アカデミー賞の前哨戦としても注目される「第81回ゴールデン・グローブ賞」が、現地時間1月7日に開催された(記事下部に主要部門の受賞結果一覧あり)。
注目候補の多い主演女優賞を勝ち取ったエマ・ストーン(主演作『哀れなるものたち』はコメディ/ミュージカル映画部門で作品賞も受賞)、2月に日本でも公開されるフランス映画『落下の解剖学』、コンサート映画大ヒットを受けて会場に現れたテイラー・スウィフトなどにも注目が集まる中、今回大きな脚光を浴びたのはクリストファー・ノーラン監督作品『オッペンハイマー』(2024年日本公開)だ。
今作については(ノーラン監督のスピーチを中心に)別記事を設けているが、悲願の監督賞を受賞したノーランだけでなく、主演男優賞、助演男優賞、作曲賞、そして最高賞である作品賞の5冠に輝いた。
日本にも嬉しい受賞が。宮崎駿監督によるスタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』がアニメ映画賞を受賞したのだ。この賞のノミネート作品は『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』『マイ・エレメント』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』といった強力なラインナップであったこともあり、なおさら嬉しい受賞だ。
“The Boy and the Heron” wins the #GoldenGlobe for Best Animated Picture. https://t.co/K18qOiK0Sj pic.twitter.com/40NJK12ok7
— Variety (@Variety) January 8, 2024
テレビ部門は各部門(ドラマシリーズ、コメディ/ミュージカルシリーズ、リミテッドシリーズ/テレビムービー)をそれぞれ1作ずつが席巻するような形となり、ドラマシリーズとして「メディア王 〜華麗なる一族〜」が、コメディシリーズとして「一流シェフのファミリーレストラン」が、リミテッドシリーズとしてNetflix(ネットフリックス)オリジナルドラマ「ビーフ 〜逆上〜」が、作品賞・主演男優賞・主演女優賞を(「メディア王」は助演男優賞も)総取りする形となった。
主要部門の受賞結果は以下の通り(★が受賞)
映画
ドラマ部門 作品賞
★『オッペンハイマー』(ユニバーサル)
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(Apple)
『マエストロ:その音楽と愛と』(Netflix)
『パスト ライブス/再会』(A24)
『The Zone of Interest(原題)』(A24)
『落下の解剖学』(NEON)
ドラマ部門 主演女優賞
アネット・ベニング『ナイアド ~その決意は海を越える~』
ケイリー・スピーニー『Priscilla(原題)』
キャリー・マリガン『マエストロ:その音楽と愛と』
グレタ・リー『パスト ライブス/再会』
★リリー・グラッドストーン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
サンドラ・フラー『落下の解剖学』
ドラマ部門 主演男優賞
アンドリュー・スコット『異人たち』
バリー・コーガン『Saltburn』
ブラッドリー・クーパー『マエストロ:その音楽と愛と』
★キリアン・マーフィー『オッペンハイマー』
コールマン・ドミンゴ『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』
レオナルド・ディカプリオ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
コメディ/ミュージカル部門 作品賞
『バービー』(ワーナー・ブラザース)
★『哀れなるものたち』(サーチライト)
『American Fiction(原題)』(Amazon/MGM)
『The Holdovers(原題)』(フォーカス)
『May December(原題)』(Netflix)
『AIR/エア』(Amazon/MGM)
コメディ/ミュージカル部門 主演女優賞
アルマ・ポウスティ『枯れ葉』
★エマ・ストーン『哀れなるものたち』
ファンテイジア・バリーノ『カラーパープル』
ジェニファー・ローレンス『マディのおしごと 恋の手ほどき始めます』
マーゴット・ロビー『バービー』
ナタリー・ポートマン『May December(原題)』
コメディ/ミュージカル部門 主演男優賞
ジェフリー・ライト『American Fiction(原題)』
ホアキン・フェニックス『ボーはおそれている』
マット・デイモン『AIR/エア』
ニコラス・ケイジ『ドリーム・シナリオ(原題)』
★ポール・ジアマッティ『The Holdovers(原題)』
ティモシー・シャラメ『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』
助演女優賞
★ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ『The Holdovers(原題)』
ダニエル・ブルックス『カラーパープル』
エミリー・ブラント『オッペンハイマー』
ジョディ・フォスター『ナイアド ~その決意は海を越える~』
ジュリアン・ムーア『May December(原題)』
ロザムンド・パイク『Saltburn』
助演男優賞
チャールズ・メルトン 『May December(原題)』
マーク・ラファロ 『哀れなるものたち』
ロバート・デ・ニーロ 『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
★ロバート・ダウニー・Jr 『オッペンハイマー』
ライアン・ゴズリング 『バービー』
ウィレム・デフォー 『哀れなるものたち』
監督賞
ブラッドリー・クーパー『マエストロ:その音楽と愛と』
セリーヌ・ソン『パスト ライブス/再会』
★クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』
グレタ・ガーウィグ『バービー』
マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
ヨルゴス・ランティモス『哀れなるものたち』
アニメ映画賞
『マイ・エレメント』(ピクサー)
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(ソニー)
『すずめの戸締まり』(東宝)
★『君たちはどう生きるか』(スタジオジブリ)
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(イルミネーション)
『ウィッシュ』(ディズニー)
外国語映画賞
★『落下の解剖学』(フランス)
『枯れ葉』(フィンランド)
『Io capitano(原題)』
『パスト・ライブス/再会』(韓国)
『雪山の絆』(スペイン)
『The Zone of Interest(原題)』(イギリス)
脚本賞
★ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ『落下の解剖学』
グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック『バービー』
エリック・ロス、マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』
セリーヌ・ソン『パスト・ライブス/再会』
トニー・マクナマラ『哀れなるものたち』
作曲賞
ロビー・ロバートソン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
★ルドヴィグ・ゴランソン『オッペンハイマー』
ジャースキン・フェンドリックス『哀れなるものたち』
ダニエル・ペンバートン『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
久石譲『君たちはどう生きるか』
ミカ・レヴィ『The Zone of Interest(原題)』
歌曲賞
「I’m Just Ken」『バービー』
「Dance the Night」『バービー』
★「What Was I Made for?」『バービー』
「Road to Freedom」『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』
「Addicted to Romance」『She Came to Me(原題)』
「Peaches」『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
興行成績賞
★『バービー』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング パート1』
『オッペンハイマー』
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
テレビ
ドラマ部門 作品賞
「1923」
★「メディア王 〜華麗なる一族〜」
「ザ・クラウン」
「ザ・ディプロマット」
「THE LAST OF US」
「ザ・モーニングショー」
ドラマ部門 主演女優賞
ベラ・ラムジー「THE LAST OF US」
エマ・ストーン「The Curse(原題)」
ヘレン・ミレン「1923」
イメルダ・スタウントン「ザ・クラウン」
ケリー・ラッセル「ザ・ディプロマット」
★サラ・スヌーク「メディア王 ~華麗なる一族~」
ドラマ部門 主演男優賞
ブライアン・コックス「メディア王 ~華麗なる一族~」
ドミニク・ウェスト「ザ・クラウン」
ゲイリー・オールドマン「窓際のスパイ」
ジェレミー・ストロング「メディア王 ~華麗なる一族~」
★キーラン・カルキン「メディア王 ~華麗なる一族~」
ペドロ・パスカル「THE LAST OF US」
コメディ/ミュージカル部門 作品賞
「アボット エレメンタリー」
「バリー」
「ジュリー・デューティ ~17日間の陪審員体験~」
「マーダーズ・イン・ビルディング」
「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」
★「一流シェフのファミリーレストラン」
コメディ/ミュージカル部門 主演女優賞
★アヨ・エデビリ「一流シェフのファミリーレストラン」
エル・ファニング「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」
ナターシャ・リオン「Poker Face(原題)」
キンタ・ブランソン「アボット エレメンタリー」
レイチェル・ブロズナハン「マーベラス・ミセス・メイゼル」
セレーナ・ゴメス「マーダーズ・イン・ビルディング」
コメディ/ミュージカル部門 主演男優賞
ビル・ヘイダー「バリー」
ジェイソン・シーゲル「シュリンキング 悩めるセラピスト」
ジェイソン・サダイキス「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」
★ジェレミー・アレン・ホワイト「一流シェフのファミリーレストラン」
マーティン・ショート「マーダーズ・イン・ビルディング」
スティーヴ・マーティン「マーダーズ・イン・ビルディング」
リミテッドシリーズ/テレビムービー部門 作品賞
「すべての見えない光」
★「BEEF/ビーフ ~逆上~」
「デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃」
「FARGO/ファーゴ」
「Fellow Travelers(原題)」
「レッスン in ケミストリー」
リミテッドシリーズ/テレビムービー部門 主演女優賞
★アリ・ウォン「BEEF/ビーフ ~逆上~」
ブリー・ラーソン「レッスン in ケミストリー」
エリザベス・オルセン「ラブ&デス」
ジュノー・テンプル「FARGO/ファーゴ」
レイチェル・ワイズ「戦慄の絆」
ライリー・キーオ「デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃」
リミテッドシリーズ/テレビムービー部門 主演男優賞
デヴィッド・オイェロウォ「Lawmen: Bass Reeves(原題)」
ジョン・ハム「FARGO/ファーゴ」
マット・ボマー「Fellow Travelers(原題)」
サム・クラフリン「デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃」
★スティーヴン・ユァン「BEEF/ビーフ ~逆上~」
ウディ・ハレルソン「ホワイトハウス・プラマーズ/米国政治の失墜を招いた男たち」
助演女優賞
アビー・エリオット「一流シェフのファミリーレストラン」
クリスティーナ・リッチ「イエロージャケッツ」
★エリザベス・デビッキ「ザ・クラウン」
ハンナ・ワディンガム「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」
J・スミス=キャメロン「メディア王 ~華麗なる一族~」
メリル・ストリープ「マーダーズ・イン・ビルディング」
助演男優賞
アラン・ラック「メディア王 ~華麗なる一族~」
アレクサンダー・スカルスガルド「メディア王 ~華麗なる一族~」
ビリー・クラダップ「ザ・モーニングショー」
エボン・モス=バクラック「一流シェフのファミリーレストラン」
ジェームズ・マースデン「ジュリー・デューティ ~17日間の陪審員体験~」
★マシュー・マクファディン「メディア王 ~華麗なる一族~」
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。