クリス・プラットが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』のキャスティングについてこだわりを明かしたインタビューが再び話題になっている。
この記事には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』のネタバレを含みます。
ピーター・クイル(クリス・プラット)とエゴ(カート・ラッセル)
マーベルの映画シリーズ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の主人公といえば、“スター・ロード”を自称するアウトローであるピーター・クイル(クリス・プラット)。彼は12歳で宇宙に連れ去られているため、彼の地球の記憶は1980年代のものに限定されており、古いウォークマンで音楽を楽しみ続けていることでおなじみだ。
そんな彼は、第2作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』(2017)において、自身の出自に関する驚きの真実を知る。これまで自身が地球人であると考えていたピーターは、地球人の母親と、宇宙規模の神のような父親エゴ(カート・ラッセル)の間に誕生したことを知るのだ。
当初、クイルは自分が半神半人の存在だと知って喜び、キャッチボールや人生語りをとおして父親エゴを慕っていく。しかし、ピーターはエゴの真の目的を知り動揺することになる。その名のとおり自己中心的なエゴは、宇宙中の何千人もの女性を妊娠させ、自身の強力な子どもを作り、その子どもを使って宇宙全体での影響力を高めようとしていたのだ。
ピーター・クイルがカート・ラッセルを知らないわけがない!?
しかし、1980年のポップカルチャーが大好きなピーター・クイルは、当然俳優カート・ラッセルのことも知っていると考えられる。実際に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズでは、ケヴィン・ベーコンをはじめとする80年代に活躍していた有名俳優の名前が登場しており、クイルがラッセルだけ知らないということはないだろう。
2017年のGizmodo誌のインタビューで、プラットはエゴがカート・ラッセルの顔をしていることについて作中で触れるべきだったと主張している。
脚本・監督を務めたジェームズ・ガンは、カート・ラッセルが“カート・ラッセル”だと受け取られることを望まなかったが、プラットは「カート・ラッセルがスターではない世界線(パラレルワールド)」というアイデアを気に入り、ガンに何度もそれを提案したという。ガンは最後までそれを却下したようだ。
プラットは「ピーター・クイルならカート・ラッセルが誰か知っているはずだ…だから、カート・ラッセルが彼にとってスターではない世界を作らなければならないと考えたんだ。ピーター・クイルは生まれ育った地球の、その時代のテレビや映画のスターたちについて知っているはずだからね。僕はジェームズに何度も提案したよ。『僕は彼がカート・ラッセルだってことを知っているべきじゃないか』ってね。彼(ガン)は『いいから僕を信じろ。やめてくれ』って感じだったよ」と当時の議論を振り返っている。
仮に“カート・ラッセルが大スターでない世界線”が作られていたら、代わりに誰かが活躍している設定や、息子ワイアット・ラッセルがいない設定なども考えられていたのだろうか。
結果としては、エゴは単に“カート・ラッセルにそっくりなだけ”という結論に落ち着くしかないようだ。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。