テイラー・スウィフトが、暗号資産(仮想通貨)取引所の「怪(あや)しさ」を見抜き、大型のスポンサー契約を断っていたことがわかった。
暗号証券取引所のFTXは昨年、人気歌手テイラー・スウィフトに、1億ドル(約135億円)を提示してスポンサー契約を持ちかけた。しかしテイラーは、取引する前に弁護士に相談。最終的にサインしなかったという。
Taylor Swift turned down a $100 million deal with crypto exchange company FTX after asking if they were selling ‘unregistered securities.’
The now-bankrupt company and the celebrities it partnered with are now being sued for promoting the sale of unregistered securities. pic.twitter.com/80TFmOscIa
— Pop Base (@PopBase) April 19, 2023
これは、FTXの広告塔となったセレブたちを相手取って訴訟を起こしている投資家らの代理人アダム・モスコウィッツ弁護士が、ポッドキャスト番組「The Scoop」の中で明かしたもの。
暗号資産取引所FTXは2019年に設立され、昨年11月にとつぜん破綻(はたん)した。翌月には、創業者のサム・バンクマン=フリードが詐欺の疑いなどで逮捕されている。
全盛期にはNFLのスター選手トム・ブレイディや、NBAスターのシャキール・オニールらがアンバサダー契約を結び、広告塔となっていた。投資家らは彼らに対して、「信頼を逆手に取って、詐欺に加担させた」とし、50億ドル(約6710億5000万円)の損害賠償を求める裁判を起こしている。
アダム・モスコウィッツ弁護士によると、FTXからテイラーにスポンサー契約の話が持ちかけれらた際、彼女がその適法性に疑念を抱き、FTX側に「これが未登録証券ではないと言い切れますか?」とたずねたという。スポンサー契約を持ち掛けられたセレブの中で、この質問を投げかけたのはテイラーだけだったという。
アメリカで募集・販売されるすべての証券は、証券取引委員会(SEC)に登録する必要がある。昨年12月、SECはFTXが取り扱っている暗号通貨「FTT」が有価証券として分類されると述べた。しかしこれらは、適切に登録されたものではなかったのだ。
モスコウィッツ弁護士の発言に関して、Insiderはテイラーの代理人にコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。