第66回グラミー賞(2024年)で最多のノミネートを獲得したシザ(SZA)が、グラミー賞授賞式でパフォーマンスを行い、最優秀R&B楽曲賞も受賞した。
パフォーマンスでは、黒いトレンチコートと広いつばの帽子を身に着け、2枚目のアルバム「SOS」からの大ヒット曲「Snooze」を歌いながら舞台に登場したシザ。舞台は、炎上するゴミ箱やゴミ収集ボックスであふれた裏路地をモチーフとしたステージだ。
【動画】同パフォーマンスを含むダイジェスト動画(英語)
歌の最後に男性ダンサーが影から現れ、シザに忍び寄る。彼女がそれをかわすと、映像は客席で日本刀を振り回す女性に切り替わった。楽曲は「Kill Bill」へ移る。女性はフィービー・ブリジャーズとヴィクトリア・モネが座るテーブルで刀を巧みに振り回した後、ダンサーたちの一団に加わると、スーツ姿の男性たちを刀で次々に切り伏せるアクションパフォーマンスを披露した。
これはクエンティン・タランティーノ監督の同名の映画『キル・ビル』にインスパイアされたパフォーマンス。映画は元恋人への復讐を描く内容で、この曲もシザの元恋人に向けたメッセージだ。
シザは同賞において、「Snooze」が年間最優秀R&B楽曲賞に選ばれると、ステージに向かって歓喜の叫び声を上げながらかけ上がり、トロフィーを授与するリゾに勢いよく抱きついていた。
【動画】シザ受賞の瞬間
感極まりながら関係者、家族や神にも感謝を捧げたシザは会場のテイラーに「Hi Taylor」と声をかけるなど、終始感動と幸福感いっぱいで舞い上がっていた。
シザは「SOS」の年間最優秀アルバム賞ノミネートを含む9部門の最多ノミネートで2024年のグラミー賞をリード。ヒットシングル「Kill Bill」の最優秀楽曲賞および最優秀レコード賞も含まれる。彼女は授賞式前にも、彼女はフィービー・ブリジャーズ(ボーイジーニアス)と共演した「Ghost in the Machine」で最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞、および「SOS」で最優秀プログレッシブR&Bアルバム賞を受賞している。
喜んでも舞い上がりすぎない冷静なスタンス
彼女は2023年11月にVariety誌の“今年のヒットメーカー”に選ばれた。同誌で彼女は「SOS」リリース後の人気上昇について振り返った。
彼女は、「今この瞬間に投資するのは賢明ではないとわかってる」「それが重要でないからではなく-私は(人気上昇)をとても喜んでいるけど、アーティストとして、そして人として自分自身に重要性を置かなきゃならないの。私は今回初めて人気を獲得したし、まさに同じ時期に否定的な反応が急増したのも知っている」と冷静に現状を分析し、喜んでも舞い上がりすぎないスタンスを見せていた。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。