『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』が描く、家族関係の脆さとコミュニケーションの重要性とは…。
失業、キャリアの行き詰まり、冷え切った夫婦関係。さらに思春期に差し掛かった繊細な娘。一見、幸せそうに見える家族の裏に潜む、深刻な問題とは?そして、そこに漬け込まれてしまう恐怖の“おもてなし”…『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』が12月13日(金)全国公開となる。
本作は、ロンドン在住のアメリカ人一家、ベン(スクート・マクネイリー)とルイーズ(マッケンジー・デイヴィス)夫妻、そして娘のアグネス(アリックス・ウェスト・レフラー)が、旅先で知り合ったイギリス人一家の田舎にある自宅を訪れるところから始まる。
一見平凡に見えるこの家族には、実はベンとルイーズ夫妻が抱える深刻な問題が潜んでいた。今回はベンとルイーズ夫妻に焦点を当て、彼らが抱える夫婦問題と、それぞれのキャラクターの背景に迫る。
夫ベンが抱えた無力感と葛藤
夫のベンは、キャリアアップのためにロンドンへ移住したものの、会社の都合ですぐに解雇され、自己価値観と男性性の危機に直面している。中年期を迎えたが、かつて成功していた財務管理の仕事を失い、社会の出世競争から取り残された彼は、無力感に苛まれている。
監督のジェームズ・ワトキンスは、「ダルトン一家、特にベンは人生に疲れ果てている。少なくとも、彼らの人生は、毎日SNSから流れてくるような完璧な生活とは程遠いものだった。“アフルエンザ”とかつて呼ばれた、物質的には多くのものを持っているのに、精神的に苦しんでいる人たちのように、ベンは特に問題を抱えていた。自分の全盛期は過ぎ去り、自分を賞味期限切れのように感じているんだ」と彼の内なる悩みを説明。本作では、まるで現代人のアイデンティティーの葛藤を代弁しているかのようなキャラクターとして描かれる。
キャリアと家庭の板挟みに悩む妻ルイーズ
一方で妻のルイーズは、夫の仕事の都合でロンドンに引っ越した後、自身の広報の仕事を継続できずにいる。キャリアと家庭の板挟みに悩み、人生のあらゆる面で満たされていないと感じる彼女は、どう変われば良いのか分からずに途方に暮れている。また過保護で過干渉な性格のため、まもなく思春期を迎える娘のアグネスとの関係も、夫との関係同様に緊張感が漂っている。
そんなルイーズ役を演じたマッケンジー・デイヴィスは、「彼女は誰にも相談できず、理解されない多くの不安を抱えている。でも彼女がリスクを冒してそのことについて声を発そうとすると、彼女は叱責され、そうすることが恥ずかしいことだと感じさせられるの。特に女性にとっては身に覚えのある経験だと思う。自分の直感や、自分がどう見られているかという不安と常に折り合いをつけなければならない状況に身を置くことが多いと思うから」と彼女が女性ならではの悩みや葛藤を体現していると明かしている。
ぎくしゃくする家族関係と、想像を超える恐怖
自分の目標や自己を見失っているベンとルイーズは、それぞれが問題に向き合っている最中だが、お互いの心は離れるばかり。互いの本音をさらけ出せないままぎくしゃくし、その上失業中という状況が二人の緊張感をさらに深めている。
金銭的に困ってはいないものの辛い生活を送っている二人は、思春期に差しかかる繊細な娘の子育てにも悩みながら結婚生活を維持しているのだ。そうした心に秘めた苦しい思いを抱えている彼らは、旅行先で出会った魅力的なイギリス人一家に取り入られ、想像を絶する恐怖に直面することになる…。
一見普通に見える家族の裏に潜む深刻な問題と、それによって引き起こされる恐怖を描いた衝撃作『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』は12月13日(金)全国公開。ぜひ今作の恐怖を、劇場でご体感いただきたい。
作品情報
<STORY>
アメリカ人のベン一家は旅行中に意気投合したイギリス人のパトリック一家に自宅に招待され、週末を一緒に過ごすことに。楽しく滞在していたが、次第に一家の“おもてなし”に違和感を抱き始める。“異常な家族”のおもてなし“とは?そしてその裏に隠された、想像を絶する衝撃の真実とは…。
タイトル:『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』
原題:Speak No Evil
監督&脚本:ジェームズ・ワトキンス
製作:ジェイソン・ブラム、ポール・リッチー
製作総指揮:ベアトリス・セケイラ、ヤコブ・ヤレク、 クリスチャン・タフドルップ
出演:ジェームズ・マカヴォイ、マッケンジー・デイヴィス、アシュリン・フランチオージ、アリックス・ウェスト・レフラー、ダン・ハフ、スクート・マクネイリー
米公開:9月13日(金)
日本公開:12月13日(金)
配給:東宝東和
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映倫:PG12
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フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。