12月15日からディズニー最新作『ウィッシュ』が全国ロードショー!
この記事では、ディズニー100周年を記念する今作に隠された25の小ネタ(トリビア)を紹介する。
『ウィッシュ』あらすじ
舞台は魔法の王国ロサス。国民は18歳になるとマグニフィコという王様に自分の「願い」を捧げ、その願いを忘れる。その願いのいくつかは儀式によって叶えられるが、なかなか叶えられない願いもある。
100歳の祖父を持つ少女アーシャは、マグニフィコ王の弟子になって祖父の願いを叶えてもらえる可能性を探るが、そこで国民に隠されていた真実を知ってしまう。
【動画】映画『ウィッシュ』予告編
ディズニー100周年記念作品
今作はディズニー100周年という節目に作られた作品だけあって、これまでのディズニー映画への愛を感じる、そして集大成を目指した作風だと感じられる作品になっている。
魔法と歌にあふれていたり、お城が出てきたり、動物が喋ったり、小さくかわいいマスコットがいたり、「ディズニーといえば」を詰め込んだ映画だ。
1. タイトル『Wish』
まずタイトル「Wish」は、ディズニー初期の作品である『白雪姫』『ピノキオ』の時代から人々に伝えてきた「願い」の力を語る、ディズニーらしいタイトル。
2. 古今織り交ぜた作画
作品の画風も手書きアニメとCG映像の両方を取り入れたような雰囲気に作られていて、古き良き作品から最近の作品まですべてへのリスペクトが込められた作品だと感じられる。
3. ロサス王国はどこにある?
舞台となるロサス王国については、監督が「明確にどこの国というモデルはない」としながら、参考にした地域を教えてくれている。スペインやポルトガルがあるイベリア半島、時代は12〜13世紀をモデルにしたそうで、「世界中の人々が集まってくる場所」というコンセプトから南ヨーロッパとアフリカの間にある地域にある島にしたそうだ。
【動画】劇中歌「ようこそ!ロサス王国へ(Welcome To Rosas)」
4. アーシャについて
主人公アーシャを演じたのは『ウエスト・サイド・ストーリー』『ザ・プロム』のアリアナ・デボーズ。アーシャというキャラクター像がハッキリする前からキャスティングが決まり、アーシャというキャラクター作りにはアリアナの人物像も大きく関わっているとのこと。
【動画】アリアナ・デボーズによる「This Wish」
ちなみにアーシャという名前はヘブライ語で「希望」という意味。
※ここからは内容に沿ってさらなる小ネタを紹介するため、話の展開に深く踏み込むわけではありませんが、一定のネタバレを含む点にご注意ください。
5. サバ
アーシャのおじいちゃんは「サバ/サビーノ」と呼ばれるが、これはヘブライ語でそのまま「おじいちゃん」という意味。
6. サバとウォルト・ディズニー・スタジオ
100歳を迎えるサバ(おじいちゃん)が歌で人々を楽しませることを願っているのは、歌で人々を楽しませてきたディズニーが100周年を迎えたことに重なる。
ロサス王国のオープニング
オープニングではロサス王国を讃える歌があるが、そこでもディズニーオマージュが大量。
7. 船のオブジェ
『トレジャー・プラネット』の船に似たオブジェがあったり、
【動画】『トレジャー・プラネット』予告編
8. 人形劇と竹馬
人形劇で物語を伝える様子や歩いている竹馬は『ノートルダムの鐘』を思わせるし、
【動画】『ノートルダムの鐘』予告編
9. 広場にお絵描き
広場の地面にお絵描きする様子では『塔の上のラプンツェル』のお絵描きを思い出させる。
【動画】『塔の上のラプンツェル』予告編
『白雪姫』も『ファンタジア』も…
10. 7人の仲間と7人の小人
アーシャの周りの仲間たちは7人で、その性格・特徴は『白雪姫』に登場する「7人の小人」に重なっている。英語での名前は頭文字も一致している。
【動画】『白雪姫』に登場する7人の小人
ダリア(Dahlia)はメガネをかけていて比較的みんなのリーダー格。7人の小人でいうと「先生(Doc)」に重なる。
ガーボ(Gabo)はいつもひねくれたことばかり言っているけど、なんだかんだ皆を思っているあたりが「おこりんぼ(Grumpy)」にそっくり。
いつも楽観的でエネルギッシュなハル(Hal)は「ごきげん(Happy)」担当。
花粉症気味のサフィ(Safi)は「くしゃみ(Sneezy)」。彼が分かりやすいのがきっかけで7人の小人がモデルだと気付ける人も多いだろう。
内気で声が小さいバジーマ(Bazeema)は「てれすけ(Bashful)」。
そして背が高くドジで耳がピクピク動くダリオ(Dario)が「おとぼけ(Dopey)」。
願いを手放してから無気力だというサイモン(Simon)はいつも眠そうで「ねぼすけ(Sleepy)」に似ている。
11. 「魔法使いの弟子」
アーシャは魔法を使う王マグニフィコの元に弟子入りしようとする。これはミッキーマウスと動くほうきでおなじみ、『ファンタジア』の「魔法使いの弟子」がモデルだろう。
【動画】『ファンタジア』プロモーション映像
12. ハチの群れ
アーシャが禁書に触ろうとして魔法で作られたハチの群れに襲われかけるのは『くまのプーさん』要素なのかもしれない。
【動画】ハチの巣へハチミツを取りに行くプーさん
13. ドレスのデザイン
ドレスを作ることを夢みる女性のシーンでは、『眠れる森の美女』オーロラ姫のドレスが登場。
【動画】『眠れる森の美女』予告編
森のシーン以降も小ネタだらけ!
14. 魔法使いのローブ
アーシャが木の棒で魔法を操れるようになった時の衣装は、『シンデレラ』のフェアリー・ゴッドマザーによく似ている。
【動画】『シンデレラ』「ビビディ・バビディ・ブー」
15. うさぎの仕草
うさぎが足をパタパタする仕草は、『バンビ』のとんすけ(Thumper)とそっくり。
16. 踊り出す花たち
花が踊り出すのを見ると、やっぱり思い出すのは『ふしぎの国のアリス』。
【動画】『ふしぎの国のアリス』予告編
17. バンビとジョン
森では鹿のバンビと熊のジョンが登場。バンビはもちろん『バンビ』が由来で、ジョンはおそらく『ロビン・フッド』に登場するクマのリトル・ジョンだろう。
【動画】『バンビ』予告編
18. 井戸
森には井戸もあり、『白雪姫』の“願いの井戸”を思い出す。
【動画】『白雪姫』願いの井戸のシーン
“願い”とマグニフィコ王
19. 壊れる「願い」
マグニフィコ王によって「願い」がどんどん壊れるシーンでは、「空を飛びたい」という『ピーター・パン』のような夢や、優秀なベビーシッターを望む『メリー・ポピンズ』のような夢が登場する。
【動画】『メリー・ポピンズ』予告編
20. 願いとランタン
「願い」が空に浮かんでいくのを舟から眺めるサバとお母さんの構図は、『塔の上のラプンツェル』のランタンのシーンによく似ている。
【動画】『塔の上のラプンツェル』ランタンのシーン
21. たくさんのヴィランをオマージュ?
マグニフィコ王が暴走する終盤、彼の魔法はこれまでの色々なヴィランを思い出させるような動きをする。煙のように広がる緑色はドクター・ファシリエ(『プリンセスと魔法のキス』)のようだし、下に向かって伸びていくところはアースラ(『リトル・マーメイド』)の足に似ている。そして国民を縛り付けた魔法はトゲに見えることから、マレフィセント(『眠れる森の美女』)をイメージしていそうだ。
【動画】『プリンセスと魔法のキス』ドクター・ファシリエ登場シーン
終盤・エンディング
22. 「動物の楽園」
エンディングシーンでバレンティノが「哺乳類が服を着て喋る楽園が作りたい」と発言するが、楽園が「ユートピア」と言われることからも、これは『ズートピア』を指しているだろう。
【動画】『ズートピア』予告編
23. ティンカー・ベルとミッキーマウス
最後にスターが弧を描いて飛んでいく飛び方はディズニーのロゴのティンカー・ベル(『ピーター・パン』)のオマージュ。
そして打ち上がる花火はミッキーマウスの形だ。
24. 「星に願いを」
今作のタイトル「Wish」にもふさわしく、最後にサバが歌うのは『ピノキオ』の有名な歌「星に願いを(When You Wish Upon a Star)」を歌っている。
【動画】『ピノキオ』予告編
25. エンドロール
エンドロールは歴代ディズニーアニメのキャラクターが次々に登場。ディズニーマニアは全部分かるかもしれないが、ダンボやプーさん、マレフィセントやスティッチ以外にも、人によっては知らなそうなキャラも大勢登場するため、ここで一部を紹介する。
背の高いおじさんは『イカボードとトード氏』のイカボード。
魔法使いのおじいさんは『王様の剣』のマーリン。
子犬と子狐は『きつねと猟犬』のトッドとコッパー。
探偵のようなネズミは『オリビアちゃんの大冒険』のバジル。
そのあとの猫は『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』のオリバー。
フラミンゴは『ファンタジア2000』の「動物の謝肉祭」パートに登場するキャラクター。
恐竜は『ダイナソー』のアラダー。
【動画】『ダイナソー』予告編
頭から羽のようなものが伸びた悪役は『ラマになった王様』のイズマ。
スティッチの後の好青年は『トレジャー・プラネット』の主人公ジム。
四角い牛は日本では劇場スルーされてしまった『ホーム・オン・ザ・レンジ』のマギー。
メガネの少年は『ルイスと未来泥棒』のルイス。
仮面の悪者は『ベイマックス』の歌舞伎男。一応ここで正体は伏せておく。
アメーバのような生物は『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』のスプラット。
【動画】『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』予告編
もう一つ、筆者ももまったく気づけなかった小ネタが、今作のクリス・バック&ファウン・ヴィーラスンソーン監督コンビへのインタビューで明かされている。
ぜひインタビューもチェックいただき、「難しすぎる隠れキャラ」探しにご挑戦いただきたい!
過去のディズニー映画へのリスペクトと、人々の願い・夢の力強さにあふれた『ウィッシュ』は12月15日から全国ロードショー!
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。