11月17日(金)から公開されたドキュメンタリー映画『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』について、驚くべき内容の一部と、この映画の大きな価値を紹介する。
ジョン・F・ケネディ大統領、そしてその暗殺事件について、何も聞いたことのない方はそう多くないだろう。
そしてその事件が“解決”扱いになっているものの、さまざまなウワサ、裏話、陰謀説がささやかれていることも、耳にしたことがある方が多いのではないか。
11月17日から日本公開となったドキュメンタリー映画『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』は、近年新たに米政府が公開したデータも含めた大量の情報をもとに、改めて事件と向き合った執念の1作だ。
【動画】『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』予告編
今作を手がけたオリヴァー・ストーン監督といえば、『プラトーン(1986)』や『スノーデン(2016)』、そして過去にもこの事件と全力で向き合った大作『JFK(1991)』が有名だ。
【動画】『JFK(1991)』予告編(英語)
執念と情熱が現代にもたらす“新証言”
『JFK(1991)』でもストーン監督は大統領暗殺事件の“解決”に疑問を呈しており、ウォーレン委員会の調査結果に疑問を抱いた地方検事ジム・ギャリソンによる独自の調査を描いた。
そんなストーン監督の情熱・執念は2021年製作の『JFK/新証言』でも30年前と変わることなく、真相の追求に全力を注いでいる。
たとえば、ケネディ大統領を撃ち抜いた「魔法の銃弾」についての疑問。果たして遠くで放たれた銃弾には、一発で2つの人体の複数箇所を破壊できるほどの威力があるのか。
たとえば、当初の監察医の発言と、報告書の大きな矛盾。破壊されていたという大統領の頭部が、報告書ではキレイになっているのはなぜか。
そんな興味深い“疑惑”の数々を、データや当事者の声を通してまとめたのが今作だ。
今作は、存在するだけで価値がある
今作にはインタビューなども含まれ、誰がどこまで正確に記憶し、真実をありのまま述べているのかを証明することは難しい。
しかし、少なくとも今作が示す“データ”と、それによって生じる疑問は“本物”であり、ストーン監督や証言者たちが感じる違和感、好奇心、真相・正義を求める心には大いに共感できるものになっている。
ケネディ大統領暗殺の“真実”がこの先明らかになるかはわからない。それでもこのような映画には、存在するだけで大いに価値がある。
このような作品の存在は、“政治家や権力者が情報を不当に操作すれば(したように見えれば)、自分の目で隅から隅までデータ・報告書をチェックし、真相を追及し、それを公に発表するほどの正義感・信念・行動力を持った人々が存在する”という証明になる。
軽はずみに事実をもみ消したり、情報を改ざんすれば、ここまでデータを掘り返される。そう権力者に思わせることが、不正に対する牽制(けんせい)になるはずだ。
執念と情熱を持ってストーン監督が集めた情報を映画としてまとめた『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』は11月17日より日本公開中。
作品公式サイト:https://www.star-ch.jp/jfk-shinshogen/
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。