146日間に及んだWGA(全米脚本家組合)のストライキが正式に終結した。
月曜日、WGAの組合員の大半が、AMPTP(全米映画テレビ製作者協会)との新契約を批准し、長きにわたったWGAのストライキが終結した。
なお、SAG-AFTRA(映画俳優組合-米国テレビ・ラジオ芸能人組合)のストライキはまだ継続中。
終結したWGAのストライキ、ならびに継続中のSAG-AFTRAのストライキの影響は、映画関係者や映画俳優の来日がキャンセルになるといったところに出ており、WGAのストライキ終結はまずは大きな一歩といえる。
WGAは「WGA組合員の99%が2023年MBAの批准に賛成票を投じたことを喜んでお伝えします」と正式に声明を発表。「8,525票の有効投票のうち、「賛成」は8,435票、「反対」は90票(1%)であった。契約期間は2023年9月25日から2026年5月1日まで」と投票の内訳・契約期間を明らかにした。
WGAは会員へのメモの中で、まだストライキを続けている俳優組合のメンバーを「すべてのステップにおいて脚本家を支えてきたSAG-AFTRAの兄弟たち」と表現して感謝を示し、「我々はAMPTPに対し、演者たちのニーズに対応した交渉を行うよう求める」と、製作側による演者たちへの正当な対処を望んだ。
9月24日、WGAは新たな最低基本協約(※)について「暫定合意に達した」「あらゆる部門の作家にとって有意義な利益と保護がある」とするメッセージを会報に掲載した。
※最低基本協約=Minimum Basic Agreement。最低限の基本合意、つまり最終的な契約文言を作成することを前提条件として、すべての争点について基本的に合意すること。
ハリウッドの映画・テレビ番組の脚本家を代表するWGAのストライキは5月に開始。脚本家たちの要求のなかには、最低賃金の引き上げ、ストリーミング番組からの残留報酬の改善、番組あたりの作家数の増加、専属契約の短縮、AIの使用からの保護などがあった。
SAG-AFTRAもまたWGAと同じ要求の多くを挙げ、7月にストライキを開始。このストライキは現在も継続中である。
この2つのストライキにより、テレビ界は事実上行き詰まり、番組の脚本や撮影は行われず、その結果、ネットワークの秋のテレビ番組ラインナップは壊滅状態ともいわれているが、ストリーミングによって大きく変わりつつあるエンタメ業界において、製作サイドと脚本家や演者サイドの双方が認める新たな合意が生まれる機会は間違いなく必要だったといえるだろう。
次はSAG-AFTRAのストライキの正当な終結、そして今後のハリウッドのよりよい発展に期待したい。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。