飛行中の航空機のドアを、乗客が突ぜん開けるという緊急事態が発生。機内が混乱と恐怖に包まれた。
この事故が発生したのは5月26日(金)、アシアナ航空OZ8184便(エアバスA321)の機内でのことだった。チェジュ空港を出発したこの旅客機が、目的地であるテグ空港に着陸する直前の12時45分ごろ、男性の乗客1人が翼のすぐ後ろにある非常口の扉を開けようとしたのだ。他の乗客はこれを阻止しようと試みたが、間に合わず、ドアが開く事態となった。
A passenger opened an emergency exit door during a flight in South Korea, forcing the crew to land while it was still open.
Air blew through the cabin of the Asiana Airlines jet, slightly injuring 12 people. pic.twitter.com/Nl8HqXeiLb
— The Associated Press (@AP) May 26, 2023
この時点で旅客機は地上200メートル上空。時速500キロメートルでの飛行中に突然ドアが開いたことから、機内には猛烈な風が吹き込んだ。乗客が撮影していたとみられる映像からは、194人の乗客が突風に包みこまれ、髪やシートがはげしくはためく様子を確認することができる。
旅客機はそのままの状態でテグ空港に着陸し、ドアを開けた男性の乗客は直後に身柄を拘束された。この男性がなぜ非常ドアをあける行為に至ったのかは現時点では不明で、警察は現在、アシアナ航空の客室乗務員からも聞き取りを行うなどの捜査を行っている。
奇跡的なことに、この事故による深刻なケガ人は出ていない。しかし12人の乗客が過呼吸の症状を訴え、そのうち9人が病院に搬送された。また、急激な気圧の変化により呼吸困難や耳の痛みを訴える乗客も複数人いたとされている。
この旅客機に居合わせた乗客の1人は地元メディアに対し、「ドアに近い座席だった人たちが次々と失神し、客室乗務員が機内アナウンスで医師を呼び出していた。機内はすごく混乱した状態だった」と、緊迫(きんぱく)した状況を語ると、「飛行機が吹っ飛んでしまうのでないかと思い、恐ろしかった。このまま死んでしまうんだと思った」と当時の恐怖を語っている。