人気歌手エド・シーランの代表曲ともいえる「Thinking Out Loud」(2014)が盗作疑惑で訴えられている件で、エド本人が裁判所に出廷した。
エド・シーランは2017年、「Thinking Out Loud」の一部が歌手マーヴィン・ゲイの楽曲「Let’s Get It On」(1973年)に似ていることから、「Let’s Get It On」を共作したエド・タウンゼントの遺産管理者から訴訟を起こされた。
【動画】エド・シーラン「Thinking Out Loud」
【動画】マーヴィン・ゲイ「Let’s Get It On」
この裁判の件で、エド・シーランは4月25日に米ニューヨークの裁判所へ出廷。スーツ姿で裁判所へ向かう姿がカメラにおさめられた。
Ed Sheeran took the stand in a New York federal courtroom on Tuesday to defend himself in a copyright infringement case that alleges his 2014 hit “Thinking Out Loud” rips off the 1973 Marvin Gaye classic “Let’s Get it On.” pic.twitter.com/PbtQjxQF24
— People (@people) April 26, 2023
この裁判で原告側(エド・タウンゼントの相続人)は、過去にエドが自身のライブで「Thinking Out Loud」と「Let’s Get It On」のマッシュアップを演奏したことを指摘。「これは盗作を“自白”したようなものだ」と主張した。
これに対しエドは「『Thinking Out Loud』は自分の祖父母間に存在する愛にインスパイアされ、エイミー・ワッジと共に制作した」と述べた。さらに「ほとんどのポップソングは、他のポップソングと重なるところがある。(ザ・ビートルズの)『Let It Be』から(ボブ・マーリーの)『No Woman, No Cry』、そしてまた『Let’s Get It On』へ戻ったり」と、世間に存在するポップソングは共通する部分が多いと主張した。
続けて「もし私が、あなたたちが訴えているようなこと(盗作)をしたとしたら、2万人の観客の前でステージに立ち演奏をするのは相当バカだと思います」と語ったエド。相手側の弁護士に供述を遮(さえぎ)られようとした際にも彼は引かず、「あなたが私を遮るのは、私の言っていることが実際に納得のいく主張だからでしょう」と反論したという。
エド側の弁護士は「音楽に共通する基本の要素を誰かが所有するということはできない。この2曲は、すべてのソングライターが自由に利用できる、類似した、保護できないコード進行を共有している」と主張した。
エド・シーランは以前にも、2017年に発売された楽曲「Shape of You」が著作権侵害で訴えられた。似ているとされた楽曲は、サミ・チョクリとロス・オドノヒューの2015年の楽曲「On Why」だ。
しかし昨年4月、この裁判でエドが勝訴。この判決を受け、エドはコメントを発表。「今回の結論は非常にうれしく思っていますが、現代において、このような主張がなされることは一般的になってきており、著作権侵害を訴えることで、裁判に持ち込むよりも解決金でおさめてしまおうという訴えられた側の考えにつけこもうとする文化もうまれつつあります。たとえ主張に根拠がなかったとしても」と、ヒット曲が訴えられやすい現状に苦言を呈していた。