『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』で皇帝カラカラ役を演じたフレッド・ヘッキンジャーにインタビュー!
『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が11月15日(金)全国公開。今作が東京国際映画祭の「センターピース作品」として先行上映されたことを受け、キャスト&プロデューサー陣が来日した。今回tvgrooveでも複数の取材を実施。この記事では今作で皇帝カラカラ(双子の皇帝の弟)を演じた俳優フレッド・ヘッキンジャー氏とのインタビューを扱う。
- フレッド・ヘッキンジャー インタビュー
- 日本に来ていただき、ありがとうございます!日本に来るのは今回が初めてですか。
- 今回の来日で、思い出に残ったことや、これから楽しむ予定のことはありますか。
- 前作『グラディエーター』は映画史に残る伝説的な映画の一つですよね。そんな映画の待望の続編に出演した気分はいかがでしたか。
- 皇帝カラカラは、恐ろしいけど純真無垢な人物ですね。まるで虫をおもちゃにして楽しく遊んでしまう子どものような、無邪気さと残酷さを兼ね備えた部分が魅力的なキャラクターだと感じました。どのように役と向き合い、キャラクターを作り上げたのでしょうか。
- “双子の映画キャラクター”といえば、『ハリー・ポッター』シリーズのフレッド&ジョージ・ウィーズリーや、『ふしぎの国のアリス』のトゥイードル・ディー&ダムのように見た目も行動もそっくりで、同じ言葉を同時に発したりする“セット感”があることも多い気がします。しかしゲタとカラカラは、似た雰囲気をまといつつ、違う部分も多い双子ですよね。ふたりの似ている部分・似ていない部分についてはどのように考えていますか。
- 前作では、ホアキン・フェニックス演じる皇帝コモドゥスが非常に印象的なキャラクターでした。ゲタとカラカラは彼の後釜ともいえるポジションにいますが、演じるのにプレッシャーはありましたか。
- メインキャストの中では最も年齢の若いフレッドさんから見て、撮影現場の空気はいかがでしたか。
- デンゼル・ワシントン演じるマクリヌスは非常にミステリアスかつ恐ろしいキャラクターでした。文字通り“すぐ近く”で目撃したデンゼルの演技は、いかがでしたか。
- 今作ではデンゼルのほかにもたくさんの偉大な俳優たちと共演することになりましたが、特に刺激になった体験を教えていただけますか。
- コニーが引き続き登場することで、1作目と2作目のつながりはより強くなりましたよね。
- いつも一緒にいた猿のドンドゥスとの共演はいかがでしたか?
- カラカラ役として、目の前で複数のバトル・シーンを目撃したと思いますが、特に印象に残ったバトル・シーンはどこですか。
- “混沌の指揮者”(a chaos conductor)という呼び方、監督にぴったりですね。
- では最後に、この映画を観る日本のオーディエンスに一言メッセージをお願いします!
フレッド・ヘッキンジャー インタビュー
日本に来ていただき、ありがとうございます!日本に来るのは今回が初めてですか。
フレッド・ヘッキンジャー(以下「フレッド」):初めてだよ!日本にはずっと来たくて、やっと来れたんだ。帰りたくないな…。東京はすばらしい街だし、ここにいられてとても嬉しい。もっと日本を見て回れたらなと思うよ。
今回の来日で、思い出に残ったことや、これから楽しむ予定のことはありますか。
フレッド:ポール(主人公ルシアスを演じたポール・メスカル)と一緒にカラオケに行ったよ!たくさん歌って、最高に楽しかったな。それから、昨日はひたすら街を歩き回った。ゴージャスな場所がたくさんあって、すばらしい音質でレコードを流してくれる素敵なバーにも遊びに行ったよ。僕は日本映画も好きだから、映画で見たような街並みのディテールを眺めながら歩いているだけでも最高に楽しめるんだ。
前作『グラディエーター』は映画史に残る伝説的な映画の一つですよね。そんな映画の待望の続編に出演した気分はいかがでしたか。
フレッド:リドリー・スコット(監督)と一緒に仕事ができて、このすばらしい物語の登場人物として参加できたことが本当に光栄だよ。偉大なる1作目『グラディエーター』というすばらしいレガシーを活かせるのは、リドリーだけだよ。だって、彼がこだわりをもって描いた戦闘シーンは20年以上経った今でも圧倒的だからね。
皇帝カラカラは、恐ろしいけど純真無垢な人物ですね。まるで虫をおもちゃにして楽しく遊んでしまう子どものような、無邪気さと残酷さを兼ね備えた部分が魅力的なキャラクターだと感じました。どのように役と向き合い、キャラクターを作り上げたのでしょうか。
フレッド:そう言ってくれてありがとう。普段なら、演じるキャラクターとはひとりで向き合うんだ。でも今作で僕がコロセウムでカラカラを演じる時は、基本的に双子の兄(皇帝ゲタ)を演じたジョセフ・クインと一緒だった。だから今回は当然、ジョセフとの相互作用の中で、双子のキャラクターを作り上げる必要があったんだ。(カラカラとゲタは)独立したふたりのキャラクターだけど、互いの影響から逃れ得ないキャラクターでもあるからね。
フレッド:ジョセフと一緒にふたりのキャラクターを作り上げた経験はファンタスティックだったよ。僕らはコロセウムを思い浮かべながらやるべきことを考えたり、軽いリハーサルをしたりしながら、いくつもの夜を一緒に過ごしたんだ。
“双子の映画キャラクター”といえば、『ハリー・ポッター』シリーズのフレッド&ジョージ・ウィーズリーや、『ふしぎの国のアリス』のトゥイードル・ディー&ダムのように見た目も行動もそっくりで、同じ言葉を同時に発したりする“セット感”があることも多い気がします。しかしゲタとカラカラは、似た雰囲気をまといつつ、違う部分も多い双子ですよね。ふたりの似ている部分・似ていない部分についてはどのように考えていますか。
フレッド:ふたりともどこか欠けたところがある人物だとは思うけど、比較するとゲタは神経質で、すべてを管理したがる“支配的なキャラクター”。カラカラはワイルドで自由奔放で、自分の立場や状況すらもわかっていない危うさを備えた“支配されないキャラクター”といえるんじゃないかな。そんなふたりの化学反応が、時に爆発を生むんだ。
前作では、ホアキン・フェニックス演じる皇帝コモドゥスが非常に印象的なキャラクターでした。ゲタとカラカラは彼の後釜ともいえるポジションにいますが、演じるのにプレッシャーはありましたか。
フレッド:正直、僕はいつもプレッシャーを感じているよ(笑)
フレッド:もちろん今回も普段も僕が本当に演じたいと思う役を引き受けるんだけど、いざ演じる時になったら逃げ出したい気分になることもあるんだ(笑)そのキャラクターを演じられる高揚感と、本当に演じきれるのかという恐怖。そのふたつの感情でいっぱいになっているのが恒例だよ。
メインキャストの中では最も年齢の若いフレッドさんから見て、撮影現場の空気はいかがでしたか。
フレッド:すばらしい雰囲気だったよ。コロセウムの中にいる全員からワクワクしてエネルギーに満ちた空気を感じたし、その空気の一員としてそれぞれが活気づけ合っていたように思う。あのコミュニティの一部になれたという経験は本当にスペシャルだったな。
デンゼル・ワシントン演じるマクリヌスは非常にミステリアスかつ恐ろしいキャラクターでした。文字通り“すぐ近く”で目撃したデンゼルの演技は、いかがでしたか。
フレッド:デンゼルと一緒に演じたという体験は、永遠に僕の記憶に残るだろうね…。彼は最も偉大な俳優のひとり、真の演技マスターだ。同時に、彼とのすべての瞬間は楽しいものでもあったよ。
今作ではデンゼルのほかにもたくさんの偉大な俳優たちと共演することになりましたが、特に刺激になった体験を教えていただけますか。
フレッド:コニー(・ニールセン)は、デレク・ジャコビとともに1作目から続投となる貴重なキャストだっただけでなく、とても広い心をもって場をまとめてくれる本物のリーダーだったよ。コニーとは多くの時間をコロセウムのロイヤルボックスで一緒に過ごしたけど、彼女はそのすばらしい洞察を惜しみなくシェアしてくれたんだ。偉大なレガシーである1作目の続編を作るというプレッシャーや恐怖が常にあるなか、終始作品の細部まで気にかけてくれる彼女の存在は本当に大きかったし、すばらしい刺激をもらえたよ。
コニーが引き続き登場することで、1作目と2作目のつながりはより強くなりましたよね。
フレッド:うん。今作ではローマの秩序が崩壊しかけていて、社会はとても暗い時代を迎えているけど、コニーが演じるルッシラを見ていると、前作から今作への壮絶な時代の変化を経験してきた苦労が演技からも見て取れるんだ。彼女はまさにこの物語の中を生きていたよ。
いつも一緒にいた猿のドンドゥスとの共演はいかがでしたか?
フレッド:オスの子猿であるドンドゥスを演じたのはシェリーというメスの子猿なんだけど、なんと彼女にとって今作が初めての映画撮影だったんだ!僕は自分の演技と向き合うだけでなく、シェリーとの演技にも向き合う必要があった。ごはんをあげたり散歩したり、セットを一緒に回ったりしながら、お互いの信頼関係を築いていったよ。つまり、ポールがグラディエーター・トレーニングをしている間、僕はモンキー・トレーニングをしてたってわけ(笑)
カラカラ役として、目の前で複数のバトル・シーンを目撃したと思いますが、特に印象に残ったバトル・シーンはどこですか。
フレッド:(ルシアスたちが)サイと戦うシーンだね!そのシーンで、僕は初めて行うタイプの撮影に度肝を抜かれたんだ。本当にびっくりしたよ。
フレッド:普通ああいうアクションシーンは、いくつかの戦闘シーンやそれに対する他のキャラクターのリアクションをそれぞれ別で撮影して、それを編集でつなげて作り上げていくんだ。でもリドリー・スコットは混沌(カオス)の指揮者みたいな人だから、そうしなかった。彼は、物語のとおり本当に全部を同時に行い、同時に撮影すると決めていたんだ。大量のカメラが同時に撮影をしていて、僕がロイヤルボックスで演じている一方で、ポールたちはコロセウム内で戦いを演じている。そんな撮影が何回も行われたよ。
“混沌の指揮者”(a chaos conductor)という呼び方、監督にぴったりですね。
フレッド:本当にそう思うよ。彼はカオスを愛しているんだ。普通の映画ならやらないようなシチュエーションを満面の笑顔で生み出すんだ。そして、86歳にして衰えないすばらしいエネルギーと愛と芸術センスをもった最高の指揮官として、そのカオスをしっかり管理してしまう。一瞬一瞬を全力で楽しく生きながら、みんなをリードしてくれる人だよ。
では最後に、この映画を観る日本のオーディエンスに一言メッセージをお願いします!
フレッド:日本に来て、本当に感動させられたよ!ここに来ることをずっと夢見てきたからね。みんなと『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』を分かち合う時が待ち遠しい。僕を日本に来させてくれて、温かく歓迎してくれて本当にありがとう!
(インタビュー以上/取材・文:ヨダセア)
『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は11月15日(金)全国公開。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。