『ファンタスティック・ビースト』シリーズの製作がすべて停止中であることを、デヴィッド・イェーツ監督が認めた。
トータル・フィルム・マガジン誌によるインタビューで、デヴィッド・イェーツ監督は『ファンタスティック・ビースト』シリーズが一時製作停止状態にあることを認めた。『ファンタスティック・ビースト』シリーズは『魔法使いの旅(2016)』『黒い魔法使いの誕生(2018)』『ダンブルドアの秘密(2022)』の3作が製作され、そのすべてをイェーツ監督が手がけている。
今シリーズは『ハリー・ポッター』シリーズの前日譚として製作され、原作者J・K・ローリングによって5部作が想定されていたが、『ハリー・ポッター』ファンの多くは、3作目(『ダンブルドアの秘密』)の興行成績が全世界で4億700万ドル(約609億9000万円)と振るわなかったことから、あと2作の製作が実現されるかどうか疑問視していた。
それに対してイェーツ監督は「『ファンタスティック・ビースト』に関しては、いったんすべてが作業停止している状態なんだ」と現状を明かす。
続けて彼は「最後の作品はパンデミックの中での撮影だった。楽しかったけど厳しい状態でもあったよ。まだワクチンがないときの撮影だったしね。ありがたいことに誰ひとりとして病気にはならなかったけど、その分とても詳細なプロトコルの中で作業を行っていたんだ」と、コロナ禍での3作目製作の苦労について説明。
【動画】『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』予告編
そして「『ダンブルドアの秘密』を僕たち全員が誇りに思っているし、今作が世に出たタイミングで僕たちは一度立ち止まって、ゆっくり休む必要があったんだ」と、世間からは興行成績が振るわなかった作品と思われていようと3作目を誇りに思い、その上で一度休みが必要だという心境・状態を説明した。
『ファンタビ』3作を手がけたイェーツ監督は、今シリーズだけでなく、『不死鳥の騎士団(2007)』から最終章である『死の秘宝 PART2(2011)』まで、4作の『ハリー・ポッター』作品にも関わっている「ハリポタワールド」のベテランだ。
【動画】『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』予告編
しかし、彼は当初、J・K・ローリングが5本の『ファンタスティック・ビースト』作品を製作するという計画を全く知らなかったという。
「5作品作ると聞いた時は僕たちのほとんどが驚いたよ」「ジョー(J・K・ローリングの愛称)はプレス向けの試写会で自然な流れで(5作あることを)口にしたんだ。1作目に取りかかった時点では誰もそんなこと聞いてなかったのに」と、まさかのサプライズ発表に度肝を抜かれたイェーツ監督たち。
とはいえ、「でもね、きっと僕たちは戻ってくると思うよ。とはいえ、まだジョーとも、デヴィッド・ヘイマン(プロデューサー)とも、ワーナー・ブラザースとも話し合いは行われていなくて、僕たちは一時停止中なんだ。でもそれはうれしいことでもあるよ。それによって取りかかれたものもあるからね」とカムバックする気はあることを明かしながら、「停止」中に取りかかれたものの価値についても語る彼だった。
取りかかれたものというのは、エミリー・ブラント、クリス・エヴァンスら出演のNetflix映画『ペイン・ハスラーズ(2023)』のことだ。
「魔法使い映画にかなり多くの時間をかけてきたから、僕は現実世界を舞台に、社会問題も取り入れた、とはいっても深刻すぎたりマジメすぎない映画を撮りたかったんだ」と語るイェーツ監督が現実世界を舞台に手がけた『ペイン・ハスラーズ』は、10月27日からNetflix(ネットフリックス)で配信中。
【動画】『ペイン・ハスラーズ』予告編
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。