シルヴェスター・スタローンが、友人のアドバイスによって『ロッキー』の脚本を書き直したことを明かした。その後いくつかの微調整を経て、彼は大成功への道を歩み始める。
シルヴェスター・スタローンが、Netflix(ネットフリックス)で配信中のドキュメンタリー映画『スライ:スタローンの物語』で、自身が手がけた映画『ロッキー』をどのように構想したかについて語った。当初はもっと尖ったキャラクターだったロッキーが、友人のアドバイスをきっかけに愛すべきキャラクターになった経緯を明かしたのだ。
【動画】『スライ:スタローンの物語』予告編
初期のバージョンで、ロッキーはただの「チンピラ」として描かれていたが、脚本を目にした友人の言葉で今作の方向性が変わっていったとスタローンは明かす。
脚本を打ち込んでいたその女性は「ロッキーは残酷すぎて嫌い。彼は冷酷に人を痛めつける」と、泣きながらロッキーの冷酷さを責めたという。
これを受けたスタローンは、「人を痛めつけなかったらどうか」「彼に恋人がいればどうか」と友人に尋ね、友人は「ステキだわ」と答えた。それで脚本は完全に「フリダシ」に戻った。
恋人(エイドリアン)を脚本に加え、名作映画『波止場』や『ミーン・ストリート』の要素を混ぜ合わせた。しかし「戦わなければおもしろみのないただの男だ」と感じたスタローンは、「彼が格闘家になればすべてうまくいく」という結論に思い至る。こうしてボクサーのロッキーは誕生し、後に1億1700万ドル(約176億円)の興行収入を叩き出したのだ。
【動画】『ロッキー』予告編
ほかにも『スライ:スタローンの物語』では多くのエピソードが語られており、スタローンは『ロッキー IV/炎の友情』で命の危険を感じた経験も振り返っている。
同作のファイトシーンで彼はドルフ・ラングレンのパンチによって「心臓が壊れ、血圧が260に」達し、9日間入院することになりながらも「もう1ラウンド」と祈り続けたそうだ。
【動画】『ロッキー IV/炎の友情』予告編
『ロッキー』だけでなく『ランボー』、スタローンの家族の話や問題児だった少年時代、役者としての成功を信じて突き進んだ下積み時代の苦労など、多くのエピソードが明かされるドキュメンタリー映画『スライ:スタローンの物語』はNetflixで配信中。
シルヴェスター・スタローン本人だけでなく、クエンティン・タランティーノ、アーノルド・シュワルツェネッガーなどのインタビュー映像も盛り込まれ、当事者たちから見たスタローンの人生を振り返ることができる。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。