昨春、失語症を理由に俳優業を引退したブルース・ウィリス。ある映画スタッフが明かしたところによると、失語症と診断を受ける前、最後に出演した映画の撮影現場にて、ブルースは自分が映画のセットにいることを忘れていることがあったという。
2020年に撮影されたクライム・スリラー映画『ミッドナイト・キラー(原題:Midnight in the Switchgrass)』(2021)にて、小道具を担当したアリシア・ハヴァーランドによると、同作の撮影時点でブルースの失語症の症状はかなり悪く、時には自分が撮影現場にいることを忘れているようにも見えたという。
【動画】『ミッドナイト・キラー』予告編
これは、プロデューサーで監督のランドール・エメットの様々な疑惑について焦点をあてた新ドキュメンタリー「The Randall Scandal」内で語られたもの。ランドールをめぐっては、ブルースの健康状態悪化を知りつつも、彼に5本もの映画に出演させたとの疑いがもたれている。(のちにランドール本人はこの疑惑を否定)
『ミッドナイト・キラー』の撮影中、新しいシーンのためにブルースにコーヒーを注いだというハヴァーランド。しかし、ブルースは自分が撮影現場にいることを理解していなかったのか、彼女をダイナーにいるウェイトレスであると思い込んでしまったそうだ。
「(ブルースに)コーヒーを再度注ぎに行った。(そのとき)おそらくテイク7からテイク8をやっていたのだけど、彼はコーヒーに手をあてて、死んだような目で私を見て『いや、奥さん。もういらないよ』と言ったの」
そんなブルースにハヴァーランドは、シーンのためにカップにコーヒーを補充していると説明しようとしたそうだが、ブルースはそれを理解することができず、彼女に対して“(自分は)もっとコーヒーを注文したのか”と尋ねたという。
そのため、ハヴァーランドは撮影を無事終えるためにウェイトレスのふりをして、ブルースがコーヒーのおかわりを注文したことを伝えたそうだ。ハヴァーランドは、ブルースの行動を見て“心が痛んだ”とも述べている。
ハヴァーランドは以前にも、『ミッドナイト・キラー』の撮影でブルースがアクションシーンで苦労していたことを明かしている。
昨年3月、ブルースの妻エマ・ヘミング、元妻デミ・ムーア、そして彼女らの5人の子供たち(ルーマー、スカウト、タルーラ、マーベル、エブリン)はインスタグラムを通じて、ブルースが「失語症」であること、それが原因で俳優業を引退することを発表。今年2月には、ブルースが「前頭側頭型認知症(FTD)」と診断されたと明かしていた。