現地時間1月7日(金)に開催された第81回ゴールデン・グローブ賞にて、クリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』)が監督賞を受賞した。
過去に『メメント』『インセプション』『ダンケルク』でゴールデン・グローブ賞/アカデミー賞の両方にノミネートされるも受賞を逃し、ほかにも『ダークナイト』三部作、『インターステラー』『TENET テネット』といった話題作を生み出し続けながらも監督賞にたどり着くことがなかったこともあり、ファンからも「今度こそ」と期待の声が上がっていた悲願の受賞だ。
今回のゴールデン・グローブ監督賞にはほかにブラッドリー・クーパー(『マエストロ:その音楽と愛と』)、グレタ・ガーウィグ(『バービー』)、マーティン・スコセッシ(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)、セリーヌ・ソン(『パスト・ライブス/再会』)がノミネートされていた。
Christopher Nolan wins his first Golden Globe for Best Director of a Motion Picture for #Oppenheimer at the 2024 #GoldenGlobes pic.twitter.com/W6tNqgqtCb
— The Hollywood Reporter (@THR) January 8, 2024
「ありがとう、ゴールデン・グローブ」と感慨深そうな表情を見せたノーランは「以前このステージに立ったのは、親愛なる友人である(故)ヒース・レジャーの代理として立った1回きりだった。その事実は僕にとって複雑で困難なものだったよ」と過去を振り返る。
ノーランは同日に『オッペンハイマー』で助演男優賞を受賞したロバート・ダウニー・Jrについて触れ、「話の途中で詰まったとき、ロバート・ダウニー・Jrが僕の目を見て、愛と応援の視線を送ってくれた。今もその視線を送ってくれてるね」と、優しい目で見守るロバートとアイコンタクトを取った。
「もっとシンプルに自分のために賞を受け取れると思っていたけど、監督である僕は人々に代わってこの賞を受け入れるだけの存在だと気づいたよ」と謙虚な姿勢を見せるノーランは、「僕たち監督は、人々を集め、彼らにベストを尽くしてもらおうとする。(今回の場合は)ロバート、20年来の共犯者であるキリアン(・マーフィ)、マット(・デイモン)、フローレンス(・ピュー)、エミリー(・ブラント)そしてすばらしい仕事をしてくれた最高のスタッフたちにね」とそこにいる『オッペンハイマー』チームを見渡した。
ピューリッツァー賞受賞の小説「American Prometheus」の映画化である『オッペンハイマー』では、“原爆の父”の異名を持つJ・ロバート・オッペンハイマーをキリアン・マーフィが演じ、マーフィも今回のゴールデン・グローブ賞で主演男優賞(ドラマ映画部門)を受賞。大ヒットした今作は9億5100万ドル(約1373億円)の興行収入を叩き出し、2023年公開作で全米第3位となった。
今回のゴールデン・グローブ賞で『オッペンハイマー』は監督賞、主演男優賞、助演男優賞、作曲賞(ルドヴィグ・ゴランソン)、そして最高賞となる作品賞も受賞し5冠に輝いた。アカデミー賞でもこの勢いで快挙なるか、世間の注目が集まる。
【動画】『オッペンハイマー』予告編(英語)
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。