「ネバーエンディング・ストーリー」が再び映画化。今度はシリーズ物になるようだ。
1984年の映画版も有名な「ネバーエンディング・ストーリー」が再び映画化される。原作はドイツの作家ミヒャエル・エンデの同名のファンタジー小説。この企画はミヒャエル・エンデ・プロダクションとSee-Saw Filmsの間で結ばれた新たなパートナーシップによって進められるようだ。
数多くの名作を送り出したSee-Saw Films
See-Sawは2008年に設立。2011年にアカデミー作品賞を受賞した『英国王のスピーチ』で有名になった。さらにSee-Sawは、これまでにも文学作品を画面に適応させて評価されてきた。たとえば『LION ライオン 25年目のただいま』(2015)『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)のほか、ドラマシリーズ「ハートストッパー」なども手がけている会社だ。共同製作にはSee-Sawのレイン・カニングとエミール・シャーマン、ミヒャエル・エンデ・プロダクションズのローマン・ホックとラルフ・ガスマンが名を連ねている。
プロデューサーのレイン・カニングは過去を振り返り、「『ネバーエンディング・ストーリー』は、See-Sawのかなり初期の段階で行っていた会話を思い出させます。『英国王のスピーチ』以前に、私は『もっともプロデュースしたい映画』を尋ねられた。その時、私は本当に、本当ですよ。『ネバーエンディング・ストーリー』を手がけたいと言ったんです」と語る。See-Sawにとっては念願の企画だ。
【予告編】1984年版『ネバーエンディング・ストーリー』
「時代を超える不朽の名作」
「ネバーエンディング・ストーリー」は1979年に初版が出版。ドイツでベストセラーとなった後、45か国語に翻訳され、世界中で何百万部も販売された。引っ込み思案で想像力豊かな主人公の少年バスチアンが、いじめっ子から逃れる間に「ネバーエンディング・ストーリー」という不思議な本を発見し、英雄アトレイユと彼の使命である魔法の国ファンタスティカを救う物語にのめり込んでいくのだ。
カニングはVariety誌に対し、「この物語は時代を超える不朽の名作であり、いつだって新鮮な視点で語られるべきものです」と今作の魅力を語る。
続けて、「今作の特別な部分のひとつは、読者人生の異なる段階を振り返り、異なるさまざまな意味を見出すことができること。それゆえ、これは新たな視点によって新しいレイヤーや意味をもたらすすばらしい機会です。我々は、すべての世代の人々が、それぞれ自身のファンタスティカへの旅を与えられるべきだと信じています」と、観る人・観る時期によってそれぞれ得られるものも異なる多面的な体験をくれる今作の奥深さを説明した。
See-Saw Filmsは「クレイジーな冒険」を後押しする「適切なパートナー」
ミヒャエル・エンデ・プロダクションズで働くラルフ・ガスマンは、今作が「ここ数年間、多くのテレビ・映画企業からの非常に多くの関心を集めてきた」と明かす。
「数百ものリクエストを見て、その中から我々が一緒に船に飛び乗ってクレイジーな冒険に出ようと納得させられる潜在的なパートナーを探しました。しかし、我々はそれを正しく行い、適切なパートナーを見つけなければならないとわかっていました。幸運にもSee-Sawがその中に含まれていました」。そうガスマンはSee-Sawに出会えたことを喜んだ。
「『ネバーエンディング・ストーリー』はすべての物語の物語」
同じくミヒャエル・エンデ・プロダクションズのローマン・ホックは、今作について「我々は、息をするのと同じくらい物語を必要としています。物語は我々の内的世界にある性質を与え、その性質をもって我々の性質に関する決定も行われるのです。物語は世界をよりよくします」と熱弁。その上で「『ネバーエンディング・ストーリー』はすべての物語の物語なんです」と絶賛した。
まだSee-SawとMichael Ende Productionsは、映画化のためのクリエイティブチームや、配給会社については未決定。彼らは「今後、脚本家や監督と話し、彼らの物語に対する情熱を聞いていく必要があります」と、次のステップを明かしている。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。