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【A24映画まとめ】U-NEXTの特集上映、特大ヒットホラー、賞レース注目の最新作まで、今後日本で公開予定のA24作品20本を一気に紹介[予告編付き]

A24祭りが始まる! COLUMNS
A24祭りが始まる!

この記事では、これから日本での公開が決まっているA24映画を20作紹介する。

近年、常に映画界の注目を集めている映画会社「A24」。今年のアカデミー賞では『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が作品賞を受賞したほか、『ザ・ホエール』『aftersun/アフターサン』『CLOSE/クロース』なども受賞・ノミネートを果たし、ホラー界でも『ミッドサマー』『Pearl パール』などが注目され、オリジナリティあふれる作品を世に送り続けてきたA24だが、今後も勢いは止まらない。

今回は、この12月以降に日本で公開が予定されているA24関連作品を、公開予定日順に20本紹介する。予告編と共に紹介するため、今後の映画選びの参考にしていただければ幸いだ。

1. 『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』12月22日公開

その“手”を握って「トーク・トゥ・ミー」と言うと、幽霊に取り憑かれる…不気味な“手”が印象的なホラー作品だ。

母を亡くし、父との関係がギクシャクしている孤独なミアは、若者の間で流行っている“#90秒憑依チャレンジ”で周囲が受け入れてくれたことをきっかけに、過激なチャレンジにのめり込んでいく。

これまで『ウィッチ』『ヘレディタリー』『ミッドサマー』『X』など名だたるホラーを残してきたA24だが、それらを抜いて“A24史上ナンバー1ヒットホラー”となったのが今作。YouTuberの双子という新進気鋭の監督コンビが送る映画がついに日本でも公開となる。

人間誰もが支えを必要としているけど、誰もが支えてもらえるわけではない。支えが欲しいのに支えがない、そんな時に「怪しい支え」が現れたら、私たちはそれにすがらず、冷静でいられるだろうか…。

追い詰められた人にしかわからない、追い詰められた際の制御不能な感覚。アルコールやドラッグのように“憑依チャレンジ”にのめり込んでいくミアの姿を通して、辛い時に頼るべきもの、頼ってはいけないものを考えさせるスリリングなホラー作品となっている。

2. 『ファースト・カウ』12月22日公開

舞台は西部開拓時代のオレゴン州。その場しのぎで生きてきた孤独な料理人クッキーが、孤独な中国人の男キング・ルーと出会い、意気投合してアメリカン・ドリームを追い求める。牛を見た2人は大胆な計画を思いつき、一攫千金を狙うが…?

今作は『ウェンディ&ルーシー』などで知られ、コアな映画ファンも多いケリー・ライカート監督の作品。

正攻法でのし上がれる可能性が限りなく0に近い2人が、ある反則に手を染める。ギリギリの生き方をしながら夢を追う2人の儚くも美しい友情物語だ。

ハープその他の弦楽器の音がとにかく心地よく広がる静謐な空気がA24感たっぷり。可愛らしい牛に癒されるのも魅力だろう。

A24の知られざる映画たち presented by U-NEXT

上記2本とは別に、11本のA24作品がU-NEXTによる「A24の知られざる映画たち」という特集で上映される。

3番〜13番の11作は、ヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほかにて4週間限定ロードショーを終えた後、2024年1月26日(金)よりU-NEXTにて独占配信となる予定だ。

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U-NEXTにて独占配信中![PR]

3. 『ショーイング・アップ 』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

何かと他人(や動物)に時間を奪われがちで、なかなか自分の作業に集中できない彫刻家をミシェル・ウィリアムズが演じた、これまたケリー・ライカート監督&A24による映画。

今回も監督の作風らしい「大きなことは何も起こらない日常」に面白みを見出す会話ドラマとなっており、リアルな生活感とコミュニケーションが魅力だ。

監督作品常連でもあるミシェル・ウィリアムズ(『グレイテスト・ショーマン』『フェイブルマンズ』)はさすがで、「なんとも不幸でうまくいかない普通の人」を見事な解像度で演じながら、その存在感で観客の目を奪う。(特に「なぜこんな時間を使わなければならないのか…」と思っていそうな時の彼女の表情は絶妙だ)

『ザ・ホエール』のホン・チャウや、『フェイブルマンズ』でもミシェルと共演したジャド・ハーシュなど、2023年アカデミー賞ノミネート俳優も揃った豪華な作品となっている。

4. 『エターナル・ドーター 』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

娘のジュリーと母ロザリンドが、ある薄暗いホテルにやってくる。ミステリアスなホテルで母を題材にした映画を撮ろうとするジュリーだが、母子のすれ違いが心を蝕んでいき…?

何かと複数の役を任されがちなティルダ・スウィントン(『オクジャ』『サスペリア(2018)』)が今作でも母子を一人二役で演じており、その存在感と、緊張感を煽る語り口には圧倒される。

ちなみにタイトルは変わっているものの、今作のジョアンナ・ホッグ監督の過去作『The Souvenir(原題)』『The Souvenir Part II(原題)』という二部作と関連した作品であるため、二部作が日本で観られないのは惜しいところ。

同二部作は監督の自伝的作品と言われており、そちらにも映画監督を目指す女性ジュリーと、母のロザリンドが登場するのだ。(二部作におけるジュリー役はティルダの実娘であるオナー・スウィントン・バーンが演じている)

その繋がりによって、『エターナル・ドーター』にも監督が自身の感情・人生観を重ねている可能性が高いことがわかる。おしゃれなホテルのセットで描かれる母と娘の物語を、じっくり楽しんでいただきたい。

5. 『ザ・ヒューマンズ』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

感謝祭で集まった親族が、家の中でひたすら会話を続ける。それぞれが過去や現在に悩みを抱える家族が、会話の中で居心地の悪さを感じたり、人生に向き合ったりする、舞台劇が基になったリアルな会話劇だ。

リチャード・ジェンキンス、エイミー・シューマー、ビーニー・フェルドスタイン、スティーヴン・ユァンと、あまりに豪華な実力派キャストが集まり、一つの建物で淡々と続く会話劇も飽きさせない空気感で成立させる。

罵倒されたり誰かが発狂することはないにもかかわらず、「会話で重く疲れる」という感覚を再現する秀逸な作品。自身が望んだり想定するようなリアクション・返答・解釈が相手から得られない会話が、これほどまでにメンタルに重くのしかかるとは…と実感させられる1作だ。

6. 『ゴッズ・クリーチャー』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

漁村の狭いコミュニティを舞台に、突然帰郷した青年とその母親、母親の勤務先の人々などをめぐる“偽りと罪悪感の物語”が展開する。しっとりした空気と、海岸の仄暗い映像がA24らしい1作。

ラース・フォン・トリアー監督作『奇跡の海』で知られるエミリー・ワトソンが、当時の面影を残したまま味のある中年俳優になっているほか、その息子役は「ノーマル・ピープル」『aftersun/アフターサン』のポール・メスカルが演じている。彼だからこそ出せる、若くして哀愁漂う空気感も印象に残る。

罪悪感によって際立つ、重苦しい閉塞感。先のないコミュニティと絶望感。動きはないが、伝えようとするメッセージの核は確実にある作品だ。

7. 『アース・ママ』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

児童養護施設に子どもがいて、さらに妊娠中のシングルマザーである主人公ジア。子どもたちと一緒に暮らしたい彼女は必死で働いたり周囲に思いを訴えたりと努力するが、なかなかことはうまくいかない…。シングルマザーの苦悩を美しい撮影で切り取った1作だ。

元オリンピック選手の監督によるデビュー作(さすがに才能豊かすぎて驚愕させられる)。

美しく心に染み渡る撮影には目が釘付けに。そして何より、深く重く、しかし温かさと希望にも満ちたタッチでシングルマザーに寄り添う物語には、しっとりした余韻が残る。

8. 『オール・ダート・ロード・テイスト・オブ・ソルト』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

今作はなんとアメリカでの公開に先駆けて日本公開となる。

大切な人の死と悲しみ、久々の再会、家族や友人の絆。言葉の少ない物語で描く、めぐる命と世界の物語だ。

もとは写真家だという監督による映像というのも納得の、“画になる”カットの長回しが印象的な1作。

動かないものや話さないものに意思・意味を読み取り、世界を素敵に切り取る視線。これこそ写真家のひとつの生き様であると感じるし、この世界で幸福度を保ち、愛情深く生きるための秘訣かもしれない。そんな姿勢を体現したような作品であるため、特段大きな動きがある物語でなくとも、今作は心に残るだろう。

9. 『ヴァル・キルマー/映画に人生を捧げた男』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

『トップガン』アイスマン役などで知られる名優ヴァル・キルマー。

自身の演技に強い信念・こだわりを持ち、「扱いづらい」ともされながら俳優人生を貫いてきたが、彼は咽頭がんとの闘病を経験することになる。そんな「映画に生きた俳優」ヴァル・キルマー人生を、本人および息子のナレーションで綴ったドキュメンタリー作品。

こうも信念とカリスマ性を持っていても病気になる時はなる。ままならない現実には胸を締めつけられるが、そういった苦境に立たされ、従来の声を失おうと、俳優ヴァル・キルマーの信念・生き様は変わらない。

「完璧主義でめんどくさい」「扱いづらい」と思われた事実はありながらも、A24やスタッフがこうしてドキュメンタリー映画を撮るほどの存在であり続けていることこそが、キルマーの力の何よりの証拠だろう。

10. 『ファニー・ページ』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

師匠の死をきっかけにカートゥーン作家を目指すことを決めた少年が、その下品でシュールな作風を周囲になかなか理解してもらえず悩みながら、さまざまな中年の大人達と交流していく様を描いたコメディドラマ。

コミックの本流とは言えない、“エロ・グロ・ナンセンス”(いわゆる“アングラ”)な漫画やイラストを生業にしようとする少年が主人公なので、なかなか華々しく成功するのは難しい。それでも、彼の「好きなことで成功したい」という情熱は人一倍だからこそ、観客は応援したくなるのだ。

しかし、彼の周りの大人も、友人も、驚くほどのクセ者ぞろいで事態は予測不能な方向に転んでばかり。“ファニーなページ”を担当しようとする少年や周囲の人々の、滑稽でシュールでドタバタな日々こそが、人生の“ファニーなページ”。そんな風に思わされる、A24感たっぷりの映画となっている。

11. 『ロー・タイド』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

不法侵入によって色々なものを盗み出して一攫千金を狙う少年4人組だが、その帰りに一行はバラバラに。その後の展開が仲間を引き裂いていく…。

『ザリガニの鳴くところ(2022)』も彷彿(ほうふつ)とさせるような、自然豊かな海辺のクライム・ストーリー。

タイトルである“Low Tide”には「干潮」だけでなく、「ドン底、最低点」という意味もあるそう。そのとおり、ダブルミーニングに解釈できそうな物語になっている。“ドン底”に見える自分たちによる行いや浅はかな判断が、さらに自分たちを追い詰める。ということは、初めの時点では“ドン底”ではなかったはずでは…?

『IT “それ”が見えたら、終わり。』のジェイデン・マーテルはさすがの演技を見せるし、危うい友人や“おバカキャラ”のように振る舞う友人など、周囲もそれぞれ印象的で、今後に期待を持たせる若手キャストがそろっている。

12. 『スライス』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

不気味な空気の漂う田舎町“キングフィッシャー”で、ピザの配達員が勤務中に殺される事件が発生。幽霊や狼男などの話もついてまわる町で、人々は不可解な事件の謎を解き明かそうと奔走しはじめる。

ツッコむのも野暮に思えるシュールでクレイジーなコメディ作品なので、笑いのツボに入ればずっとジワジワ笑ってしまう人もいるかもしれない。

今回の特集上映の中では唯一のホラーコメディ枠なので、アート系やしっとりしたドラマが多いなかで息抜きできる作品になりそうだ。

13. 『フォルス・ポジティブ』(「A24の知られざる映画たち」にて上映)

なかなか妊活の効果が出ない夫婦は不妊治療のため腕利きと評判の医者を頼るが、彼がなかなかうさんくさい。実際妊娠には成功するものの、その後の経過を見守る間も、医者がなんとも怪しく、主人公は妙な陰謀工作を感じてしまう…。

妊娠するのも出産するのも、「夫婦」ではなく「女性」一人だけ。なのに出産で褒められるのは夫婦そろってだったり、出産に関する意見でも男性の意見が優先されたり。男性と男性が手を取り合って男性を大事にする構図に「やってられるか!」と叫びたくなるような、女性には共感できる部分も多そうなスリラー映画だ。

少々テーマとズレた要素が入ってきたりもして個人的に疑問に思う部分もあるのだが、そのあたりも含めて議論を呼ぶ作品かもしれない。


以上11本がU-NEXTの特集上映で上映され、『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』『ファースト・カウ』と合わせて13本が一気に公開となる。“全部は観られない”という方はぜひこの記事も参考に、好みの映画を見つけていただければ幸いだ。

ここからは1月以降の上映作品。

14. 『僕らの世界が交わるまで』1月19日(金)公開

動画配信者として「そこそこ」の実績を持ちながら、家庭でも学校でも“何者でもない”青年ジギーと、そのマジメで世話焼きで“ちょっとめんどくさい”母親エヴリン。分かり合えない親子それぞれの物語を描く、ほっこりながらリアルなコメディドラマだ。

フィン・ウルフハード(「ストレンジャー・シングス」)とジュリアン・ムーア(『アリスのままで』)が親子を演じる今作、原題“When You Finish Saving the World”で、「あなたが世界を救い終わったら」といった意味になる。

今作はジェシー・アイゼンバーグ(『グランド・イリュージョン』『ビバリウム』)が初監督・脚本も手がけた作品。節々から“アイゼンバーグらしさ”も感じるように思う。

”ある場所では注目されていても結局世間では何でもない人”と、本当はそんな息子に世話を焼きたいが、なかなか思春期の彼とうまくコミュニケーションが取れずに居場所を模索する母親。コミカルな会話でクスっと笑わせながら、普遍的で等身大の、共感しやすい物語を見せてくれる。

15. 『ボーはおそれている』2月16日(金)公開

怖がりの男ボーはある日、さっきまで電話で話していた母が突然亡くなったと知る。母のもとへ駆けつけようと出かけたボーの外出は、現実離れした体験や不運で予想外な体験が重なる思いがけない旅になっていく…。

今作の原題は“Beau is Afraid(ボー イズ アフレイド)”。日本タイトルの通り、主人公ボー(Beau)が、様々なことを恐れ、不安に感じている。

読み方をそのままにスペルを変えると、“Boy’s Afraid(ボーイズ アフレイド)”とも読み替えられる。今作はホアキン・フェニックス演じる不幸な男性の姿を通して、これからを生きる男性たちの“恐れ”も描いているのかもしれない。

今作については、アリ・アスター監督来日イベントで監督が詳しく語ってくれたので、そちらもぜひ参考にしてほしい。

16. 『アイアンクロー』4月5日(金)公開

筆者も観ていないのでまだ情報は少ないが、最近日本公開日が発表されたばかりの1作。

日本でも“鉄の爪”の愛称で知られ、ジャイアント馬場やアントニオ猪木と戦ったアメリカの伝説的なプロレスラー、フリッツ・フォン・エリックを、身体を鍛え上げたザック・エフロンが演じる。

17. 『Priscilla(原題)』2024年4月公開

こちらも最近日本公開予定との発表があったばかりの作品。

エルヴィス・プレスリーの元妻プリシラ・プレスリーの自伝が基になっており、大スターと出会い、結婚し、出産し、そして別れた女性の物語をソフィア・コッポラ監督(『ヴァージン・スーサイズ』『マリー・アントワネット』)が描きあげる最新作。

18. 『The Zone of Interest(原題)』2024年公開

リアルタイムで賞レースで大注目を浴びている今作も、公開日は未発表ながら、ハピネットファントム・スタジオの配給による2024年の公開が予定されている。

ナチスとその家族の視点から見たアウシュヴィッツの物語ということで、かなり重厚なメッセージ性を持つ作品のようだ。

19.『Past Lives(原題)』日本公開予定(公開日未発表)

小学生時代、学年トップ2を争った韓国人男女の幼馴染。2人は惹かれあっていたが、少女は家族と共にニューヨークに渡ってしまう。20年が経ち大人になった2人は、同じくらいの時期にお互いを探していた。ビデオ通話で久々に見た幼馴染の顔にお互い笑顔で話し始めるが…?

あまりに美しい映像と、主人公たちに寄り添う優雅で優しいカメラの動きに見惚れてしまう、米韓共同製作のA24映画。A24史上でもトップクラスの傑作の1つで、批評家・観客両方からの支持率も高い作品だ。

ずっと頭の片隅にいた相手に突然触れてしまった2人の反応には、「監督の体験談をもとにしている」というだけあるリアリティが存在し、胸を締め付けられる思いで見入ってしまう。

公開日は未発表ながら、ハピネットファントム・スタジオの配給による公開が予定されている。

20. 『Dream Scenario(原題)』日本公開予定(公開日未発表)

“影が薄く消極的な大学教授のはずだった男性が、世界中の夢の中に登場していく”という独特のストーリーが、ニコラス・ケイジ主演で描かれる。

今作の日本公開日は未発表だが、クロックワークスによる配給作品であることが発表されている。

以上20作品が、これから日本で公開されることが決まっているA24作品となる。

どれもA24らしい個性的な魅力を持っているため、興味のある作品からどんどん楽しんでみてほしい!

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