ただのスパイ映画に飽きた人々、ただのアクション映画に飽きた人々、そして大画面で猫を愛でたい人に贈る、予想の斜め上を行くスパイアクションがやってくる。3月1日(金)公開の最新映画『ARGYLLE/アーガイル』だ。
映画『ARGYLLE/アーガイル』レビュー
映画『ARGYLLE/アーガイル』予告編
『ARGYLLE/アーガイル』あらすじ
凄腕エージェントのアーガイルが、謎のスパイ組織の正体に迫る大人気小説「アーガイル」。ハードなシリーズの作者エリー・コンウェイの素顔は、自宅で愛猫のアルフィーと過ごすのが至福の時という平和主義。だが、新作の物語が実在するスパイ組織の活動とまさかの一致でエリーの人生は大混乱に! 小説の続きをめぐって追われる身となった彼女の前に現れたのは、猫アレルギーのスパイ、エイダン。果たして、出会うはずのなかった二人と一匹の危険なミッションの行方は──?!(公式HPより)
『キングスマン』のマシュー・ヴォーン節、炸裂!
まず、今作を手がけた監督はマシュー・ヴォーン。『キック・アス』や『キングスマン』シリーズで世界中で人気を獲得してきた監督だ。今作はそんなヴォーン監督が“らしさ”全開で作り上げたスパイ映画となっている。
本格アクションと、“エレガントな悪ふざけ”
大人気映画『キングスマン』といえば、しびれるようなアクションが魅力のスパイ映画。さらに、『キングスマン』といえば、独特の“ポップな悪ふざけ”的ノリも特徴だ。しかし、どんなにクレイジーなことが起きても、どこか漂う“気品”は決して失わない。そのエレガントさもまた『キングスマン』の特徴だ。
しびれるアクション、独特のポップな悪ふざけ、エレガントな気品。それらの要素を、さらに突飛なストーリーに乗せた最高のスパイエンタメアクションが『ARGYLLE』だ。まさにマシュー・ヴォーン節が見事に炸裂した1作となっている。
独特のメタな設定と、読めないサプライズの大連射!
まず今作では、主人公エリーが描く物語と、現実の水面化で起きている出来事が一致していたことから“ただの作家”であるエリーに命の危険が迫るというコンセプトが中心となる。しかしヘンリー・カヴィル演じる“フィクションの登場人物”であるはずのエージェント・アーガイルがしばしば幻影として姿を現すなど、エリーに何が起きているのか混乱するような描写が多数あり、展開はなかなか読めない。小説の物語の映像もあれば、エリーがドタバタする現実の映像もある。
そんな、アーガイル柄のように現実と虚構が錯綜する物語。混乱するエリーの感覚に観客もシンクロさせられるような表現が、今作の大きな魅力だ。
そしてスパイ映画といえばサプライズ。今作にももちろん、サプライズが多く仕掛けられている。展開を予想して楽しむもよし、エリーと一緒に完全に振り回されるもよし!息もつかせぬ展開をぜひ堪能していただきたい。
猫のアルフィーにご注目!
そしてポスターでも予告編でも目立っているのが、猫のアルフィーだ。エリーが大切にする愛猫としてドタバタの旅に同行するアルフィー。そのキュートな姿には癒されること間違いなし。猫好きの方は、アルフィーの活躍にも注目だ。
豪華キャストがエレガントさに説得力を持たせる
そしてその“エレガント”さには、キャストのオーラが不可欠。今作には、優雅さにふさわしい豪華キャストがゴージャスな衣装とともに登場する。
ブライス・ダラス・ハワード×サム・ロックウェルのドタバタ感
まず今作のメインキャラクターは、作家のエリー(ブライス・ダラス・ハワード)と現実世界のスパイであるエイダン(サム・ロックウェル)だ。
“なんでもない一般人”と“何かを秘めていそうなオーラ”。その両方を併存させられるふたりだからこそ、このゴージャスながらクレイジーな映画の中心を担えているのだろう。振り回されながら必死で身を守るエリーと、ダメな雰囲気を出しながらも飄々とスパイをこなすエイダン。ふたりのキャラクターの良さが、独特の作風についていこうという気にさせてくれる。
独特の角刈りでもサマになってしまうヘンリー・カヴィル
続いてエリーが書く小説の主人公である“エージェント・アーガイル”。彼を演じたのは、DC映画『マン・オブ・スティール』『ジャスティス・リーグ』などでスーパーマンを演じたヘンリー・カヴィルだ。
小説や漫画の主人公には“特徴的な外見”がつきものだが、彼の特徴は風変わりな髪型。なんと“角刈り”スタイルだ。しかし、その風変わりな容貌にもかかわらず、ハンサムで紳士的、パーフェクトなスパイにしか見えなくなってくる。これがヘンリー・カヴィルの力だ。とはいえ、やはりその髪型や、“完璧すぎる”振る舞いはどこかシュール。“最高にキマっている”と同時に面白くもある、ヴォーン監督作品らしいキャラクターに仕上がっている。
有無を言わせない風格と、その肉体から繰り出される本格アクション。そしてチャーミングなコメディ風味。まさにエージェント・アーガイル役はヘンリー・カヴィルにこそ適役だと思わされた。
女優として参戦するポップスター! デュア・リパの圧倒的オーラ
そしてアーガイルと接触し、派手なダンスシーンを見せてくれる美女ルグランジェ。圧倒的なオーラを放つ彼女を演じたのは、世界的ポップスターであるデュア・リパだ。誰もが目を奪われるその存在感は、音楽シーンを牽引するスターならではのものだと感じさせられる。
2023年には『バービー』にも出演したデュア。そのエキゾチックな存在感で、今後は映画界でも活躍の場を広げていくのかもしれない。
そのほか豪華キャストが大量!
さらに大御所サミュエル・L・ジャクソン(アルフレッド・ソロモン役)、「ピースメイカー」のジョン・シナ(アーガイルの相棒ワイアット役)、『キングスマン』でもクールなアクションを見せたソフィア・ブテラ(サバ・アル=バドル役)、今作に楽曲提供(「Electric Energy」)もした『ウエスト・サイド・ストーリー』『ウィッシュ』のアリアナ・デボーズなど、エレガントな今作にふさわしい豪華なキャストが顔をそろえている。
レビューまとめ
『キック・アス』や『キングスマン』のマシュー・ヴォーン監督らしさ全開の、本格アクションとエレガントな気品、ポップな悪ふざけが併存したスパイ映画『ARGYLLE/アーガイル』。今作の魅力はまず、現実と虚構がアーガイル柄のように錯綜する物語。混乱する主人公を演じたブライス・ダラス・ハワード、普通に見えてやり手なスパイを演じたサム・ロックウェル、角刈りすら自分の物にするハンサム俳優ヘンリー・カヴィル、圧倒的なオーラを放つデュア・リパほか、豪華キャストがそのエレガントさを成立させた今作では、猫のアルフィーの可愛らしさにも注目だ。
そしてスパイ映画らしいサプライズもしっかり楽しめる。オリジナリティあふれるスパイエンタメアクション映画『ARGYLLE/アーガイル』は2024年3月1日(金)全国公開。
『ARGYLLE/アーガイル』作品情報
キャスト:ヘンリー・カヴィル、ブライス・ダラス・ハワード、サム・ロックウェル、ブライアン・クランストン、キャサリン・オハラ、デュア・リパ、アリアナ・デボーズ with ジョン・シナ and サミュエル・L・ジャクソン
監督:マシュー・ヴォーン
脚本:ジェイソン・フュークス
製作:マシュー・ヴォーン、アダム・ボーリング、ジェイソン・フュークス 、デヴィッド・リード
製作総指揮:アダム・フィッシュバック、ジギー・カマサ、カルロス・ペレス、クラウディア・ヴォーン
北米公開日:2月2日(金)
原題:Argylle
配給:東宝東和
© Universal Pictures
公式X:@universal_eiga/公式TikTok: @universal_eiga/公式Instagram: @universal_eiga
公式サイト
#映画アーガイル
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。