この記事では、9月22日から日本公開となる最新映画『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』をレビュー。その見どころを紹介する。
<目次> ・公式予告編 ・あらすじ ・自由度の高すぎる映像にワクワク ・タートルズの歴史と、アニメとの親和性 ・ティーンエイジの重要さ ・豪華すぎるキャスト
【動画】『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』日本語版予告編
『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』あらすじ
子供のころより“危険な存在”である人間から隠れて暮らしてきたタートルズたち。“普通のティーンエイジャー”として彼らが住む大都市ニューヨークのみんなに愛され受け入れられたいーその願いを叶えるため、新たな友人エイプリルの助けを得つつ謎の犯罪組織との戦いに繰り出す。そんな彼らの前に現れたのはミュータント化した敵の大群だった…(公式HPより)
自由度の高すぎる映像にワクワク
今作の監督を務めたジェフ・ロウは、話題になったNetflixオリジナル映画『ミッチェル家とマシンの反乱(2021)』を手がけた脚本家。『ミッチェル家〜』といえば、映像内に写真をコラージュしたり、ポップな効果を多用したりと自由度の高いアニメーションが印象的な作品で、2022年のアカデミー賞でも長編アニメーション映画賞にノミネートされている。
『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』も、間違いなくその魂を受け継いだ作品だ。
今作の映像の中心には、「子どもが描いた絵」というコンセプトがあるという。マンホールや信号の光など、本来きれいな円形で当然とされるものが、今作ではあえて歪(いびつ)に描かれているし、キャラクターたちも誰一人として左右対称には描かれていないのだ。
タートルズの歴史と、アニメとの親和性
日本では「ミュータント・タートルズ」という名前で親しまれている彼らだが、アメリカ本国でのフルタイトルは「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ(以下、TMNT)」。突然変異したカメ(Mutant Turtles)であるだけでなく、忍者でティーンエイジャーであることも大きな特徴だ。
TMNTの原作はアメリカのコミック作品。コミック作家ケヴィン・イーストマンとピーター・レアードの落書きによって1983年に生まれ、コミックが想定以上のヒット。40年もの間愛されてきたという歴史を誇っている。
そんなTMNTは過去に何度も映画化されている。特によく知られているのは、2つのシリーズだ。
1回目は『ミュータント・タートルズ(1990)』『ミュータント・ニンジャ・タートルズ2(1991)』『ミュータント・ニンジャ・タートルズ3(1993)』の3作品、2回目は『ミュータント・タートルズ(2014)』『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>(2015)』の2作品。どちらのシリーズも、実写映像に着ぐるみのようなスーツや特殊メイク、CGによって再現されたタートルズが加わる形で作られている。
2014年の実写映画『ミュータント・タートルズ』予告編
どちらにも根強いファンはいるものの、当時の技術や、実写映画という都合上、できるアクションが限られていたり、見た目がなかなか怖い(特に後者)という問題にはしばしばツッコミが入ったりしていたことも現実。
そんな中、今回は完全なアニメ映画。さらに前述のとおり、「自由な作画」が全面に押し出された作風だ。色や光も自由に使った映像表現に、「落書き」から生まれたユーモアたっぷりなタートルズが映えるのはもはや必然。作風とキャラクターの相性が最高に噛み合っていて心底楽しい作品に仕上がっている。
「ティーンエイジ」の重要さ
前述したとおり、TMNTは「ティーンエイジャー」だ。今回の『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』では、そんな「ティーンエイジャー」の部分がかなり印象的にフィーチャーされている。
怖いとの声もあった実写版のマッチョなタートルズとは異なり、意図的に筋肉量もセーブしたというキャラクターデザインは、間違いなく4人にかわいらしさをもたらしている。
仕草や表情、選りすぐりの子役による声の演技まで、ティーンエイジャーの可愛さがしっかり描かれている点にもぜひ注目していただきたい。
カンフースターも世界的シンガーも!豪華すぎる声優陣
そして今回、声優陣があまりに豪華。
自身もTMNTの大ファンだというセス・ローゲン(『フェイブルマンズ』『50/50 フィフティ・フィフティ』)のほか、ポール・ラッド(『アントマン』『ゴーストバスターズ/アフターライフ』)、アイス・キューブ(『アナコンダ』『ボーイズ’ン・ザ・フッド』)、ジョン・シナ(『ワイルド・スピード』シリーズ、『ザ・スーサイド・スクワッド “極” 悪党、集結』)など数えきれない豪華な顔ぶれが並ぶ。
さらには、歌をたまに口ずさんでしまうエイのミュータント、レイ・フィレット役には、世界的シンガーのポスト・マローンを起用。
そしてなんといっても、カンフーアクションも特徴的な今作で、タートルズを優しくも厳しくも指導するネズミの師匠スプリンター役には、なんとあのジャッキー・チェンが声をあてているのだ。
こんな豪華なキャストの声の演技を一気に聞ける映画はそうそうない。内容だけでなく声の演技も楽しめるのだ。
予習の必要は?
過去に何度も映画化されているTMNT。もちろん過去作や原作に関する知識があって損はない。
ただ、今回の映画はしっかり初めから物語を語ってくれるため、予習の必要はない。今作だけで楽しめるので、ぜひ肩の力を抜いて映画館でお楽しみいただければ幸いだ。
『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』は9月22日公開。
『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』作品情報
■監督:ジェフ・ロウ(『ミッチェル家とマシンの反乱』)
■製作:セス・ローゲン、エヴァン・ゴールドバーグ、ジェームズ・ウィーバー(『ネイバーズ』)
■公式HP:https://turtles-movie.jp
■公式Twitter:https://twitter.com/turtles_jp
■公式Facebook:https://www.facebook.com/mutantturtlesJP
■全米公開:8月4日
■日本公開:9月22日
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。