『バービー』監督のグレタ・ガーウィグと主演マーゴット・ロビーがアカデミー賞にノミネートされなかったことについて、共演者やヒラリー・クリントンが反応を示した。
2023年に世界的な大ヒットを記録した『バービー』は、ゴールデン・グローブ賞で作品賞にノミネートされたほか、監督賞にグレタ・ガーウィグが、主演女優賞にマーゴット・ロビーが、助演男優賞にライアン・ゴズリングがノミネートされ、さらに今回から新設された興行成績賞を受賞することとなった。よって当然それぞれがアカデミー賞へノミネートされることも期待された。
しかし結果的には作品賞、助演男優賞(ライアン・ゴズリング)、助演女優賞(アメリカ・フェレーラ)、脚色賞、美術賞、衣装デザイン賞、歌曲賞(2曲)の7部門8ノミネートと好成績は収めたものの、女性への応援歌という側面もあった『バービー』に最も大きく貢献したふたりの女性、グレタ・ガーウィグとマーゴット・ロビーが監督賞・主演女優賞にノミネートされなかったため、ソーシャルメディアでも少なからず落胆の声が多く上がった。
ヒラリー・クリントン「ふたりを何百万人が愛しているわ」
この件を受けて、25日、ヒラリー・クリントンがX(旧ツイッター)を更新。第96回アカデミー賞にノミネートされなかったグレタ・ガーウィグとマーゴット・ロビーの心境を思ったのか、Xへのポストを通じてふたりにエールを送った。
Greta & Margot,
While it can sting to win the box office but not take home the gold, your millions of fans love you.
You’re both so much more than Kenough.#HillaryBarbie
— Hillary Clinton (@HillaryClinton) January 24, 2024
「グレタ&マーゴットへ 興行収入で勝ってもトロフィーを持ち帰れないなんてつらいけど、何百万人ものファンがあなたたちを愛してるわ」と、愛をもってエールを送るクリントン。
続けてクリントンは「ふたりとも、Kenoughなんて言葉では足りないよ(※)」と劇中のセリフも引用しながらふたりを称賛した。
※Kenough:Kenとenoughをかけた造語。このポストでは“十分なんて言葉では足りないよ”との意味で使われている。
ちなみにハッシュタグでついている「HillaryBarbie」だが、実際にヒラリー・クリントンを模したバービー人形が作られているそうだ。
アメリカ・フェレーラ「マーゴットは女優という名の魔法使い」
助演女優賞にノミネートされた共演者アメリカ・フェレーラはVariety誌に対して、ノミネートからガーウィグとロビーが漏れたことについて「信じられないくらいがっかり」したと失望を語っている。
フェレーラはガーウィグについて「グレタは監督としてできることをすべてやり遂げた。(賞に)値するよ」「この世界を作り上げ、ほとんどの人にとって固有の価値が存在していなかったものをグローバルな社会現象にまで変えてみせた。その彼女がリストに入っていないのは残念よ」と無念を明かす。
ロビーについても彼女は「マーゴットが女優として達成したことは本当に信じられないよ。マーゴットが女優として成し遂げたことのひとつが、すべてをどれほど簡単そうに見せたかということ。人々は見かけどおり簡単な仕事だと思い込んでしまったのかもしれないけど、マーゴットはスクリーンにおいては女優という名の魔法使いなの。彼女が見事なパフォーマンスを引き出すのを目撃することができたことは私のキャリアの中での名誉だよ。彼女はキャラクターに心、ユーモア、深み、喜び、楽しさをもたらすの。私の辞書では、彼女は『マスター』だよ」と、簡単そうに見せてしまうロビーの技術こそが素晴らしい才能であると強調した。
ライアン・ゴズリング「失望しているなんて控えめな言い方では表現できない」
ケン役で助演男優賞にノミネートされたライアン・ゴズリングもふたりについて語っている。
「この映画に参加した誰もが、(ガーウィグとロビーの)才能・根性・天才性なしには何もできなかったはずだ。ふたりがそれぞれの部門にノミネートされなかったことについては『失望している』なんて控えめな言い方では表現できないよ」と深い失望を語るゴズリング。
「無機質で、布の表面積が小さく、ありがたいことに股間がスッキリしたいくつかの人形だけを使って、ふたりはみんなを笑わせ、みんなの心を締めつけ、カルチャーを前進させ、歴史を作った。ふたりの功績は他のノミニーたちと並べて認識されるべきだよ。…とは言わせてもらうけど、アメリカ・フェレーラや、この画期的な映画を作ることに貢献した他のすばらしいアーティストたち(がノミネートされたこと)に関しては僕はとても嬉しいよ」と、ふたりの選外には納得いかない様子を示しながら、他のノミネートされた『バービー』チームへの祝福も口にした。
シム・リウ「グレタとマーゴットこそがすべて」
ゴズリングとは別のケンを演じたシム・リウ(『シャン・チー/テン・リングスの伝説』)もXで次のように投稿。
Being involved in a small way gave me a window into just how hard Greta and Margot had to fight to get Barbie made, and how flawlessly they executed. Together they started a movement, touched the world and reinvigorated the cinema.
They deserve everything. They ARE everything.
— Simu Liu (@SimuLiu) January 24, 2024
「少し関わっただけでも、僕はグレタとマーゴットが『バービー』制作にどれだけ苦労したか、そしてふたりがどれほど完璧にこなしたかの一端を見ることができた。ふたりは一緒に動き出し、世界n触れ、映画を再活性化させたんだ。ふたりはすべて(の賞)に値するし、ふたりこそがすべてなんだよ」と、『バービー』で世界や映画業界に影響を与えたのはふたりだと強調している。
アカデミー賞の結果については、日本ではWOWOWにて、現地時間3月10日(日)に開催される「第96回アカデミー賞授賞式」を、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターより独占生中継。案内役のジョン・カビラ、宇垣美里とともに、スペシャルゲストとして中島健人(Sexy Zone)の出演も決まっている。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。