102歳のファッションアイコン、アイリス・アプフェルが死去した。
ビジネスウーマン、インテリアデザイナーのアイリス・アプフェル(102)が死去。奇抜なスタイルで知られるファッションアイコンでもあった。
フロリダ州パームビーチにある自宅で息を引き取ったアプフェル。金曜日、彼女の代理人であるロリ・セールが、ハリウッド・リポーター誌に彼女の死去を認めた。
「彼女の眼は凡庸なものを非凡に変える」
セールは声明で、「アイリス・アプフェルは非凡な存在でした」と振り返る。「彼女と一緒に仕事をできたことは一生の名誉です。彼女が毎日電話で『今日は何があるの?』と尋ねてきた恒例の質問がなくなると思うと寂しいです。この質問は、彼女の熱望は決して満たされることがないという証でした」と慣れたやり取りがなくなることを惜しんだ。
続けてセールは「彼女はあらゆる意味で革新的でした。彼女は鼻に乗せた独特の巨大なメガネで世界を見ました。そのレンズを通じて、彼女は世界を色の万華鏡、模様とプリントのキャンバスとして見たのです。彼女の芸術的な眼は凡庸なものを非凡なものに変え、非伝統的なものをエレガントなものと融合させる能力はまさに魔法のようでした」とアプフェルの功績を讃えた。
若くしてルールに縛られなかった
1921年8月29日にニューヨークのクイーンズで生まれたアプフェル。彼女は若くしてファッション界のルールを破る存在となり、実験的なスタイルを恐れないことを世に示した。後に、彼女はニューヨーク大学で美術史を学び、その後ウィスコンシン大学でアートを学んだ。
卒業後、彼女はWomen’s Wear Dailyに参加。同時にインテリアデザイナーのエリナー・ジョンソンのもとに従事し、デコレーションのスキルを磨いた。
世界で展示されるファッションアイコンに
アプフェルは1948年2月22日に夫であるカール・アプフェル(2015年没)と結婚。彼らはともにホワイトハウスの9つの修復プロジェクトに関わるなど、多くの冒険的なビジネスに取り組んだ。
そして1950年、彼女は自身の織物会社オールド・ワールド・ウィーバーズを設立。 彼女は夫とともに世界を旅し、新しい文化を探求。常にインスピレーションを求めた。
彼女の魅力的なコレクションは世界中で愛され、メトロポリタン美術館、ピーボディ・エセックス美術館など、世界中の展示会に展示された。
トミー・ヒルフィガーも追悼
彼女はキャリアを通じて、織物の専門家からインテリア・デザイナー、訪問教授、ファッションアイコン、ブランド・アンバサダーなど、さまざまな役割を果たした。2019年、97歳だった彼女はIMG Modelsと契約。その際にデザイナーのトミー・ヒルフィガーが彼女をエージェンシーに紹介したという。「とてもワクワクしたし、とても感謝してる」とアプフェルは喜んでいた。
ヒルフィガーは追悼文で、「アイリス・アプフェルは、芸術家としてだけでなく、インフルエンサーとしての彼女の信じられない才能によって、世界的なファッションアイコンになりました。彼女は出会う人々に対して非常に大きな心と魔法のような接し方を知っていて、多くの人に多大な影響を与えました。彼女は織物、スタイル、イノベーションの世界での革新者として歴史に名を刻むでしょう」と称賛した。
ドキュメンタリー映画化もされた
また、2014年にアプフェルを題材にしたドキュメンタリー映画も製作。アルバート・メイズルズ監督による『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』は日本でも上映された。今作は彼女がファッションアイコンの地位に至るまでの旅を追った内容となっている。
最近も、彼女は洗浄可能じゅうたんの会社Ruggableと協力してコレクションを発売。また、今年後半にリリースされる予定のアートブックにも取り組んでいた。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。