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「Couples Therapy」シーズン3第2部 ガスライティングで煙幕を張る伴侶と感情を否定し無力感を感じる伴侶が繰り広げる壮絶な闘い グラルニク先生にとっても試練のシーズン 

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4月28日に放送開始となった、「Couples Therapy」シーズン3第2部は、ガスライティングなる心理的操作の具体例を紹介する時を得た9話。人間って、ここまで手の込んだ手を使って、自分の恥部を隠したいものなのか!と感心すること間違いなし。

7月8日付けのコラム「Couples Therapy」シーズン3第1部に引き続き、今回は今年4月28日から放送・配信されたシーズン3第2部をご紹介します。第一話初っ端から、グラルニク先生が「私はお二人のセラピストとして適任者ではありません」と爆弾発言をして、一体何が起こるのか?と興味をそそります。又、第2部は若い世代のポリアマリー(複数性愛)の実験やオープンマリッジ(お互いの合意のもとで、婚外恋愛/交渉を認め合う夫婦の形態)とモノガミー(一夫一婦制)の間を揺れ動く二組のカップルを中心に、一夫一婦制は今や古代の遺物なのかを探ります。

英文評はこちら。

第1部とは打って変わって、今回は浮気をした伴侶(クリスティー、ショーン、ネディーン)が、ガスライティングと呼ばれる心理的操作(あるいは虐待)の一種を駆使して、意図的に歪んだ情報で連合い(ブロック、エリカ、クリスティーン)の頭を一杯にして混乱させ、認識・記憶・知覚・正気を疑うように仕向けた結果、信頼関係が揺らいで二進も三進もいかなくなった三組のカップルが取り上げられます。ガスライティングで伴侶を操ろうと躍起になる加害者には、「どうして分からないのか」「執拗に過去の過ちをほじくり返すだけで、全く進展がない」「先生、何とかして下さい」等の発言から、私/俺は「完璧!」だけどパートナーに非があると上から目線で述べる驕りが読みとれます。セラピーの目的は、結婚号が座礁した責任は双方にあり、お互いが自分の非を認めて変わらない限り前進はできないと悟ることにありますが、シーズン3にしてグラルニク先生がセラピストとしての能力や忍耐が試され、目前で繰り広げられるどこまで言っても平行線!的な夫婦の壮絶なせめぎ合いを、呆然と見ているだけのシーンも多々あります。

結婚歴15年のブロックとクリスティー

二度と傷つけないと保証しないクリスティーの頑固さに前進できないブロック(左)と、「モノガミーの束縛から解放してあげた」と恩着せがましいクリスティー(右)。モルモン教会を捨てて、新たな航海に乗り出せるのか?Courtesy of Showtime

 

ブロック21歳、クリスティー18歳で結婚した敬虔なモルモン教信者は、結婚7年目にクリスティーが多重婚(ポリガミー)を含めた教会の男性上位主義=男尊女卑に居たたまれなくなって、脱会した事に端を発しています。16年後、教会も家族も何もかも捨て、人生の再スタート線に立った今、一夫一婦制に戻れるか?新しい形態を模索すべきか?等、お互いの条件の擦り合わせのレフリー役をグラルニク先生に託します。

現在、NYの別々のアパートに住むブロックとクリスティーには、2022年夏のクリスティーの不倫をどう処理するかが最大の争点です。オープンマリッジに切り替えた時、ブロックが「あいつとだけは、浮気してくれるな!」と釘を刺したにも関わらず、「私の不倫でモノガミーの束縛から解放してあげたのよ。お礼を言われて当たり前なのに、未だに拘っているの?」「あなたとは何の関係もないって、何回言えば分かるの!?」や「生まれて初めて満喫した解放感と癒し体験にイチャモンつけないで!」とのたまわるクリスティー。はー?夫が妻の浮気と何の関係もないって、どういう意味ですか?ブロックがどれ程傷ついたか等、てんでお構いなし、眼中にもありませんし、不倫を悔いるそぶりなど皆無どころか、唯一自分独りで決めて出た行動!と逆に誇らしげです。これは、単なる一夫一婦制に付き物の貞操義務の範疇を遥かに超えています。

自分の一時の気の迷いを堂々と美化し続け、未練たっぷりを匂わせておきながら、二度とモノガミーの箱に入れてくれるなと怒り狂うクリスティーは、夫の弱み(思いやりがあって、優しい)に付け込んでガスライティングという卑怯な手段で操ろうと必死です。膠着状態のブロックは、クリスティーの余りの頑なさに、「もしかしたら、もう一度モノガミーに収まれと要求したり、二度と不倫はしませんと約束を取り付けようとする自分が’おかしい’のだろうか?」と思い始めます。

クリスティーが死守するのは、漸く手に入れた暗い過去(教会、男上位、家族のしがらみ)を逃れ、死ぬ思いで勝ちとった自立(誰にも指図されずに、自分の意思で決めたことを実行する’天にも昇る心地’の解放感)です。聖書は、男は神に仕え、女は神と男(夫)に仕える義務があると明記しています。従って、殆どの組織化された宗教では、何もかもが男上位、男に都合の良いルールになっていて、階級が一段下の女子供連中は、父・夫や聖職者に質問をすることさえ許されず、教育も中学校まで(賢くなると口ごたえするからでしょうか?それとも、家事と育児に然程教育は必要ないからでしょうか?)、女の人権など完全に無視されています。

外界から遮断されて、このような社会で親から子、子から孫へと何代にも渡って終末思想や男上位を洗脳されると、比べる世界がない為、盲信するようになるのは致し方のないことです。そこに気付いたクリスティーが、女をコントロールするモノガミーを含むあらゆる制度から解き放されて、自由に生きたいと思うのは無理からぬことです。生まれ育った社会に愛想を尽かして、何もかも捨てて新天地で一からやり直すのは、並大抵のことではありません。「もっと自由な生き方がある筈!」という固い信念と「脱出しなければ自分がダメになってしまう」という怒りと恐怖が、旧社会の何もかもを捨てて、新天地へ飛び立つ燃料になります。永遠に「マッドメン」の世界である日本社会に愛想を尽かして米国に移住した私も、クリスティーと同じく男尊女卑が今後も延々と続きそうだと悪い予感がしたからです。

そんな世界で生まれ育ったクリスティーが外界に興味を示し、伝統的な結婚を維持するためにブロックの犠牲になっていると感じた時に、箍が外れて世界が全壊しました。クリスティーが脱会しても、すぐに追いかけて来なかったこと、何年も経ってから脱会した理由が結婚を守るためではなかった事に恨み辛みを並べ立てます。ある意味、クリスティーが教会・社会・家族から受けた男尊女卑の全責任をブロックに課して、宿敵として睨み付け、報復しているように見受けます。これでは、先に進めませんよね?

お互いを傷つけあったことは確かで、現在信頼度は低いため、結婚を維持して行くのは困難な状況です。何よりも、クリスティーが二度とブロックを傷つけないと口が裂けても言わないのが引っかかって前進できません。そう簡単に敵に丸め込まれてたまるかと守りの姿勢のクリスティーは、答えを迫られると本音(気持ちを素直に表現する)を盾に、デリカシーに欠ける、取り返しのつかない言葉を放ってしまいます。「思ったことをそのまま伝えることが最も正しいという勇気は認めますが、吐いた言葉に責任をとらないと」とグラルニク先生にたしなめられるシーンもありますが、嫌味や皮肉、氷の視線、敵の要望を飽くまでも拒絶し、「何で分からないの〜」と地団駄踏むクリスティーを見ると、妥協策に歩み寄る交渉ではなく、今後起こり得るいさかいや睨み合いなどを抹消する為の、すべての小競り合いに終結をもたらす為の闘いのようです。

ブロックが考え方を180度転換して理解を示し、残酷な(?)行為をやめてくれさえすれば全てが解決すると、クリスティーは信じています。しかし、無理矢理変えようとする余り、ブロックの人柄を否定、夫婦と言えども元は赤の他人だったことを完全に忘れているようです。ブロックを尊重する気持ちが皆無、自分の主張だけが正しいと押し付ける(洗脳する程の力はないようですが. . .)のは、承知の上で、夫に辛い思いをさせた/傷つけた、そんな自分を直視することができないからです。クリスティーは、やましさを抱えるストレスに耐えきれず、「この辛さは自分のものではない」と課題をブロックに丸投げしています。ガスライティング手法で、ブロックは学習性無力感、自分の気持ち不信、決定麻痺などに陥っています。二人はどこまで行っても平行線なのでしょうか?

結婚歴8年のショーンとエリカ

コロナ禍の外出禁止令が出て初めて娘と時間を過ごしたキャリアウーマンのエリカ(左)。「一夫一婦制なんて茶番劇」とうそぶくショーンは、どこで覚えたのかガスライティングの達人。忍耐強いグラルニク先生でさえ、如何に追っ払おうかと思案した程の強烈さである。Courtesy of Showtime

 

開口一番「一夫一婦制なんて茶番劇」とうそぶくショーンは、ガスライティングの鉄人です。「エリカの怒りが原因で、膠着状態。何とかして欲しい!」とカウンセリングに姿を現したショーンは、「俺様には深い洞察力がある」「超内省的!」と煙幕を張って、完璧な自分をアピールします。しかし、いざ自分に矛先が向けられるや否や、巧みにエリカに向け直して責任を回避します。オープンマリッジだと勘違い(?)して裏切った妻エリカが、20%の不平不満に焦点を当てて、いつまでも責めるからで、ポジティブ思考を勧め「80%の幸せに浸っていれば、それで良しとすべき!不倫なんか忘れて、俺様を人生の優先順位のトップにしろ!」と要求します。はー?

ガスライティングの目的は、相手を無力化し、精神的に追い詰めること。「エリカが悪い」「エリカの責任」が口癖のショーンは、内省するのが何よりも怖く、不倫や失業(5年以上も、妻に働かせて、Mr. Momに徹し、「子育ては今しかできない!」とか、「エリカの方が稼ぎが良いから」等と正当化し、失業に甘んじています)を責められたり、無能人間であることがバレるのが怖いから、煙幕を張って誰も近づけたくないのです。

学習性無力感からショーンに盲目的に依存し、不倫したのはエリカではないのに、何故か罪悪感に苛まれ、どんどん自分を信じられなくなっています。すっかり洗脳されたエリカは個人セラピーを1回受けただけで、「コントロールできない事は水に流して、もっと穏やかな人間になれば一件落着」と学んだと言います。いつまでも夫を許せない自分が悪いと言いつつも、心のどこかで「何か変だな?」と違和感を感じていることも確かです。エリカは「傷ついたのは私なのに、何であんたが血を流してる訳?」と、ショーンの洗脳にはたと気が付きました。

ガスライティングの陰に隠れて姿を現さないショーンを如何に扱ったものか、グラルニク先生は、臨床指導医バージニア・ゴールドナー先生やピア・アドバイザー・グループ(今回は男性2人、女性2人の計4人)にアドバイスを求めます。その甲斐あって、ショーンの生い立ちのトラウマから、恥と自己嫌悪を感じるのが嫌で、ガスライティングの裏に身を隠しているのだと判明。母親から「お前は、ディスレクシア(読み書き障害)持ちのできそこない」と人生のレールを敷かれたため、妻を泣かせるような人間になったことが後ろめたい、でも絶対に認めたくないというのが動機です。誰でも(特に男性は)「傷つくのが怖い」とか「出世欲のないダメ男だとバレて見放されるのが怖い」等の恐怖心から自分を守ろうとする本能が働いていることに気づいて、内省しなければ、成長・前進はできません。

第4話で、余りにも頑なに内省することを拒むショーンに、「私の力が及ばないようです」や「私はお二人のセラピストとして適任者ではありません」等の稀な爆弾発言で応えるグラルニク先生。要は、こんなしんどい思いはもう御免!と流石の先生も逃げの一手。如何にお引き取り頂こうかと悩んだ挙句の果ての言葉です。最後通牒を受け取ったエリカが、「ほうら、態度が悪いから、又追い出されるじゃない!」とセッション後、ショーンに注意するシーンが、二人のセラピーの前科を物語ります。最後通牒の効き目があって、ショーンが次第に自己開示するようになり、エリカも夫を責める口調を使わずに、理解しようと努めるようになります。

同棲歴4年で現在婚約中のジョシュとナターシャ

子育てで疲れ果てた「その気にならない」ナターシャ(左)と、色情狂扱いされて噴火寸前のジョシュ(右)。幼い頃、英雄と崇めた父親から引き離した自己チューの母親とナターシャが重なり合って、愛情飢餓状態を呈するジョシュ。Courtesy of Showtime

 

子供が生まれて夫婦生活や親密度が皆無と、異常なほどの寂しさを訴えるジョシュ。子育てに疲れ果てて、その気にならない!と、極力接触を避けようとするナターシャ。あれこれ試してはみるものの、ナターシャが時折見せる愛情表現も、ジョシュにとっては焼け石に水です。ジョシュが渇望するのは、一瞬でピークに達する電子レンジ型の夫婦の営み。じっくり時間をかけないと温まらない電気オーブン型の妻の反応を気長に待つ気は更々ありません。これは、根本的な男女の違いですが、知ってか知らずかジョシュは成果をせっつく余り、噴火寸前です。せっつかれれば、せっつかれる程に、ナターシャは興醒めして、益々居直ってしまう悪循環を繰り返しています。

生まれや育ち、幼い頃の体験などで、人間には各自のフィルター(視点、観点)が形成され、十人十色のフィルターを通して、世の中を見ているものです。ジョシュは、例によって例の如く、子育てより男遊びに忙しい毒親に育てられ、構ってくれる父親とは引き離され、愛情飢餓状態を体験、14歳で街の不良グループと群れるようになりました。ナターシャは18歳で未婚の母となり、DV夫から逃れようと、学歴や経験不足を誤魔化して、サバイバルを賭けて我武者羅に生きてきましたが、基本的には自尊心が低く、苦難を乗り越えて堅気の人間になったジョシュの側にいれば、自信のおすそ分けがあると信じている節があります。婚約中ということもあって、ナターシャは、このままだといずれジョシュから婚約を覇気され、元の木阿弥になることを恐れて、ジョシュの失望の重みでガチガチに固まって、動きが取れません。一方、ジョシュはナターシャがガチガチに固まって何もしないことに無力感を感じています。

しかし、この悪循環の雪解けは意外に早くやってきます。ナターシャがグラルニク先生お勧めの本を読んで、無条件に自分を受け入れなければ、人を愛することはできないと悟ったと嬉々として語ります。ジョシュの反応「それは結構だけど、肝心なことは達成してない!」に、ナターシャの努力が水の泡に. . .と思いきや、刺々しい言葉が胸にグサッと刺さったナターシャが「私の努力は認めないってこと?」と反論。ジョシュが、士気をくじくような発言を認めて謝ると、二人の関係が大きくシフトします。浮気をした伴侶(クリスティー、ショーン、ネディーン)は、自分の言動がどれ程相手を傷つけたか等、考える能力がありません。目前で、のたうち回って苦しんでいる伴侶を見て、相手の気持ちを読む能力がないから、平然としていられるのです。デリカシーがないと片付けて良いものでしょうか?人生経験が浅いから?私なら、あれ程苦しめていると分かった瞬間に、自分が正しいと思っていても、とにかく謝ってしまいます。

同棲16カ月のネディーンとクリスティーン

泣く泣くポリアマリーに合意したクリスティーン(左)と、どん底で巡り合ったクリスティーンの献身的な愛が息苦しいと言えず、交際の形態を替えて新しい彼女を取っ替え引っ替えできれば丸く収まると考えたネディーン。色々とあって、結局は破局を迎える中東出身の若者二人。Courtesy of Showtime

 

「ポリアマリーにならないといけないんです」と開口一番、セラピーのゴールを述べたクリスティーン。同棲16カ月目にして、ネディーンの要望を聞き入れなければ、二人の仲は終わり!と最後通牒を突きつけられて、泣く泣く呑んだものの、IBS(過敏性腸症候群。ストレスを消化器官に現す病気)が発症して、惨めな毎日です。不倫でなく、複数の人を同時に好きになるので、クリスティーンの合意を得て、新しい彼女と性愛関係を築き、現存のモノガミー(一人のパートナーとしか交際しない形態)から、形態を切り替えようというネディーンの企みです。

同時に二人の男性を好きになったことがない私には、全く理解できない概念です。モノガミーが唯一の結婚の形態であると限定はしませんが、二人の間でさえ、弛まぬ労力を注がないと結婚が凍結してしまう事を身を以て体験した人間としては、複数のパートナーなど考えただけで、疲労困憊してしまいます。どちらかと言うと、女が男に頼らずとも自立できるようになった今、「結婚」の形態を廃止した方が世の中スムーズにいくのではないか?と考えています。

伝統的なモノガミーが半々の割で成立しなくなった今、ゲイとしてカミングアウトした若者ネディーンとクリスティーンが、一般的にはまだ浸透していない結婚の形態を模索するのは自然の流れなのかも知れません。しかし、泣く泣く合意したクリスティーンは、ネディーンが境界線を平気で超えて、勝手気ままに振る舞うので、針の筵に座る思いです。又、この二人には、中東の宗教戦争とイスラエル建国による難民問題など、私の理解を遥かに超えた民族的、宗教的な問題が根本にあるため、不可解なことも多く、イスラエルからの移民グラルニク先生が、このカップルを猫可愛がりするのもほとんど理解できません。

最終的には、二人はそれぞれの道を歩き始めますが、ネディーンの勝手気ままは、カミングアウトして父親から勘当されて仕送りが途絶えて、どん底で出会ったクリスティーンの献身的な愛情を息苦しいと感じるようになり、自由に生きたい!と思っていた時に巡り合ったのがポリアマリーという結婚の形態でした。「貞操義務で雁字搦めのモノガミーの箱を飛び出したい!と思った」と、非を認めています。若いからこそ実験できる、結婚の形態。しかし、オプションがあり過ぎるのも、考えものなのかも知れません。

臨床指導医バージニア・ゴールドナー先生の的を得たアドバイスは貴重!今回もガスライティングの達人をどう交わして、自己開示させるかのシナリオを提供。これを受けたグラルニク先生は、自分なりの言葉に替えてガスライティング男に対処する。Courtesy of Showtime

 

シーズン1で「夫婦セラピーは、両極端の立場を頑なに維持しようとするパートナーのいずれの味方をすることなく、常に中立を守らなければならない綱渡り芸人のようなもの」と述べたグラルニク先生もシーズン3にもなると、経験豊かで奥の深いセラピストに成長しました。幼い頃、両親からどのような世界観を植え付けられ、両親の行動や何気無い言葉に傷ついたから今があるのかを探る、過去の開示から始めなければ、何が連れ合いとの関係を阻止/妨害しているかが見えてきません。故に、シーズン1のような綱渡り芸人ではなく、シーズン3第2部では「無意識反応」を発掘する考古学者を務める一方、ガスライティングの達人が捏造した’都合の良い現実’や混乱を招くために放つ解読不可能な言語を、被害者に分かりやすく伝える通訳の役目も果たしています。

一方、クライアント(相談者)自体も、第2部には怖気付いて殻に閉じこもったカメ伴侶は登場しません。ガスライティングの被害者であるブロック、エリカ、クリスティーン、+遂に自分を見出したナターシャも、皆しっかりとした自分なりの意見や要望を率直且つ冷静に述べ、やられっ放し!の連れ合いは、1人も登場しませんでした。あっぱれ!としか言い様がありません。

 

穏やかなグラルニク先生が怒るシーンが登場してびっくりしたシーズン2。今シーズンはセラピーの真髄「ありのままの自分を正直に見せ、真実を語らなければセラピーは成立しない」と述べて、扱い切れないショーンを放棄しようと計画。Courtesy of Showtime

 

ショーンが押しても引いても本音を出さないことに悶々として、「ありのままの自分を正直に見せ、真実を語らなければセラピーは成立しない」とセラピーの真髄を語ったグラルニク先生。ガスライティングの煙幕の裏に隠れて、ターゲット(個人あるいは集団)が自分の記憶や認識、正気を疑うよう、疑問を植え付ける心理的虐待を駆使しているからです。ターゲット(被害者)の言うことを繰り返し否定し、攪乱、反論、嘘等で不安定のどん底に突き落とし、ターゲットが信じて止まない真実は間違っているか、おかしい(=異常)と思わせます。

壁を隔てた向こう側に8年余り住んでいた犯罪者一家のガスライティングのターゲットにされ、酷い目に合った私。証拠があるのに「そんなことは言っていない」と過去の発言を否定したり、自分のせいであっても白々しく私を責め立て、ご近所に陰口を叩いては、私に反感を向けるよう根回しする等、混乱が人を弱らせることを百も承知した上での、沈黙を強いる行動の被害者だったからです。警察に通報した後、嫌がらせや仕返しが益々エスカレートするのが怖くて、泣き寝入りするしかありませんでした。あー言う輩に限って、法律の抜け道に精通しているので、訴えることもできません。

しかし、グラルニク先生が語るセラピーの真髄を聞いた時に、トランプが崩壊した民主主義の国アメリカの現状と同一だ!閃きました。私腹を肥やすこと、権力を手にして報復すること(例:オバマ大統領やヒラリー・クリントン、不動産会社を人種差別で訴えたテナント等々、生まれてから自分の意に反した人間全員)のみが目的で大統領になったトランプ教の教祖は、虚実を巧みに織り交ぜ、途方も無い陰謀論を展開しつつ、真実を見極める能力があり、真っ向から教祖様に楯突いた勇気ある良識者を、洗脳されたトランプ教盲信者(人口の40%と言われる)とグルになって徹底的に糾弾し、追い詰めていくことに快感を覚える前代未聞の悪党です。正直と真実をこの世から抹殺するために生まれて来たようなトランプが、潰しに掛かったアメリカは、果たして生き残れるのでしょうか?今年に入って、連邦政府、州政府、NYマンハッタン地区検察局、セクハラ民事訴訟等々、大統領になる前から職を失った今に至るまでに、憲法や法律を完全に無視して、やりたい放題したツケが、ようやく信じられないスケールで回ってきそうです。24年の大統領選に通ったら、自分を恩赦すると公言しているので、是非この機会に二度と公職につけないように何とかして頂きたいものです。ロシアに引き取ってもらう訳には行かないのでしょうか?(笑)

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