Netflix(ネットフリックス)による実写版ドラマシリーズ「ONE PIECE」が大ヒット中。この記事では原作漫画との違いを10個紹介する。
【動画】実写ドラマシリーズ「ONE PIECE」予告編
実写版「ONE PIECE(ワンピース)」は、キャラクターデザイン、セット、戦闘描写などにおいて、原作へのリスペクト・愛情を強く感じられるところが多くのファンから高い評判を得ている理由の1つになっている。
とはいえ、コミック96話分の内容を8時間(=アニメ22〜24話分ほど)で語らなければならなかった都合上、何も変更せずに実写化することは不可能だ。
今回は実写版と原作漫画を比較し、増えた要素も減った要素も含め、大きく変わった部分を10個見ていこう。
1)ゾロとMr.7のバトルシーンは漫画で描かれない
実写版におけるロロノア・ゾロ(新田真剣佑)の初登場シーンとなったのは、「バロックワークス」からスカウトに来た「Mr. 7」との戦い。この戦いは、漫画では描かれなかったものだ。
スカウトしに来た彼をゾロが返り討ちにしたというエピソードはセリフの中でのみ語られていたため、そのバトルが可視化されるのは初めてのこと。敵を真っ二つに斬るという実写版ゾロの初登場は、大きなインパクトを与えていた。
2)コビーとヘルメッポは実写版ほど出番がない
原作では、アルビダやモーガンとの戦いが終わって以降、コビー(モーガン・デイヴィス)とヘルメッポ(エイダン・スコット)は漫画本編にしばらく登場しない。数話分の扉絵(※)で後日談が描かれるだけである。
その扉絵連載ではガープの指導のもとで2人が修行にはげみ、海軍として成長していく様子がわかる。
※漫画の本編が始まる前に、そのエピソードのタイトルが書かれたりしているページ
実写版では明らかに2人の出番が増えており、海賊と海軍をしっかり対になるように語る中で、コビーがルフィのライバルのように成長していく存在として描かれている。
3)ガープの初登場はかなり遅い
主人公ルフィの祖父で、海軍中将であるモンキー・D・ガープ(ヴィンセント・リーガン)。漫画における彼の本編初登場は45巻であり、実写版のように序盤から活躍することはない。
ただ、コビーとヘルメッポの師匠として前述した扉絵連載には登場するため、実写版で2人の出番が増えたこと、また海軍のドラマにもスポットが当てられたことにより、ガープの出番も序盤に与えられたようだ。
4)ナミの初登場ももう少し遅い
ナミ(エミリー・ラッド)も、漫画より少し早い段階で登場している。
漫画ではバギーと戦うことになる「オレンジの町」のエピソードでナミは本格的に初登場し、実写版とは異なりバギーが持っている「偉大なる航路(グランドライン)の海図」を盗み出そうと奮闘する。
実写版ではそれより早い「シェルズタウン(モーガン戦)」のエピソードですでにナミが登場し、海軍基地から海図を盗もうとルフィとともに潜入することになった。
5)バギーによる町民のいじめ方が異なる
実写版のバギー(ジェフ・ウォード)はサーカスのテントを張って観客席に町民をしばりつけ、拍手や笑い声を強要するという「サイコなピエロ」っぷりが強調されていた。
漫画のバギーもクレイジーだが、そこまで「サイコ」な演出はなく、その代わりに特大の砲弾で町の一角を吹き飛ばすといった荒くれ者な描写が目立っている。
ちなみに、バギーの部下カバジが過去に兄をゾロに殺されたという話も、実写版オリジナルである。
6)黒猫海賊団はたくさん登場する
実写版において、クラハドールことクロ(アレクサンダー・マニアティス)は2人の部下とともに令嬢カヤ(セレスト・ルーツ)の屋敷に潜入し、カヤ暗殺作戦が始まっても3人で作戦を進行していた。
漫画では、副船長で催眠術士のジャンゴなど、大量の部下が村に攻め入ろうとしてルフィやウソップに倒されるため、もっと規模の大きい戦いが起きている。
7)ウソップはキスされない
実写版では麦わらの一味としてウソップ(ジェイコブ・ロメロ・ギブソン)が旅立つことになる際、カヤからキスされるというロマンチックな展開があったが、これは漫画ではないシーン。
逆に、漫画には「ウソップ海賊団」と名乗り海賊ごっこをしていた3人の子どもがいて、彼らとウソップの別れが感動の名シーンとなっている。
8)クリークはルフィと大バトルを繰り広げる
実写版ではミホーク(スティーブン・ジョン・ウォード)の登場シーンでいとも簡単に斬り伏せられ、悲しい断末魔を電話越しに聞かせることになった海賊クリーク。
本来漫画では、麦わらの一味がサンジと出会う「海上レストラン バラティエ」でメインの悪役としてルフィの前に立ちはだかるキャラクターであり、東の海(イーストブルー)トップクラスの艦隊を率いる大海賊である。
クリークとルフィの戦いを目撃したこともサンジ仲間入りの大きな理由になるため、諸々の事情があるとはいえクリーク戦の全カットには寂しがるファンも多い。
9)アーロンの出番ももう少し遅い
アーロン(マッキンリー・ベルチャー3世)は今回の実写版における、いわゆる「ラスボス」。
シーズン前半から登場してバギーと接触したり、海上レストランにも直接現れてナミと共に船を出したりと、出番を減らされたクリークが気の毒なほどにアーロンが目立っていた。
実は漫画では上記のようなシーンはなく、海上レストランでの戦いの最中にナミがいなくなってしまい、一味がその後を追うまでアーロンが登場することはないのだ。
10 「はっちゃん」という魚人の重要キャラがいる
アーロンの活躍は増えたが、代わりにいなくなってしまったアーロンの仲間がいる。本来クロオビやチュウと共に3人の幹部としてルフィたちに立ちはだかるのが、タコの魚人である「はっちゃん(ハチ)」だ。
アーロンパークでのはっちゃんは手負いのゾロに比較的あっさりと敗北してしまうキャラクターであるため、カットしても問題なさそうにも思えるが、漫画での彼の見せ場はもっと後。
コミック50巻から53巻の「シャボンディ諸島編」、61巻から66巻の「魚人島編」を中心に、「魚人差別」を深く描くエピソードがあり、そこで「人間に友好的な魚人」として重要な役回りを与えられるのがはっちゃんなのだ。
タコの魚人という腕の多い体型や、それによる六刀流という戦い方を実写映像で再現するのが難しかったのかもしれないが、はっちゃんがカットされたことは今後の展開に少し響きそうで、気がかりではある。
シーズン2にも期待!
今回は実写版「ONE PIECE」が原作と異なるポイント10個を紹介した。
このような違いはあるとはいえ、実写版「ONE PIECE」は見事なアレンジによって大ヒット中。
脚本がすでに準備できているというシーズン2では、人気キャラクターであるチョッパーやビビの活躍も期待されるが、果たしてどのようなアレンジが加えられるのか。今から楽しみでならない。
オリジナル実写ドラマシリーズ「ONE PIECE」はネットフリックスにて配信中。
☆作品ページ:https://www.netflix.com/title/80217863
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。