テイラー・スウィフト11枚目のフルアルバム「The Tortured Poets Department」および同アルバムに15曲を追加した「〜:The Anthology」が4月19日(金)にリリースされた。
今回はアルバムの中から4曲目「Down Bad」(ダウン・バッド)に注目し、意訳・分析してみる。
テイラー・スウィフト「Down Bad」リリック・ビデオ
テイラー・スウィフト「Down Bad」意訳
Did you really beam me up
In a cloud of sparkling dust
Just to do experiments on?
Tell me I was the chosen one
Showed me that this world is bigger than us
Then sent me back where I came from
あなたは私をビームで浮かび上がらせて、
塵がキラキラ輝く雲の中に連れ去ったけど、
あれは本当にただ実験台にするだけのため?
私は選ばれし存在だったと言ってよ。
世界が私たちよりも大きいってことだけ私に見せて、
そして私を元の場所に送り返した。
For a moment, I knew cosmic love
一瞬だけ、宇宙的な愛を知ったよ。
※1
Now I’m down bad, cryin’ at the gym
Everything comes out teenage petulance
“Fuck it if I can’t have him”
“I might just die, it would make no difference”
Down bad, wakin’ up in blood
Starin’ at the sky, come back and pick me up
Fuck it if I can’t have us
I might just not get up, I might stay
今、私は絶望の淵。ジムで泣いている。
すべては思春期の苛立ちのよう。
「彼といられないならどうでもいい」
「死んだってかまわない、これじゃ死んでるのと変わらない」
絶望の淵で、血まみれで目が覚める。
空に向かって目を凝らす。戻ってきて私を拾ってよ。
彼と一緒じゃない未来なんてどうでもいい。
もう起き上がれないかもしれない。ずっとこのままかも。
Down bad
Fuck it if I can’t have him
Down bad
Fuck it if I can’t have him
絶望の淵で。
彼といられないならどうでもいい。
絶望の淵で。
彼といられないならどうでもいい。
Did you take all my old clothes
Just to leave me here, naked and alone
In a field in my same old town
That somehow seems so hollow now?
They’ll say I’m nuts if I talk about
The existence of you
私が着てた服、全部持って行ったの?
私は裸で一人きりで、見慣れた古ぼけた町の野原に置き去り?
なんだか本当に虚しい気分だよ。
あなたの存在について話しても、みんなは私がイかれたって言うんだろうね。
For a moment, I was heavenstruck
一瞬だけ、天の光に打たれたんだよ。
※1 繰り返し
※2
Down bad (Like I lost my twin)
Fuck it if I can’t have him (Down bad)
Down bad (Wavin’ at the ship)
Fuck it if I can’t have him
絶望の淵で(双子を失ったような気分)。
彼といられないならどうでもいい(絶望の淵で)。
絶望の淵で(宇宙船に手を振りながら)。
彼といられないならどうでもいい。
I loved your hostile takeovers
Encounters closer and closer
All your indecent exposures
How dare you say that it’s—
I’ll build you a fort on some planet
Where they can all understand it
How dare you think it’s romantic
Leaving me safe and stranded
‘Cause fuck it, I was in love
So fuck you if I can’t have us
‘Cause fuck it, I was in love
あなたのトゲのある支配的な部分も好きだった。
遭遇して、どんどん接近していって。
不適切な露出のしかたすらも全部。
よく言えたよね、そんな…。
どこかの惑星にあなたのための要塞を建ててあげる。
そこではみんなが理解してくれるんだよ。
こんなの本当にロマンチックだと思う?
私を安全なところに置き去りにするなんてさ。
だって、嫌になるけど、あなたを愛していた。
一緒にいられないあなたなんか、クソくらえ。
だって、嫌になるけど、あなたを愛していた。
※1 繰り返し
※2 繰り返し
Like I lost my twin
Fuck it if I can’t have him
Down bad (Wavin’ at the ship)
Fuck it if I can’t have him
双子を失ったような気分。
彼といられないならどうでもいい。
絶望の淵で(宇宙船に手を振りながら)。
彼といられないならどうでもいい。
“空に持ち上げるビーム”、“実験台”、“惑星”、“接近・遭遇(※)”など、UFOや宇宙人を思わせる言葉が多数あふれるこの楽曲だが、もちろん比喩であって、この歌詞にたとえられるような恋愛経験について歌っていると考えるのが自然だろう。
※接近=Close、遭遇=Encounter。スティーヴン・スピルバーグ監督のSF映画『未知との遭遇』の原題「Close Encounter」を思い起こさせる。
そして「But Daddy I Love Him」同様、この「Down Bad」が短期間の元恋人マシュー・ヒーリー(THE 1975)との恋愛について歌っていると予想するファンも多い。
「不適切な露出のしかた」といえば、たびたび物議を醸すマシューの公然での問題行動を指しているように思える。「But Daddy〜」には“ワイルドでカオスな恋人”が登場するが、この楽曲においても、相手は同じような人物に感じられる。
問題があっても、そんな相手を丸ごと愛していた。マシューとの短期間のワイルドな恋愛をテイラーが歌ったと解釈すると、とても腑に落ちる楽曲だ。
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Crala Bow
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。