14年前のジャスティン・ビーバーのインタビュー映像がソーシャルメディアに投稿され、再び大きな注目を集めている。
2008年にYouTubeを通じてスクーター・ブラウンに見いだされたジャスティンだが、彼がスーパースターへ上り詰めるきっかけとなったのは翌年だった。
2009年、彼はデビュー・シングル「One Time」のほか、ヒット曲「One Less Lonely Girl」「Favorite Girl」などを収録したEP「My World」をリリース。このEPがビルボードチャートで初登場6位を記録し、7曲中4曲がトップ100入り。同年末にはジャスティンは世界中に知られるようになり、同世代の新星として確固たる地位を築いていた。
【動画】Justin Bieber – One Time (Official Music Video)
しかし、掘り出された当時の映像を振り返ると、彼の実力をまだ疑っている人もいたことがわかる。
今回ソーシャルメディア上で改めて話題になっているのは、2009年のCTV(カナディアンTVネットワーク)がジャスティンをフィーチャーした特別番組の映像。インタビューを受けているのは当時15歳のジャスティンだ。
【動画】話題になっている特別番組(該当箇所は16:20ほど〜)
番組で彼にインタビューするジャーナリストのサンディ・リナルドは、なぜ彼がこのような成功を収めたのかを具体的に説明するよう求めた。
回答としてジャスティンは「15歳の子どもとしては僕は…ほかの子どもたちに比べて多くの楽器を演奏できるし…」「生意気なことを言うつもりはないけど、僕は歌えるし歌も書けるから」と、ドラム、ピアノ、ギター、トランペットを演奏できて、歌も歌ったり書いたりできるとジャスティンは自分の能力を説明する。
そんなジャスティンに対して、大人げないリナルドは「批評家たちは、あなたをただのマーケティングの産物で、結局のところ、YouTubeで見つかってオンラインで注目を浴びただけだって言うでしょうね」と、ストレートにジャスティンの才能を否定するような発言を浴びせた。
礼儀正しく相槌(あいづち)を打ちながら話を聞くジャスティンに対し、リナルドは「あなた自身は、マーケティングの誇大広告の産物だと思っていますか」と追いうちをかけるような質問を投げかける。
ジャスティンはYouTubeの動画が注目されて人気に火がついていった過去をふり返りながら、「すべてが有機的に起こった」のであり、ジャスティンの人気の上昇は「レコード会社が推し進めたものではなかったよ」と返す。
続けてジャスティンが「基本的に、ファンが僕を愛してくれたことによって今があるんだ」「オンタリオ州ストラトフォードから有名人は出ていなかった。僕が有名になったことで、有名人が生まれるとされていない土地にいるほかの人々に希望を与えられたんじゃないかな」と語り出すと、リナルドは「いやニュースキャスターのロイド・ロバートソンだってストラトフォード出身でしょ」という指摘によってジャスティンの話を遮る。
話の腰を折られたジャスティンは丁寧に反論。自分が言いたいことは「世界的な」レベルの知名度についてであると言い直し(日本人にとってもロイド・ロバートソンはあまり知られている人物ではないだろう)、「たとえばロイドがドイツの小さな町で知られていると思うかな」とリナルドに問う。
リナルドは「そうではないでしょうね、ロイドはカナダの全国ニュースキャスターだもの」と、ジャスティンの主張を(明らかに渋々と)認め、最後にジャスティンに対して「じゃああなたはインターナショナルな魅力を持っていると…そう言いたいってわけね」という言葉を投げかけた。
それに対してジャスティンはにっこり笑って返す。「はい、マダム」と。
答えにくい質問や批判めいた言葉に対しても最後まで礼儀正しく対応した15歳のジャスティンの姿に、人々は改めて心を動かされた。
the way 15 year old justin bieber politely ate her up 😭pic.twitter.com/4yNq6xZGYG https://t.co/eNxhRXSwtY
— KAI (@ended_everyone) October 21, 2023
このインタビュー動画をあるXユーザーが「15歳のジャスティン・ビーバーが礼儀正しく彼女に食ってかかる様子」として投稿すると、たちまち動画はトレンドに。現時点で2,800万人ものXユーザーに届き、次々にコメントが寄せられ大反響となった。
She…why was she talking to a child like this?
— Original Doll (@22dbrit) October 22, 2023
「彼女…なんで子どもに対してこんな話し方をするの」「今ジャスティン・ビーバーを尊敬したわ。このジャーナリストは本当に意地悪だね。嫉妬って、とんでもない劇薬だと思う」などと、まだ子どもだったジャスティンに対するサンディ・リナルドの大人げない対応に多くの批判が集まっている。
no cuz he really went through so much as a kid in the industry and on top of that being bullied by everyone comfortably breaks my heart….
— KAI (@ended_everyone) October 22, 2023
一方でジャスティンには共感や同情、尊敬のコメントが寄せられ、「彼はこの業界のトップに君臨したことで、子供なのに本当に多くのことを経験し、さらにみんなからいじめられている。心が痛むよ」と、若くして大スターになったジャスティンへの共感の声が上がったり、「15歳にしてワイルドな表現力を持ってるな」と改めて彼の実力を認めるコメントも多く見かけられた。
そんなインタビューから14年以上経った今、ジャスティンは当時の主張のまま、実力を証明したと言っていいだろう。
【動画】ジャスティン・ビーバー「Honest ft. Don Toliver」ミュージック・ビデオ
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。