クリストファー・ノーラン監督は自身がメガホンを取った最新作『オッペンハイマー』が、今夏の話題作『バービー』と全米公開日が同じなことに不満を抱いているようだ。
ノーラン監督の『オッペンハイマー』は、1億ドル(約140億円)もの予算が投じられた超大作。日本に甚大な被害をもたらした原子爆弾の開発に尽力した人物であり、「原爆の父」と呼ばれる物理学者ロバート・オッペンハイマー(演:キリアン・マーフィー)を主人公にした作品だ。なお、現時点で日本で公開されるかどうかは決まっていない。
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一方の『バービー』は、世界でもっとも有名なファッションドール“バービー”が題材。完ぺきでハッピーな毎日が続く≪夢≫のようなバービーランドで暮らしていたバービー(演:マーゴット・ロビー)とケン(演:ライアン・ゴズリング)が“人間世界”に迷い込んでしまったことをきっかけに“本当に大切なもの”を見つけるドリームファンタジーとなっている。
【動画】映画『バービー』日本版本予告
ノーラン監督といえば、2002年の映画『インソムニア』を筆頭に、『インセプション』(2010)や、『ダンケルク』(2017)、“ダークナイト・トリロジー”など、すべての作品を映画会社「ワーナー・ブラザース」と組んで発表してきた。
しかし、パンデミックの真っただ中であった2020年、ノーラン監督の『TENET テネット』が劇場限定で公開されたあと、親会社であるワーナーメディアは、2021年にリリースされるすべての映画を劇場と動画ストリーミングサービス「HBO Max」で同時公開するという決断を下したのだ。
これにノーラン監督は「映画業界の大手製作会社や映画スターたちは、夢の映画会社と一緒に仕事ができるとウキウキしながら眠りについたのに、目が覚めると最悪のストリーミングサービスと仕事をすることになっているんだよ」と猛反発。「彼らは何を失ってしまうのか理解していない」と非難していた。
それもあってか、今回、ノーラン監督はユニバーサル・ピクチャーズと手を組み『オッペンハイマー』を製作。2023年の公開カレンダーが埋まり始める中、7月21日に『オッペンハイマー』の公開日を設定した。『ダークナイト』以来、7月の半ばを公開日に設定するノーラン監督にとって『オッペンハイマー』を7月中旬に公開することは何らふしぎではない。
しかし、同日に大作映画が公開されることが決定した。それがノーラン監督にとってはいまや宿敵(?)であるワーナー・ブラザースの『バービー』だ。
ある情報筋によると、ノーラン監督は『オッペンハイマー』と『バービー』が同じ週末公開なことに腹を立てていたのだとか。特に7月中旬は映画関係者の間では“ノーランの週末”として知られている。
米Insider誌によれば、一部の映画館関係者は『バービー』の公開日を移動できないかワーナー・ブラザースに説得を試みたものの、ワーナー側は一歩も譲らなかったという。ワーナーのこの決断は非常にめずらしい。というのも、大作映画を同じ日に公開すると、両方の興行収入が減る可能性があるためだ。
なお、初期の興行収入予測では『オッペンハイマー』が4000万ドル(約56億円)ほど、『バービー』は8000万ドル(約112億円)ぐらいのオープニング成績になるのではないかと言われている。
映画『バービー』は日本では8月11日(金)に公開される。