俳優のブライアン・コックスが、映画を取り巻く現状を「非常に悪い」と指摘、大作映画がその原因であると主張した。
土曜、HBOのドラマシリーズ「メディア王〜華麗なる一族〜」や映画『ゾディアック』『ジェーン・ドウの解剖』などで知られる俳優ブライアン。コックスが、エディンバラ国際映画祭で映画を取り巻く現状について語った。その状態は「非常に悪い」といい、原因はマーベルやDCコミックスを原作とした大作映画だと主張している。
「物語が失われつつある」
コックスは人気映画とテレビの現状について尋ねられ、「かつて映画が果たしていた役割を、テレビが担っているんだ」と述べた。「映画は非常に悪い状態にあると思う。マーベルやDCといった壮大な要素のせいで、映画はその立場を失ってしまったんだ。実際、崩壊し始めていると思うよ。物語が失われつつある」と、スーパーヒーロー映画を中心とする大作映画が、映画から物語性を失わせていると主張した。
コックスはさらに、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最新ヒット作『デッドプール&ウルヴァリン』を例に挙げ、スーパーヒーロー映画は「多くの利益を生んでいる」ものの、俳優としての視点から見た場合、コミック映画の数が増えると「仕事の質が薄まってしまう」と語った。
「特定の俳優にとってはこの種の作品をやる時間が、ただのパーティータイムになってしまったんだ」とコックスは言いました。「ヒュー・ジャックマンがもっと多くのことをできるのを知っていても、ライアン・レイノルズもね…彼らはあの道(ヒーロー映画の道)を進むし、興行収入は上がる。彼らは多くの金を稼いでいるんだ。非難することはできないよ」
実はウルヴァリンを生んだのは彼のキャラクター
2003年、コックスは20世紀フォックスの『X-MEN2』に出演、ウルヴァリンことローガンにアダマンチウムの骨格を与え、ウルヴァリンを創り出した狂信的な軍事科学者ウィリアム・ストライカー役を務めた。
コックスは、彼のキャラクターが「ウルヴァリンを創り出した」という事実を「しばしば」忘れてしまうと冗談めかして語った。「デッドプールが…ウルヴァリンに会ったけど、実はウルヴァリンは僕が創り出したんだ。でもそのことを忘れてしまっていたよ」とコックスは回想。「あれらの映画が上映されるとき、僕が演じたストライカーの一部がいつも映っているというのに、僕は一銭ももらってないんだよ」と嘆いていた。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。