タイタニック号探索ツアーの潜水艇「タイタン」が圧壊した事故を受け、映画『タイタニック』(1997)の監督のジェームズ・キャメロンがコメントを発表した。
6月18日から消息不明となり、6月22日に残骸が発見された、タイタニック号探索ツアーの潜水艇「タイタン」。このタイタンには、5人の乗員乗客が乗っていたが、船の圧壊により全員が死亡したと見られている。
ジェームズ・キャメロン監督は、映画『タイタニック』の製作にあたり、これまで33回もタイタニックの残骸現場に潜ったことで知られている。
今回、ABC NEWSの取材に応じたキャメロン監督は、「コミュニティーの人々は、この潜水艇(タイタン)のことをとても心配していました」「深海潜水技術界のトップの何人かは、彼ら(ツアーを運営するオーシャンゲート・エクスペディションズ社)がやっていることは、乗客を乗せるには実験的すぎる、認証が必要だ、と会社に手紙を書いたほどです」と、以前からツアー社のやり方を懸念していたことを明らかにした。
【動画】”Titanic” filmmaker James Cameron weighs in on the ‘catastrophic’ Titan sub implosion | ABC News
さらにキャメロン監督は「タイタニック号の事故そのものが、船長が前方に氷があることを何度も警告されていたにもかかわらず、月の光がない夜に全速力で氷原に突っ込み、その結果、多くの人々が亡くなりました。警告が聞き入れられなかったという点で、非常によく似た悲劇なのです。世界中で潜水が盛んに行われている中で、(タイタニック号が沈んだ)まったく同じ場所でこのような事故が起きたことはおどろきです。本当に非現実的です」と語っている。
またキャメロン監督は、今回タイタンに乗っていた、元フランス海軍の潜水士で「ミスター・タイタニック」の異名を持つポール=アンリ・ナージョレ氏(77)と友人であったという。
彼について監督は「ポールはフランスの伝説的な潜水艇のパイロットで、私の友人でした。この界隈はとても小さなコミュニティーなのです。ポールとは25年来の付き合いで、彼がこのような悲劇的な死を遂げたことを僕は受け入れられません」と、悲痛な胸の内を語った。