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なぜ今?評価は「微妙」な12年前のアノSF映画がNetflixの視聴回数3位に。その理由とは

なぜ今アノ映画? ©︎2011 Twentieth Century Fox COLUMNS
なぜ今アノ映画? ©︎2011 Twentieth Century Fox

現在、12年前に作られた意外な映画が英語圏のNetflix(ネットフリックス)で注目を集めており、その映画の評価を知る映画マニアたちが首をかしげている。

世界最大のストリーミングサービスであるNetflixには当然、先週も新作が次々に追加されていた。しかし、先週3番目に多く試聴された作品としてランクインしたのはなんと2011年のSFスリラー映画『TIME/タイム』(以下『TIME』)だった(※)。

※今作は日本のNetflixでは配信されていないが、代わりにU-NEXT、Disney+、Huluで配信されている。

これには海外の映画ファンも驚いている。なぜ今『TIME』なのか?

 

【動画】『TIME/タイム』予告編(英語)

 

『TIME/タイム』の評価は、なかなかの低さを誇っている

ジャスティン・ティンバーレイクアマンダ・サイフリッドがメインキャストを務めた『TIME』が描くのは、文字通り「時は金なり」の世界。

残された時間(寿命)が他人と交換できる通貨となり、富める者は永遠に生きられる世界を舞台に、ティンバーレイクは寿命の少ない主人公ウィルを演じる。

腕に刻まれた「時」が「金」になる ©︎2011 Twentieth Century Fox

腕に刻まれた「時」が「金」になる ©︎2011 Twentieth Century Fox

日本でも比較的有名な(映画レビューサイトFilmarksにて10万人以上が観た作品として登録している)作品だが、今作の評価自体はそこまで高くない。英語圏の大手映画レビューサイトロッテントマトでは批評家の支持37%、観客の支持51%という評価であり、NME誌は「粗雑な台詞、ひどい演技、混濁したトーン」と酷評。アトランティック誌は「忘れ去られた『スター・トレック』の脚本から盗用した作品のように感じる」、イーストベイ・エクスプレス誌も「誰も、こんな馬鹿げた映画に人生の1分を無駄にすべきではない」など、散々な書かれようの作品となってしまっている。

では、なぜ『TIME/タイム』がたくさん観られている?

しかし、Netflixで今作が第3位というのは紛れもない事実。ではなぜ『TIME』が、今そこまで観られているのか。

その理由は単純。現代社会らしく「SNSの影響」、もっといえば「TikTokの影響」だ。
TikTokで人々は互いに、古い映画や無名の映画をレコメンドし合うことも多く、最近『TIME』を共有したアカウントの中には、映画のクリップの再生回数が数万回に達しているものもあるのだ。

『TIME』が突然トレンドに上るというのは今に始まったことではない。2022年末、YouTubeで映画ファンがこの映画を「犯罪的に過小評価されている」と主張したこともあって複数の記事で「今トレンドの映画」として取り上げられ、一時的にブームが訪れたこともある

では、『TIME』は観るべき作品なのか

 

『TIME/タイム』の魅力とは

正直なところ、Netflixで配信中のSF映画の中でベストとは言わない。ジャスティン・ティンバーレイクやアマンダ・サイフリッドが出演した映画の中でベストでもないかもしれない。

とはいえ、今作を好むファンがいることも重々理解できる作品だ。

まず、「寿命が通貨となり駆け引きが生まれる」という独特の設定が楽しめる

現実社会における経済格差は間接的に生死に繋がることもあるが、今作ではそれが間接的でなく直接的に感じられるという点は今作の面白い点だ。劇中でも登場する「少数が不死でいるため、多くが死ぬ」という残酷な貧富の格差が浮き彫りになっている。

さらに、ティンバーレイクはもちろん、ヒロインを演じるアマンダ・サイフリッドのビジュアルがかなり際立っていて、「このアマンダが一番好き」という映画ファンがいても違和感はない。(ちなみに筆者もその1人である)

アマンダ・サイフリッドのビジュアルも魅力的 ©︎2011 Twentieth Century Fox

アマンダ・サイフリッドのビジュアルも魅力的 ©︎2011 Twentieth Century Fox

とんとん拍子に進んでしまって意外と危機感がないテンポ深いことを語っているようでそこまででもないセリフなどは確かに今作のウィークポイントかもしれないが、「観る必要なし」というほどオリジナリティのない作品ではないはずだ。

techrador誌が今作を「チーズバーガーのような映画」と評しているのは言い得て妙で、たしかに安くてジャンキーかもしれないが、そこにしかない美味しさがある食べ物というのは間違いなくある。映画でいえば、『TIME/タイム』はそういう作品といえるだろう。

レビューサイトや批評家の評価だけでなく、突然のトレンドによって意外な作品の人気が上がるのはSNS時代の面白いところ。今後もどのような作品の人気に火がつくのか、楽しみに見守りたい。

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