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【北欧のおしゃれな生活感】心と体を癒すスローシネマ、映画『ヒューマン・ポジション』9月14日に日本公開決定-子猫が歩き回る家に流れる穏やかな時間、無気力だった主人公が“心の居場所”を見出していく[予告動画あり]

(C) Vesterhavet 2022 FILMS/TV SERIES
(C) Vesterhavet 2022

映画『ヒューマン・ポジション』が9月14日(土)より公開。

病気の療養から復職した新聞記者が、なにげない日常や社会との繋がりから心の居場所を見出してゆく、静かな癒しの映画『A Human Position』が、邦題を『ヒューマン・ポジション』として9月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開となることが決定した。

(C) Vesterhavet 2022

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【予告編】『ヒューマン・ポジション』

ノルウェーの哀愁漂う港町の新聞社。職場復帰した彼女は、どこかもの悲しくて、あてどない。

青くて、物悲しいノルウェーの長い夏。うっとりするような静けさの中、パステルカラーに包まれた港町の丘をゆっくりと登って振り返るアスタ。新聞社に勤める彼女は、地元のホッケーチーム、アールヌーボー建築を保存するための小さなデモやクルーズ船の景気など地元の人々を取材しニュースにする。彼女の支えとなるガールフレンドのライヴは、デザインチェアを修復し、キーボードを演奏し、作曲をする。子猫が歩きまわる家で、料理を作ったり、古い映画を観 たり、ボードゲームを楽しんだりと二人は穏やかな時間を過ごしている。

ある日、アスタは10年間ノルウェーに住み、働いてきた難民のアスランが強制送還されたという記事を目にする。その事件を調べて行くにつれ、アスタは自身を覆っていた無気力感を払拭し、仕事とプライベートの両方で自分が求める“心の居場所”を次第に見出していく…。

喪失感を抱えた主人公が人生のちいさな一歩を踏み出す、猫と優しさと静かな時間に満ち満ちたスローシネマ。

監督は、本作が長編2作目となるノルウェーが生んだ才能アンダース・エンブレム。フィヨルドに囲まれ、絵画のような色彩豊かな風景で「ノルウェーで最も 美しい街」と称される監督の故郷オーレスンを舞台に、写真集を捲るように優しく美しい筆致で、主人公の心の機微や日常を丁寧に描く。

繰り返されるショット、音楽の不在、削ぎ落とされた行間、街の音はもちろん呼吸音まで聞こえてきそうな長い静寂…。アスタとライヴを取り巻く環境を、カメラは空気をも映し出すかのようにゆったりと物語る。自身のインスピレーションの源としてロベール・ブレッソンと小津安二郎を挙げるエンブレム監督は、劇中でも『お茶漬けの味』のセリフを登場させ、その小津愛溢れる演出には誰もがニヤリとするだろう。また、もう一つの主役とも呼べる椅子への想いが、二人をより結びつけている。ある喪失感を抱えた主人公の日常をそっと見守る子猫も、名脇役として作品に貢献している。

主人公アスタを演じるのは、監督デビュー作『HURRY SLOWLY(原題)』に続いて再びタッグを組んだアマリエ・イプセン・ジェンセン。トラウマを抱える心の揺らぎや内に秘めた聡明さを、透明感を放ちながら抑制のきいた演技で表現。彼女に優しく寄り添うライヴ役にはマリア・アグマロ。そのコケティシュな仕草と歌声でほっこりと作品を彩る。

柔道着を着て、着物を着る。日本の映画を観て、囲碁を打つ。箸を使って食事をする。少しずつ描かれる二人の機微を愛でるように心静かに見守るプロセスは、観るものを心和む気持ちに導いてくれるだろう。窓越しの淡い新緑、葉のざわめき、風の通る木陰、船にぶつかる波の音、新聞のページを捲る音など、何気ない日々のスナップショットを並べたような描写と共に、柔らかな色彩に包まれたこの作品は、静かな佇まいで絵の具が乾くのを見るかのように進む。

何かを声高に叫ぶわけでもなく、世界で最も裕福な国の一つといわれるノルウェーに対する、微妙な疑問とメッセージをそっと囁くように投げかける。心拍数を安定させながら、心乱さず高揚させてくれる物語は、“語らずに語る”全てが愛おしいスローシネマだ。

スタッフ&キャスト情報

監督・脚本・編集:アンダース・エンブレム

1985 年、ノルウェー、オーレスン生まれ。オスロ大学映画学で学士号を取得する。映画の研究をしたり、世界中を旅行したり、ソー シャルワーカーとして働く。2018 年『HURRY SLOWLY』で監督デビュー。 舞台は美しい大自然が広がるノルウェーの西海岸。主人公 フィオナは弟と二人暮らし。毎日通う仕事場のフェリー、自閉症の弟の世話、趣味のアコースティックギターで奏でる音楽。静かで 淡々としたフィオナの夏の日常生活を描く。長編2作目となる本作品は、2022 年にノルウェーのトロムソ国際映画祭のオープニング 作品として上映される。その後、ロッテルダム、全州、ミュンヘン、サン セバスティアン、奈良、シカゴ、テッサロニキ、ゲント、トランシ ルバニアなどの国際映画祭が上映され評価を得る。

撮影:マイケル・マーク・ランハム

1997 年、ノルウェー、オスロ生まれ。2020 年国立映画学校で撮影監督として教育を受ける。 本作品がデビュー作で、それ以来、さまざまなミュージックビデオ、コマーシャル、テレビシリーズを制作してきた。 最近、デンマークの DR1 の Fatal Crossing がラップされる。

音楽:エイリク・スリニング・コルネス

1989 年、ノルウェー、オーレスン生まれ。 ミュージシャン兼ソフトウェア開発者。 アンダース・エンブレムとともに『HURRY SLOWLY』(2018)と本作品の両方で曲を書く。Payphones というガレージロック・バンドで活躍している。

<キャスト>

アマリエ・イプセン・ジェンセン(アスタ役)

1993 年、 ノルウェー、オーレスン生まれ。幼少の頃からから演技を習い、2017 年にノルド大学を俳優として卒業する。クラスの学 生たちと劇団フェイル・テーターを設立し、子供から大人まで楽しめる演劇・舞台で活躍。 劇場テアレット・ヴァールトと国立移動劇 場(リクステアレット)の舞台で主演を務めたほか、『HURRY SLOWLY』(2018 年)と本作品で主役を務めた。

マリア・アグマロ(ライヴ役)

1994 年、ノルウェー、オスロ生まれ。 オスロとトロムソの両方で育ち、2017 年にノルド大学を俳優として卒業した。アマリエ・イプセン・ジェンセンと同じく、劇団フェイル・テーターを設立し、演劇・舞台で成功を収めている。 まもなくNetflixの『真夏の夜』(2024) にも出演する予定。

作品情報

監督・脚本・編集:アンダース・エンブレム
撮影:マイケル・マーク・ランハム
音楽:エイリク・スリニング
製作:スティアン・スキャルタッド、アンダース・エンブレム
出演:アマリエ・イプセン・ジェンセン、マリア・アグマロ、ラース・ハルヴォー・アンドレアセン
原題:A Human Position
日本語字幕:西村美須寿
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション
配給:クレプスキュール フィルム
2022年/ノルウェー/ノルウェー語/カラー/ビスタ/78分
(C) Vesterhavet 2022

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