくショーをやるのが大好きで、皆さんを楽しませるのが大好きなんだ。
ーーDrax Projectさんの楽曲は、落ち着いた心地良いサウンドもありますが、ライブ映像を見るとジャスティン・ティンバーレイクの「Cry Me A River」のカバーをパフォーマンスをされたときなんかは、重低音が響くようなすごくロックな感じも伝わってきました。
シャーン:そう、僕らはカバー曲では「ヘビメタサックス風」にするのが好きなんだ。
サム:家でヘッドフォンをかけたり、車の中で曲を聴いてるとときっていうのはライブの環境と全然違うから、僕たちはライブではとにかくエキサイティングでエネルギッシュなものにしたいっていうのがすごくあるんだ。
ベン:僕たち自身もそうしたいという思いがあるからね!
サム:そういう意味では、スタジオでレコーディングした曲もライブではまた違ったものになるね。
【動画】Cry Me A River (Drax Project Live Cover)
エド・シーランからもらった「重要なアドバイス」
ーーこれまでにエド・シーラン、クリスティーナ・アギレラ、カミラ・カベロなど大物アーティストのオープニング・アクトを務めた実績があります。彼らと同じステージに立ってみていかがでしたか?
ベン:すばらしかったよ!初めてビッグなアーティストのサポートアクトを務めたのが、エド・シーランだったんだ。過去にこれほどまでの数のお客さんを見たことがなかったよ。
サム:一晩で4万3000人だったかな。
ベン:すばらしいけどもちろん緊張する。それでもエキサイティングだね!
サム:ステージに出たとき、観客は僕たちのこと知らないし、僕たちを見に来ているわけではない。「誰だ?こいつら?」みたいなところから、演奏していくうちに観客がついてきてくれて、雰囲気を変えてくのがすごく好きなんだ。
ーー彼らと会話したりとか、何かアドバイスをもらったり、音楽スタイルに刺激を受けたりされましたか?
ベン:もちろん!幸運なことにサポートアクトを務めさせてもらったほとんどのアーティストと話す機会をもらって、とくにエド・シーランとは3公演が終わったときのステージ後、20分くらい話すことができたんだ。彼は本当にいい人だった。
サム:エドからは色々アドバイスをもらったよ。例えばビジネス的な面の話や、音楽的なアドバイスも豊富で。これはよく聞く、いろんな成功してるアーティストからもよく言われることなんだけど、やっぱりエドからも、「とにかく曲を書き続けるんだ」と言われたんだ。なぜかというと、いつすばらしい名曲が生まれるか書いてみないとわからないからと。だから僕たちもできる限り、曲を書き続けるようにしているよ。
「Woke Up Late」が世界的にヒットし一躍有名に
ーーDrax Projectさんは、2019年にヘイリー・スタインフェルドをフィーチャリングしたシングル「Woke Up Late」をリリースされました。この曲に込めた想いを教えていただけますか?
シャーン:この曲は実は2017年に書いた曲なんだ。
マット:まだその頃僕たちは、昼はアルバイトや電話で保険を売ったり別の仕事をしていて、サムは音楽を教えてたりもしてた。「Woke Up Late」は基本的にはベッドルームで書いていて、半分ぐらいは実体験だったり、でも想像の世界の要素もあって、色んなシチュエーションから生まれた曲なんだけど、こんなにビッグになるとは想像してなかったよ。
曲ができあがって、インスタグラムで「この曲出るよ!」みたいな感じでバーンって出したら、今までの中で一番のリーチも数字も低くて「どうでもいいと思われてるんだ」ってちょっとガッカリしたんだ(笑)。でも、そこからいきなりバーンって大きなヒットをとばして、さらにヘイリー・スタインフェルドの参加により、曲がレベルアップしたんだ。ウェリントンの自分たちのあのベッドルームできた曲が、今では世界中で聴かれているっていうのはオドロキだよね。
【動画】Woke Up Late ft. Hailee Steinfeld (Official Music Video) Starring Liza Koshy
ーーそうして一気にヒットしていったわけですけど、ヘイリーさん側からオファーが来たのでしょうか?
サム:そうだよ。まず最初にレコード契約が決まり、そこからヘイリーのスタッフの方からぜひ参加させてもらいたいって本人が言ってるって話が来たんだ。
シャーン:でも実は、ヘイリーは他のアーティストからこの曲を紹介されたって話もあるんだ。多分カミラ・カベロだったんじゃないかな。
ベン:そんな陰謀論を僕たちは聞かされているよ(笑)。
ーー「Woke Up Late」は、最近アメリカでゴールド・ディスクを授与され、ここ日本でもSpotifyの Viral Weekly Chartで3位を獲得。MVは2400万回という再生回数を記録しています。世界的ヒットを飛ばした心境というか、バンドにとってどういう変化が起きましたか?
サム:まず一番の大きな変化は、みんなそれぞれアルバイトなり昼間の仕事を辞めて、フルタイムで音楽だけに集中することができたっていうことだね。
マット:そして、自分たち4人でベッドルームで書いた曲で、世界を旅することが可能なんだと思うと、感動的ですごくクールなことだね。
シャーン:SNSの影響も大きかったね。
マット:「Woke Up Late」ミュージックビデオで、コメディアンヌのライザ・コシに会えたのもうれしかったよ。
サム:自分たちの他の曲にも影響を与えているというか、ちゃんとみんな認識されるようになったね。「Catching Feelings」という曲も、最近アメリカでゴールド・ディスクを受賞したんだ。
【音源】「Catching Feelings ft. SIX60」
ーー2019年9月にはセルフタイトルであるファーストアルバム「Drax Project」をリリースされました。こちらのアルバムについて教えていただけますか?
マット:これはデビュー・アルバムで、このアルバムで初めてアルバム・カバーのための写真、ちゃんとしたフォトセッションをやったんだ。
サム:ロサンゼルスのプール付きの家に住んでて、そこのプールで撮影したんだよ。
マット:ちょうどカミラ・カベロの前座を務めた時期だったと思う。だからロサンゼルスのビバリーヒルズに住み、「Woke Up Late」もすごく順調で、もう色々盛り上がっててここからだ!・・みたいな時だったんだ。
サム:アルバムにはロサンゼルスで書いた曲数曲、あとニュージーランドで書いた曲も数曲あるんだ。
マット:振り返ってみるとあの時期っていうのは、本当に若くて、この先への期待でワクワクしていたね。
シャーン:でも結果的にはパンデミックが起きて、それ以降はずっとニュージーランドにいるんだけど、またこれから大きな再スタートを切るっていう感じだね。
マット:いまはセカンド・アルバムを準備しているよ!
待望のセカンド・アルバムは完成間近!
ーーもうすでにこの新しいアルバムの制作はスタートしてるんでしょうか?
サム:もう完成間近だよ!
シャーン:アルバムからのファースト・シングル「アトモスフィア(Atmosphere)」は4月28日に発売予定なんだ。
ベン:前作のアルバムでは、半分ぐらいの曲を(アルバムのリリースよりも)先に出したんだ。だから前回は新曲っていうのは数曲くらいしかなかったんだけど、今回のアルバムに関しては、全曲新曲となるから前回とはだいぶ違うんだ。
シャーン:セカンド・アルバムのほうが、いいアルバムだよ(笑)!
サム:制作にはたくさんの労力を費やしたから、リリースがとても楽しみだよ。
特別な想いがこもった新曲「アトモスフィア」を4月28日にリリース!
ーーアルバムのリードシングルである新曲「アトモスフィア」は「人生に打ちのめされたとき、自分を奮い立たせるための応援歌」だそうですが、この曲に込めた想い、そして制作のエピソードを教えてください。
シャーン:実はもう何年も前に、ロサンゼルスにいたときにこの曲を書いたんだ。当時からこれはとても特別な曲だと思っていた。内容的には当時の自分たちにはあまり響いてはいなかったんだけど、その後、世界中がコロナでロックダウンになったことを経て、今になってやはり曲が持つ本当の意味がすごく響いてきたんだ。だから今こそ出すべきなんだなっていうのはすごく思ったね。ロサンゼルスで書いた曲だけど、最終的にニュージーランドで曲を仕上げたんだ。
サム:実はそのプロダクションは結構迷走してたんだ。というのも、いろんな人と一緒に手がけたんだけど、なんかうまくいかないというか、しっくりこないできあがりになって、最終的にはコリー・エネミーという過去に他の曲でも一緒にコラボした人と、地元の友人でもあるニール・マクラウドと一緒に手がけて、最終的にいまの形となったんだ。大満足だよ!
年内来日決定!日本への愛を語る 「セブンイレブンのおにぎりが大好き」
ーー今後、ライブなどで日本に来る予定はありますか?また日本に今まで来たことはありますか?
シャーン:じつは16歳のとき、高校生のときに3週間日本に行ったんだけど、あんな楽しかったことはないっていうくらいすばらしい時間だった!バンドとしては、まだ具体的に時期は決まっていないけど、今年中には行くことになってるからすごくワクワクしているよ!
サム:エイベックスさんと契約することができて、日本に行くのが楽しみだよ。
マット:いま仮で予定を入れているって感じだよ。とにかくすごく楽しみにしているんだ。
シャーン:僕は日本に友達がいて、彼らに会うのも楽しみなんだ!日本で食べる日本食はバツグンに美味しい(笑)!セブンイレブンですらもワクワクするよ!あれだけのおにぎりを見ただけで楽しいし、美味しいし、セブンイレブンに入った瞬間のワクワク感もたまらない(笑)!
サム:たぶん、仕事兼休暇みたいな感じで行けるかもしれない!沖縄が大好きだから、ぜひ沖縄でダイビングしたいね。
シャーン:高校時代の友達が大阪にいるんだ。昔一緒に住んでて、彼はいままた大阪にいて、10年くらい会ってないから再会をすごく楽しみにしているよ!
ーー日本でショーをしてくれるのをすごく楽しみにしてますし、みなさんが休暇もエンジョイしてくれたらいいなと思っています。最後にtvgrooveの読者にメッセージをお願いします。
日本に行って演奏することをすごく楽しみにしています!僕たちはニュージーランド出身で、日本の文化や日本食が大好きで、それを体験するのを楽しみにしています!そして、日本の皆さんに僕たちの新曲を聴いてもらうのが待ち遠しいです!
(インタビュー終わり)
リリース情報
Drax Project 「Atmosphere」
2023年4月28日(金)リリース
リンク
オフィシャルHP→ https://www.draxproject.com
公式インスタグラム→ https://www.instagram.com/draxproject/