『デッドプール&ウルヴァリン』の冒頭40分ほどをレビュー。基本的にはネタバレに触れず、作品序盤の魅力と“予習がどの程度必要なのか”についてご紹介する。
本日7月2日(火)、『デッドプール&ウルヴァリン』の“フッテージ試写”が行われ、筆者は今作の冒頭40分ほどを目撃することができた。今作は「デッドプール」シリーズ最新作(第3作)にして、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品の最新作でもある。映画館での日本公開は、世界最速となる7月24日(水)だ。
今作ではライアン・レイノルズ演じるデッドプール/ウェイド・ウィルソンと、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリン/ローガンがついに共闘するということで、アメコミファン・映画ファンが心待ちにしている1作だ。
今回も“俺ちゃん”節が大炸裂!!
これまでも映画の常識に囚われないスタイルであらゆる壁を壊してきたお騒がせヒーロー、デッドプール。このシリーズは他のスーパーヒーロー映画に比べてもバイオレンス描写が派手で、発言も過激。それだけでなく、“第4の壁”と呼ばれる、物語の中と我々観客の世界の間にある壁すら飛び越え、観客にカメラ目線で話しかけたり、自身が映画のキャラクターであることを自覚したような話し口調も彼の特徴だ。
その型破りすぎる作風は、20世紀フォックスがディズニー社管轄になったことで、その作風が継続できるのかを危惧する声もあったが、作品を見てほっと安堵(?)した。彼の発言はしっかりお下品だし、血の吹き出しまくる派手な戦闘描写もこれまで通り。シリーズのファンもご安心(?)いただきたい。
冒頭からデッドプールらしいナレーションやシリーズファン爆笑必至のびっくり展開が続き、予告にもあったTVA(※)とデッドプールの出会いや、ヒュー・ジャックマン演じるローガン/ウルヴァリンとの“ダル絡み”も必見。ウルヴァリンが大好きな人も、『アベンジャーズ』などこれまでのMCU作品が大好きな人も楽しめる、まさに要素てんこ盛り、やりたい放題の1作であることが序盤だけでも体感できた。
予習する必要は?何を観ればいい?
「X-MEN」シリーズのスピンオフ的立ち位置にいる「デッドプール」シリーズと、膨大な作品数でおなじみのMCUがクロスオーバーする今作。映画ファンの中にも「ついていけるのだろうか」と不安な方も多いのではないか。
そこで今回は『デッドプール&ウルヴァリン』のための予習がどれほど必要なのか、どれだけ予習をすればどれだけ楽しめるのかを紹介する。
“予習0”の場合でもストーリーは楽しめる!
「忙しくて予習はできない!でも最新作は観たい!」という方、ご安心いただきたい。今作、まったく予習をしなくても本筋は大方楽しめそうだ。キャラクター設定やこれまでの物語についてはある程度作中で説明があるため、完全な置いてけぼりになることはない。
そもそも「デッドプール」シリーズはコメディが軸であるため、他のアクション映画にないようなセリフや展開、描写を楽しめるだけで作品は味わえるといえる。
とはいえ、最低限デッドプールやウルヴァリンがどのようなキャラクターなのかについては簡単に調べておくといいだろう。
なるべく予習した方がいい作品3選
「たくさんの映画をこなす余裕はない!でも少しなら予習できそう!」という方に観ていただきたい過去作を3つに絞るなら、映画『デッドプール2』『LOGAN/ローガン』、そしてドラマ「ロキ」のシーズン1だ。
レイノルズ演じるデッドプールというキャラクターについては今作の前作にあたる『デッドプール2』で、ジャックマン演じるウルヴァリンというキャラクターについては、不死身とされた彼の“最後の戦い”を描く『LOGAN/ローガン』で慣れ親しむことができる。
そして今作には予告のとおり、「TVA」こと「時間変異取締局」という組織が登場する。簡単にいえば“たくさん枝分かれするパラレルワールドが暴走しすぎないように管理している組織”といったものなのだが、このTVAが登場するのがドラマシリーズ「ロキ」なのだ。時間がなければ、ひとまず「ロキ」シーズン1の序盤だけ観て、TVAがどのような存在なのかだけ掴んでいただければ幸いだ。
もう少し時間がある方に手を伸ばしてほしい作品
上記を押さえていれば、最新作の大半は楽しめるといえるが、さらなる小ネタや設定も理解して味わいたいという方にはもう少し観ていただきたい作品がある。
まず『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』の2作。MCUのひとつの集大成といえる2作品で、この2作を観ればMCUの主要キャラクターが大体把握できる上に、『デッドプール&ウルヴァリン』がさらに楽しめるであろう2作だ。
次に『X-メン』(「X-MEN」シリーズの1作目)。前述の『LOGAN/ローガン』はウルヴァリン作品の中で最後の作品となっているが、こちらは彼の初登場作品。『LOGAN』ではウルヴァリンが老衰しているため、世間一般的にイメージの定着している“ウルヴァリンの活躍”を見るなら今作が最もわかりやすいはずだ。
そして「ロキ」のシーズン2。冒頭40分ほどではなんともいえないが、内容次第では「ロキ」を最後まで観ておいた方がいいという可能性は十分にあるため、余裕のある方には一気見を推奨したい。
ここまで観ておけば、よほどマニアックなセリフ以外はしっかり味わえると思われる。
もちろん『デッドプール2』を味わい尽くすなら1作目の『デッドプール』を観た方がいいし、『LOGAN/ローガン』を味わい尽くすなら「X-MEN」シリーズでウルヴァリンの活躍を追った方がいいし…と言い出せばキリはない。
ただ、最新作『デッドプール&ウルヴァリン』を映画館で観られる時間は有限であること、時間や体力を考えれば、誰でも大量の作品を観られるわけではないことから、予習を絞る必要もあるだろう。そういった際に、この推奨作品を参考にしていただければ幸いだ。
『デッドプール&ウルヴァリン』は7月24日(水)、世界最速にて日本公開。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。