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【映画レビュー『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』】カラフルで無機質、喜劇で悲劇-恋と音楽に彩られ狂気が増幅した、現代SNS社会を映すようなカオス【ジョーカー2】

(c) & TM DC (c) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. IMAX(R) is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories FILMS/TV SERIES
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ホアキン・フェニックス主演の衝撃作『ジョーカー』の続編が、レディー・ガガを共演に迎えてついに帰ってくる。10月11日(金)に日本公開となる“ジョーカー2”こと『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は、ある意味では前作にも増した驚きと混沌を与えてくれる1作だ。

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』予告編

レビューあらすじ

理不尽な世の中の代弁者として時代の寵児となったジョーカー。彼の前に突然現れた謎の女リーとともに、狂乱が世界へ伝播していく。孤独で心優しかった男の暴走の行方とは?誰もが一夜にして祭り上げられるこの世界-彼は悪のカリスマなのか、ただの人間なのか。ジョーカーは一体誰なのか?衝撃のラストに備えよ。

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レビュー本文

さらに人格が揺らぎ、混乱するアーサーの「劇」的イマジネーション

前作では過酷な日々の中、自分の内側で現実逃避を行っていたアーサー(ホアキン・フェニックス)だが、前作の事件により注目され、一挙手一投足が奇妙な影響力を持ってしまっている。そのため、今回のアーサーは自分の内側にあった世界観を外に広げようとしたり、広げざるを得なくなっていたりする節があり、それによって彼の人格・アイデンティティにさらなる揺らぎ・混乱が生じてしまっているのだ。

さらに、そこにアーサーの純粋な心を乱す“謎の女性リー”(レディー・ガガ)が現れることで彼は余計に判断力を失い、よりその脳内世界がより現実と乖離(かいり)していく。冒頭から傘の色で示される通り、現実(淡々としていて無機質)と妄想(ゴージャスでカラフル)の境界線はしばしば崩れ、妄想のレベルも前作とはケタ違いだ。

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ヒロイン役には圧倒的な存在感を放つレディー・ガガを加え、ところどころでその歌唱力を活かしたミュージカル的なエッセンスが加わったことで、その想像の世界の彩りには広がりが生まれ、さらなる「劇」色が見られるのも今作の特徴である。(ちなみに、劇中で引用・オマージュとして大きく取り上げられる映画は『バンド・ワゴン』(1953)。予習に鑑賞するなら今作をオススメしたい。)

“見てもらえる自分”になろうとする思考

勝手な“虚像”を作り上げて崇拝・妄信状態に陥り、勝手に盛り上がったり失望したりする大衆という構図は、芸能人・有名人のニュースやスキャンダルでもよく目にする。孤独な出自を持つアーサーがまんざらでもない様子なのがさらに良くない方向に向かわせているが、これは現代社会におけるタレントやインフルエンサーにもいえることではないだろうか。

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“ありのまま自分を見てもらう”のではなく、“見てもらえる自分になろうと無理する”という選択が、ほつれやストレス、トラブルを生み、負の連鎖につながっていく。奇妙な作風、誇張された作風ではあるものの、これは自分を無理に偽って持ち上げられることで精神を疲弊(ひへい)させている人々を見事に映した物語とも受け取れる。

あくまで“新解釈”をつらぬくジョーカー像

1作目でも、「知っているジョーカーじゃない」という声はあった『ジョーカー』。今回は前作以上に、DCコミックスのジョーカー像とは切り離して考えなければならないと強く感じる作品だ。

“ジョーカー”像を期待するだけ意味がなく、“そこに固執して観ると損”とすら思えるシリーズであるため、レディー・ガガが“謎の女性リー”として“新解釈キャラ”であることを大きく打ち出していることもあり、ジョーカーについても改めて“新解釈のオリジナルストーリー”であることを前提に楽しみたい作品だ。

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衝撃的な展開もある今作、できればネタバレを見てしまわないうちに、映画館で内容を確かめていただきたい。“ジョーカー2”こと『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は10月11日(金)日本公開。

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』作品情報

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タイトル:『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』
監督:トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ、ブレンダン・グリーソン、キャサリン・キーナー、ザジー・ビーツ
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:JOKERMOVIE.JP
#ジョーカー2
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