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【映画レビュー『クワイエット・プレイス:DAY 1』】映画館映えするスリル × 心に沁みる人生讃歌!? 期待以上にハイセンスなおしゃれ前日譚

©2024 PARAMOUNT PICTURES FILMS/TV SERIES
©2024 PARAMOUNT PICTURES

音を立てられない緊張感に、劇場が静まり返る…。あの人気ホラーシリーズの最新作にして1作目以前を描く前日譚『クワイエット・プレイス:DAY 1』が6月28日(金)から公開となる。

今作はシリーズファンの期待に応えながらも想像の斜め上を行くアプローチも見せる美しい1作だった。

レビュー『クワイエット・プレイス:DAY 1』

【予告編】『クワイエット・プレイス:DAY 1』

『クワイエット・プレイス:DAY 1』あらすじ

“音を立てたら即死”は、この日<DAY 1>始まった-

物語は、ひとつの家族を襲ったあの衝撃から471日前、世界が沈黙した日<DAY 1>へと遡る。音を立てるものすべてに襲い掛かる謎の生命体が突如として大都市・ニューヨークに襲来し、猫を抱えた1人の女性は、“即死度MAX”のサバイバルを余儀なくされる。果たしてこの街に生き残る術など存在するのか。この絶望に、彼女はどう立ち向かうのか。そして、“音を立ててはいけない”というルールに人類はいかに辿り着くのか。究極のサバイバルの先に、彼女たちが見たものとは…。

レビュー

大画面超推奨の“体感”型映画

「音を立てたら“即”即死」を謳う今作、「クワイエット・プレイス」シリーズらしく、冷や汗をかくような張り詰めた静けさと、激しく恐ろしい轟音の緩急で観客を振り回すフリーフォールのような魅力は健在だ。

そのため、今作は映画館で観てこそ完成する作品のひとつ。そこにいる人々全員が息を潜めた“本当の無音”の中で静寂の緊迫感を味わえるのも、クリーチャーの鳴き声や建物の破壊音を圧倒的な迫力で“体感”できるのも、まさに“映画館の醍醐味”だ。特にIMAXのようなラージフォーマットではその迫力もいっそう増すため、ぜひなるべく迫力のある環境で今作を楽しんでいただきたい。

©2024 PARAMOUNT PICTURES

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まさかの“沁みる人生讃歌”

そんな大迫力のアトラクション・ムービーといえる今作だが、意外だったのは、今作を観ながら思い浮かんだ映画が『ソウルフル・ワールド』や『PERFECT DAYS』といった“人生讃歌”系の映画だったこと。

主人公のサミラは余命宣告を受けて闘病中であり、人を寄せ付けないオーラを放っている。そんな彼女にもこの世を去るまでに叶えたい願いがあり、そのためにマンハッタンを訪れている。彼女の願いは人々からすればほんの小さな願いだが、先の短い彼女にとっては非常に重要な願い。そして、破壊された世界においてそんな“小さな幸せのありがたみ”は、病人の彼女だけでなく画面内の人々全員、そして観客全員が噛み締めることだろう。

作中では何度も“日常の痕跡”が映し出される。ボールの転がったバスケットコート、途中で放置されたチェス盤…なんでもない日常がいかに尊いものか、世界崩壊後に漂うノスタルジーを伴い、美しいカットが我々の心に訴えかける。

この映画は終わり方まで非常におしゃれで、ただ怖がらせ、楽しませるだけでない余韻を与えてくれるハイセンスな1作だった。(メタな視線で見ると、前日譚である都合上、主人公がもともと寿命を宣告されているキャラクターというのも秀逸な設定といえる。)

ドラマ性を支えるキャストたち

そんな強いドラマ性を支えたのは、たしかな実力を備えた豪華キャストたち。

主演は『それでも夜は明ける』でアカデミー助演女優賞も受賞しているルピタ・ニョンゴ。声を発せない時間がほとんどを占める今作では彼女の精緻な演技が非常に活きており、一見無愛想なだけにも見える彼女の愛や悲しみ、エリックとの出会いによる変化を深く楽しめた。

エリックを演じたジョセフ・クイン(「ストレンジャー・シングス」)もあまりに適役。エリックというキャラクターの臆病でどこか守ってあげたくなるような部分も、然るべき時に勇気を出す強さも、クインのキュートさとハンサムさを併せ持った顔立ちに強くマッチしていた。

ほかにも2作目でも登場したジャイモン・フンスー、『ヘレディタリー/継承』『オールド』のアレックス・ウルフ(ヒゲでずいぶん印象が変わっている)など、実力派が脇を固めており、それぞれ印象を残している。

猫のフロドに癒されよ

もちろん公開前から注目が集まっているのが、猫のフロドだ。音をすぐに立ててしまいそうな犬などは一切見当たらないのが悲しいが、歩くのも静かなフロドはなんとか生き延びている。常に主人公らと常に一緒に行動するフロドには、主人公らだけでなく観客も癒されること間違いなし。

とはいえ、いつ音を立ててしまうかわからないヒヤヒヤ感も当然与えてくれるため、フロドの存在はこの映画の最高のスパイスになっていた。

アトラクションムービーでありながら美しい撮影と脚本、たしかなキャストによって味わい深いドラマ性も加わった今作のおしゃれなエモーショナルさに、思わずエンドロールでは顔がほころんでしまった。『クワイエット・プレイス:DAY 1』は6月28日(金)公開。

作品情報


エグゼクティブプロデューサー:アリソン・シーガー、ヴィッキー・ディー・ロック
プロデューサー:マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、p.g.a.、ブラッド・フラー、ジョン・クラシンスキー
キャラクター創造:ブライアン・ウッズ、スコット・ベック
ストーリー:ジョン・クラシンスキー、マイケル・サルノスキ
監督・脚本:マイケル・サルノスキ
キャスト:ルピタ・ニョンゴ、ジョセフ・クイン、アレックス・ウルフ、ジャイモン・フンスー
©2024 PARAMOUNT PICTURES
公式サイト:https://quietplace.jp/
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#クワイエット・プレイス
#即死度MAXのDAY1

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