テイラー・スウィフトが、アルバム「1989」をリリースした当時の苦悩と環境の変化を振り返った。
先日リリースされたばかりの再録版「1989(Taylor’s Version)」は、テイラー・スウィフトの2014年の大ヒットアルバムの楽曲を単に復活させただけではない。今作のリリースにより、彼女の人生における「1989」制作時の状況と、当時受けたメディアからの注目による苦悩に補足情報が与えられた。
今回特に強調されたのは、テイラーがなぜ女性ばかりと行動するようになったのかについての理由だ。
彼女はアルバムのプロローグをX(旧ツイッター)に投稿。
Taylor Swift’s prologue for #1989TaylorsVersion 🥹🩵
“This moment is a reflection of the woods we’ve wandered through and all this love between us still glowing in the darkest dark.” pic.twitter.com/HGQDTPqKgo
— Taylor Swift Updates (@SwiftNYC) October 27, 2023
「ほら、わかるでしょ…当時数年間、私は激しく執拗なスラット・シェイミング(※)のターゲットになってたの。もしそれが今日起こったとしたら、強い批判と罵倒が集まりそうな行為だよ。私のボーイフレンドの人数をジョークにされ、シンガーソングライターとしての私の活動を、まるで『オトコ狂いのサイコパスが捕食行為をしている』ように表されたりした。メディアもこの傾向を支持してたよね。私はそれをやめさせなきゃいけなかった。だって本当につらくなり始めたからね」と、世間からの「尻軽女」扱いに苦しんでいたことを語るテイラー。今回のアルバムにも新曲として、「尻軽女」を意味する「“Slut!”」という楽曲が収録されている。
※スラット・シェイミング(Slut-shaming):「女のくせに〜」などと、性の固定観念を決めつけ、それと異なる人物や行動を非難・制裁すること。
【動画】テイラー・スウィフト「“Slut!”」リリック・ビデオ
続けて彼女は「私にとって、カジュアルなデートなんてものは存在し得ないことは明らかだった。プラトニックな関係で遊んでいた男友達とすら会うのは難しかった。だって男性と一緒にいるだけで、私はその人と寝たと思われちゃうからね。だから私は、男性を周りに置くのをやめた。デートにしても、ちょっといちゃつくにしても、その全ての行いが私を傷つける結果を生む。だって世の文化は、『女性の解放を信じる』と言いながら、結局ヴィクトリア朝時代みたいな厳しい道徳規範で私を扱うんだから」と、世間が単なる男友達のことさえも性の対象として見てくることが原因で、男性と仲良くできなくなったことを明かす。
「完全な楽観主義者だった私は、自分の行動を変えさえすれば解決できると思い込んでたんだ。デートをきっぱりやめて、私自身に、私の音楽に、私の成長に、そして女友達との友情に集中すると決めた。女友達とだけ遊んでいれば、人々は大きく話題にはできないし、性的なトピックにはできないでしょ」と、女性としか関わらずに自分を高め始めたテイラー。
【動画】セレブの女友達がこぞって出演した「バッド・ブラッド」MV(2015)
「あとで私は人々には(大きな話題にも性的なトピックにも)できるし、されるということを学んだけどね。まあそれは今となってはどうでもいいや」と世間に呆れつつ、「とにかく私はプランを立てて、バスケットに入ったゴールデンレトリバーの子犬のように信頼できる態度をとった。ニューヨークに自分のアパートを持った私のイマジネーションからは、新しいメロディーがあふれ出てきたんだ」と、生活を変えざるを得なかった彼女が自身の活動に集中して取り組んだことをふり返るテイラーだった。
【動画】テイラー・スウィフト「Shake It Off(Taylor’s Version)」リリック・ビデオ
彼女は当時について「私の人生のこの時期は、正しい無邪気さ、冒険への渇望、そして以前に味わったことのなかった自由な感覚を強く感じていた時期」だとふり返り、ファンに対して「このアルバムをどれだけ愛し、受け入れてくれたかについて、いつも本当に感謝してるよ」と感謝を記した。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。