人気海外ドラマ「シカゴ P.D.」のキム・バージェス役で知られるマリーナ・スコーシアーティが来日。TVGrooveのインタビューに応じてくれた。
彼女が出演している「シカゴ P.D.」は、リーダーであるボイト率いる特捜班が、街にはびこる悪に挑む大人気クライムサスペンスシリーズ。海外ドラマ専門チャンネルAXNでは、ついにシーズン5が毎週金曜夜11時から日本独占初放送中、6月5日にはシーズン4のDVDがリリース予定だ。
マリーナはパールがあしらわれたカチューシャと黒い花柄の服装でインタビューに登場。日本のお菓子である「きのこの山」がお気に入りだそうで、スナックをつまみながら終始和やかなムードであった。さらに彼女自身の携帯で撮影中のハプニング映像を見せ、貴重な裏話を披露する一幕もあった。
―― インスタグラムを拝見させてもらったのですけれども、数日前から日本に滞在されていて大阪や箱根を訪れたそうですね。その中でも印象的な場所などはありましたか?
自然の美しさが印象的ね。例えばNYのタイムズスクエアのような街と自然が共存しているクレイジーさ、そういうものが隣り合わせにあるということに心を打たれたわ。街の中をマリオカートのような車が走ってるのも見たし、大阪の神社で見た月の庭園[注:”Moon Garden”と発言していたが、おそらく住吉大社の太鼓橋?]も見た。都会育ちで、都会の雰囲気も好きだけれども、そういう世界から抜けて、自然も両方堪能できるというところが素敵だと思うわ。
日本は自然の美しさ・地球の美しさっていうのをすごく重要視していると思うわ。NY育ちだからそういう感覚が失われてしまっているということもあるかもしれないのだけどね。日本の場合は都会はすごく華やかだけど、その中で自然に対するリスペクトっていうのが色々なところで感じられるところが素晴らしいと思うわ。
―― 作品について聞かせていただきたいと思います。私はキム・バージェスがとても大好きなのですが、シーズン1の第1話からずっとレギュラーで出演されていますね。キムの個別のウィキペディアのページが作られるほど愛されるキャラクターになると、当初から予感されていましたか?
(大好きだと聞いて)イェーイ!!
俳優として番組が6、7シーズン続くのってなかなかないことなの。だからシーズン1のときは大学時代の友人2人から部屋を借りて住んでいたの。どこまで続くかわからなかったからね。やっぱり俳優としては、いつでも動けるように身軽にしていないとね。でもキムが成長する姿を見られるっていうのは貴重だし、それをとても楽しんでいるわ。
あとね、私のお母さんはいつもどんな状況でも笑顔を忘れないようにって言うの。キムのお母さんもきっとそう言うんじゃないかと想像してる。というのは、キムは最初CA(客室乗務員)をしていたの。キムのお母さんは娘に警察官になって欲しくなかったというバックストーリーがあるのだけど、それでもたぶんキムはお母さんの教えによって笑顔を忘れないようにしようという気持ちでいるんじゃないかな。だんだんシーズンが深まっていくごとに、気持ちがすさんでいく展開になっていく中でも、笑顔を大切にするということは大事にしていると思うわ。
番組が放送されるごとに毎回母からメールがくるのだけど、ボイトにもっと笑顔でいろと言えって指示が出るの(笑)。
―― 「シカゴ P.D.」だけではなく「シカゴ・ファイア」や「シカゴ・メッド」にも出演されていますが、いろんなシーンに登場して混乱することはありませんか?
どの番組も雰囲気が違うのよ。例えば他のシリーズに出演する場合は、友達の家に行くみたいな感じ。ちょっとずつ雰囲気が違うと言うか、「シカゴ・ファイア」の方が脚本的にはコメディ要素が多いけど、実はもうちょっと現場はシリアス。「シカゴ・メッド」の方は「シカゴ P.D.」と雰囲気が似ていてもうちょっとリラックスしていて、楽しげな雰囲気があるかな。それぞれのシリーズのキャストとみんな友達だから、一緒に友達と遊んでいるって感覚よ。
―― 今や「シカゴ P.D.」は大ヒットシリーズとなりました。私生活に変化はありましたか?
正直に言ってしまうと、前よりは余裕ができたわ。老後のためにお金を貯めることは、俳優はなかなかできないのだけど、それもできるしね。あと私はシットコム(「フルハウス」「フレンズ」などの同じ舞台やキャストで一話完結のストーリーを紡ぐ「シチュエーション・コメディ」の略)が大好きなの。そのためのスクリプトを書く時間ができた。俳優は次から次へと仕事をこなさなきゃいけないけど、余裕を持つことができているわ。
―― ドラマシリーズの魅力の一つとして、キャラクターをどんどん掘り下げていけるということがあると思います。キムを演じる上として“Polite”というのが基本だと思うのですが、変化をつけるために何か意識されていることはありますか?あと“Polite”以外で何か他に役として保っていきたいものがあれば、それも聞きたいです。さらに今後のキムにどんなことをして欲しい、どういう展開を期待しているかも教えてください。
警察ものでかわいくてスウィートな役をやるのって、その先にまだ何かあって、役に幅があるのが面白いと思う。キムにはダークな面が降りてきてしまうのよ。今アメリカではシーズン6を放送しているけど、これ以上ないというくらいダークなところまで行ってしまったところから元の自分に戻ろうとしている。葛藤の部分があるのね。長く警察の仕事をしていると残酷なシーンを見なくてはいけなくて、心が冷えてしまうの。だから昔の軽やかなキムに戻ろうとしていて、一周した感じがあるわね。まだ(捜査班のリーダーである)ハンク・ボイトの世界には到達できてないけど、そこから戻ろうとしているところだと思うわ。
―― 前回「シカゴ・ファイア」のテイラー・キニーが来日した際、消防服がとても重くて大変なところがあると言っていました。「シカゴ P.D.」の場合、銃のスタントがありますし、走ったりすることもあります。とてもたいへんだと思いますが、体力作りなどされていますか?
(消防服について)テイラー・キニー結構文句言ってたわよ(笑)。
毎日ワークアウトしてるわ。みんなそれぞれシステムがあって、個々の体に合わせて、スケジュールを作ってくれるところに行ってるの。テレビでは1回のシーンしか映らないけれども、その撮影を50回やらなければならないという場合もあるから走りまくってるわ。一日の終わりにはお風呂に入ってゆっくりするのよ。シーズンごとにうまくいっているなと感じている。だけどシーズン2の撮影で、間違えてレンガの壁にぶち当たってしまったことがあるの。数えるとすごいたくさんケガをしているのだけど、今はそんなにしなくなったわ。私の携帯にレンガのときのビデオあるかしら・・・。プロデューサーが「ouch!」(痛い!)っていうメッセージとともに送ってきたのよ。ちょっと探してみるわ。
―― アクションシーンなどをこなされて体力的にもかなり大変だと思いますが、撮影の合間には何をして過ごされているのでしょうか。
テイラー・キニーはセットに携帯を持ち込まないようにしてて、それは素晴らしいことだと思っているわ。なかなか本を読むほどの落ち着きはないし、ただ座るってことはできないし、彼の場合は新聞を読むの。それもいいなって思っていて、私も最近は新聞を読むようにしているの。テイラー・キニーは何をするのかしらと考えながらね、っていうのは冗談なんだけど、携帯をセットに持ち込まないようにするのは実践してるわ。
(と、ここで彼女は例のハプニング動画を見つけ、その場で披露してくれた。その映像は、細い道で犯人を追いかけているシーン。マリーナ演じるキムの前に2人が走っているのだが、そのうちの1人が肘打ちをするアクションがあり、顔を殴ったような鈍い音がその瞬間に聞こえる。しかしその音は殴った際の効果音ではなく、マリーナがレンガにぶつかってしまった音なのだと熱心に説明してくれた。残念ながら映像には、彼女がぶつかった様子はなかったが、かなり痛々しい衝撃音は生々しく録音されていた。)
―― 本作の魅力の一つとしてハンク・ボイトが体現する独特の正義にあると思います。ボイトっていうと「シカゴ・ファイア」で初登場した際はかなり悪役ともうつるキャラクターで、一部のファンからは反感を買うような人物だったと思うのですが、マリーナさんの思うハンクの魅力は何だと思いますか?
やっぱり彼は、果たさなければいけないことをちゃんと果たすところがいいところだと思うわ。悪者はちゃんと罰せられる、善人はちゃんとそれが認められる、必ずしも法を守っているわけではないから、現実の世界で彼は刑務所に行くべきでしょうっていうことになるかもしれない。だけどフィクションなので常に弱い者の立場になっている、手助けをするというところにみんな心を奪われるだと思うの。
―― お忙しいと思うのですが、今ハマっていることや趣味はありますか?
水彩画が大好きなのだけど、日本は私にとって酷だわ。だって素晴らしいアーティストが多いんだもの。日本人は金魚の水彩画が大得意よね。今まで書いたなかでベストの作品、自分では最高だと思ったやつがナプキン程度のクオリティのイラストになってたりするから、自分としてはそういう日本の作品を一回忘れないとやってられないわ(笑)。
(インタビューおわり)
放送・DVDリリース情報
「シカゴ P.D.」シーズン5
海外ドラマ専門チャンネルAXNで
毎週金曜11時より放送中
「シカゴ P.D.」シーズン4
2019年6月5日よりDVDリリース開始
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
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