『デッドプール&ウルヴァリン』の脚本を救ったのはヒュー・ジャックマンの提案とボイスメモであると、ライアン・レイノルズが明かした。
Variety誌のインタビューに、『デッドプール&ウルヴァリン』のライアン・レイノルズ(デッドプール役)、ヒュー・ジャックマン(ウルヴァリン役)、ショーン・レヴィ監督が登場。今作の製作経緯や今作にかけた思いを語った。その中で語られたのは、“ヒュー・ジャックマンが今作の実現にどれだけ貢献したか”ということだった。
ふとウルヴァリンに復帰したくなったヒュー・ジャックマン
ヒュー・ジャックマンはウルヴァリン役について「長い間恋しさは感じなかったけど、ある日ビーチへ向かう車の中で突然やりたいと感じた」と明かす。彼は「車を止めて、ライアン(・レイノルズ)に電話をしたんだ。彼は『本気か?』と言ってきたから、『本気だ』と伝えて電話を切ったよ」と当時の衝動的な電話を振り返る。
続けてジャックマンは「その後、エージェントに電話しようと思った。復帰について不安はまったくなかったけど、『LOGAN』には本当に満足していたから、みんなに『(ウルヴァリンが)存在するための良い理由を作らないとならない』と伝えたよ」と、ウルヴァリンの最期に満足していたからこそ、新たな作品を作る理由づくりを重視したと説明した。
ジャックマンの提案によって、「デッドプール」3作目が実現
ショーン・レヴィ監督は今作のストーリーについて、「数ヶ月間かけてストーリーを練り上げ、いくつかの興味深いアプローチも考えていたけど、うまくまとまらなかった。ヒュー(・ジャックマン)が参加した翌日には、映画の全貌が見えたよ」と、ジャックマンによって今作が完成したことを明かす。
ライアン・レイノルズは当時の状況を思い返し、「僕らには『なぜ』があった。ヒューが電話してきた時、ショーン(・レヴィ監督)と僕はZoomでマーベルに最後の提案をする段階にいたんだ。そこでプレゼンして、もし反応が悪ければ諦めるつもりだった」と説明。
しかしジャックマンの提案によって、状況は変わった。レヴィは「Zoomでファイギ(※)と話したとき、彼は『まだパッとしない』と言った。そこで我々は『実は新しいアイデアがある。ウルヴァリンについてどう思う?』と伝えることができたんだ」と、すばらしいタイミングでジャックマンの助け舟が入ったことを語った。
※マーベル・スタジオのトップ、ケヴィン・ファイギ。
ヒュー・ジャックマンのボイスメモがカギになった
レイノルズが「創作の過程を長々と話すつもりはないけど、ヒューが10分のボイスメモを送ってくれた時、それが一番大きなカギになったんだ」と明かし、レヴィ監督が「たしか17分くらいあったよ」と付け加えた。
レイノルズは「17分のボイスメモが送られてくるって、怖いだろ!『17分って?』ってなるよ」「やばいと思った」と当時の驚きを振り返り、「ポッドキャストの1エピソードみたいだ」というインタビュアーにレヴィも「本当にそうだった」と同意した。
レヴィは当時の詳細を「ライアンと僕は一緒にトレーニングしていて、その時にボイスメモが送られてきたんだ。『電話できなかったのか?』とか『文字に打てなかったのか?』と思ったよ。ヒューのボイスメモをBluetoothスピーカーに繋いで聞いたんだけど、ヒューは『スクリプトには満足しているけど、もっとあるんじゃないか』と話していたね」と語る。
レイノルズは「彼はどことなく曖昧なものに触れていて、そこから次々とひらめきが生まれていったんだ。だからさ、ヒュー、君は映画の脚本に大きく貢献したと言えるね。今作における君のキャラクター(ウルヴァリン)のお気に入りの部分は、そのボイスメモによって生まれたんだよ」とジャックマンを称賛した。
インタビュアーからボイスメモについて覚えているかと尋ねられたジャックマンは、「完全に覚えているよ、恥ずかしいな。たしか(ボイスメモの中で)『同じことを繰り返し話しているな…』とか言った気がする」と気恥ずかしそうな様子。
そこにジャックマンの17年来の親友であるレイノルズは「君は『まだ君たちが聞いてくれているなら…』とか言っていたね」と追い討ちをかける。
ジャックマンは当時ボイスメモという形を選んだことについて、「表現が拙かったね。演技講師から学んだんだけど、初めて台本を読んだときには、思ったこと全てを書き留めるんだ。その時の視点では二度と読むことができないからね。だからスクリプトを読んで、すぐにボイスメモを送ったんだよ。電話という形を取らなかったのは、質問されずに自分の意識の流れだけを記録したかったから。(17分間のうち)16分は無駄だけど、1分は使えるものがあったんじゃないかな」と説明している。
ライアン・レイノルズとショーン・レヴィ監督が企画を温め、ヒュー・ジャックマンの提案や提言が完成に導いた『デッドプール&ウルヴァリン』は、7月24日、世界最速にて日本公開。
作品情報
タイトル:『デッドプール&ウルヴァリン』
監督:ショーン・レヴィ(『フリー・ガイ』 『ナイト・ミュージアム』)
キャスト:ライアン・レイノルズ、ヒュー・ジャックマン
日本版声優:加瀬康之、山路和弘、林真里花、三上哲、一柳みる、忽那汐里、影平隆一、嶋村侑
原題:『DEADPOOL & WOLVERINE』
日本公開日:2024年7月24日(世界最速公開)
(c) 2024 20th Century Studios / (c) and ™ 2024 MARVEL.
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。