2023年に出演映画が公開されなかったダニエル・ラドクリフ。まだまだ現役のはずの彼は、今どのように過ごし、活動しているのか。
『ハリー・ポッター』シリーズが終わってからも、ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフは数々の映画に出演してきた。“丸メガネをかけた魔法使いの男の子”というイメージを払拭するかのように、『スイス・アーミー・メン』『ガンズ・アキンボ』といった奇抜な映画にも積極的に出演し、印象的な役を残してきた。しかし、最近ラドクリフの新作映画の本数はめっきり減っており、2023年は映画に1本も出演していない。
しかし、それには理由があった。
映画ではなく、舞台で大活躍中!
まず1つは、ブロードウェイ・ショーにおける成功だ。ラドクリフは映画にこそあまり出演していないものの、俳優として舞台で活躍し、確実な業績を上げている。
ラドクリフが最後に出演した映画は、2022年の『Weird: The Al Yankovic Story(原題、日本未公開)』だ。それ以来、ドラマシリーズ「Miracle Workers」の新シーズン(2023年)は放送されたものの、映画やほかのドラマシリーズには出演せず、それ以外では、ラドクリフは舞台を中心に活動している。
【動画】『Weird: The Al Yankovic Story(原題)』予告編(英語)
ラドクリフはヌードも披露した2007年の舞台デビュー作「エクウス」以来、ミュージカル「ハウ・トゥー・サクシード」でも観客を沸かせ、2018年には舞台「ライフスパン・オブ・ア・ファクト」でブロードウェイに戻ってきた。その数年後、ラドクリフはサミュエル・ベケットの「Endgame / Rough for Theatre II(原題)」に参加。
そうして彼が舞台で活躍するたびに、『ハリー・ポッター』を中心とする映画作品から彼を応援しているファンたちも長蛇の列を作ったのだ。
最近では、「ハミルトン」のジョナサン・グロフと「回転木馬」のリンジー・メンデスも出演するスティーヴン・ソンドハイムの名作「メリリー・ウィー・ロール・アロング」のブロードウェイ公演にダニエル・ラドクリフも出演している。
「メリリー・ウィー・ロール・アロング」はハドソン・シアターでの6公演のハウス・レコードを更新。チケット代の平均は約225.07ドルで、会場の収容率は100%の満員。最初の6回のプレビュー公演で130万4508ドル(約1億9,400万円)を売り上げた。
この記録は、映画にもなったデヴィッド・バーンのショー「アメリカン・ユートピア」が118万ドルを売り上げて以来破られていなかったもので、コロナ禍のブロードウェイ・リバイバル公演としては驚くべき偉業である。
パンデミック後、劇場は立て直しに苦労していたが、人々が喜んでチケット代を払ってくれる作品があるのはとても喜ばしいことだろう。その売上には、ダニエル・ラドクリフが副主人公のチャーリー・クリンガス(作詞家・劇作家)を演じていることももちろん貢献しているはずだ。
【動画】舞台「メリリー・ウィー・ロール・アロング」予告(英語)
舞台以外のもうひとつの役目も増えた!
そして、彼が以前ほどスクリーンに頻繁に登場しなくなったのにはもうひとつ理由がある。彼は4月以来、「父親」という新たな役に大忙しなのだ。
子供の誕生から数ヵ月後、ラドクリフはE! Newsのインタビューで、父親になったことがキャリアに影響を与える可能性があり、企画を選ぶ際にはより慎重になるかもしれないと説明しつつ、とはいえすぐに俳優業を辞める予定はないと語っていた。
まだまだ活躍していくダニエル・ラドクリフを応援しよう
以前ほど映画に出演していない彼だが、まだまだ現役だ。
実際、ブロードウェイで彼が出演するリバイバル公演の売れ行きが非常に好調。10月10日から開始となる『メリリー・ウィー・ロール・アロング』で、ラドクリフは週8回の舞台をこなす予定だ。
父親になりながらも新たな挑戦を続けるラドクリフに、今後も注目しよう。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。