ディズニー最新作『モアナと伝説の海2』が12月6日(金)に日本公開となる。前作『モアナと伝説の海』に続くモアナの立場の変化・成長の過程を見せてくれる続編だ。
『モアナと伝説の海2』予告編
『モアナと伝説の海2』あらすじ
前作で壮大な冒険の末、故郷の島を救ったモアナ。あれから3年が経ち、モアナと島の人々は、かつては禁じられていた海へと冒険に繰り出す日々を送っていた。
妹・シメアも生まれ少し大人へと成長したモアナは、遥か彼方の海にいるという“仲間”を見つけるという夢を胸に冒険を続けていたが、探し求めていた”仲間”は誰一人として見つけられていなかった。そんなある日、島の友人が「恐ろしい嵐に隠された島があり、そこにたどりつけば呪いが解け、人々を取り戻すことができる」という古い言い伝えを見つける。その言葉に導かれるように、モアナは新たな旅へと出る決意をするが、その航海には二度と大切な家族と会えないかもしれない危険が待ち受けていた…。
モアナの葛藤と責任
今作で注目したいのはモアナの立場の変化だ。前作のモアナは自身の責任というよりは元からあった外界への興味や、慣れない航海での“世間知らず感”も目立っていたが、今回は“タウタイ”として人々を導く立場になり、
だからこそ仲間選びや旅路における判断・行動には「なぜこうなった?」と思わされるところも多いのだが、そこはまだモアナの能力がその責任に見合うほどではない中であがいているのだと解釈すべきかもしれない。
前作をなぞっている感の否めないパートや行き当たりばったりな展開も多い物語だが、プレッシャーを感じているモアナの葛藤が加わることで、前作とは異なる情緒の不安定さと、それを支える仲間たちという軸が確立されている。
仲間増加によるミュージカルパートの厚み
仲間たちといえば、ミュージカル(歌唱)パートにも大きな変化が起きた。
1作目では基本的に、海に出て以降は歌えるキャラクターがモアナとマウイのふたりしかいなかったし、ふたりが一緒に歌うこともなかったため、海底でタマトアが歌った「Shiny」も含めてほとんどの楽曲はソロ楽曲だった。
その点、今回は3人の新たなクルーがいるし、キャラクター同士でのコーラスも増えている。航海序盤で披露される「What Could Be Better Than This?」をはじめとして、コーラスによるハーモニーやテンポのよい掛け合いが行われる曲が増え、歌に厚みが増したのは今作の大きな魅力といえよう。
神話・英雄譚カラーの強化
新キャラ マタンギの「Get Lost」にどことなくゴスペル感が漂っていたり、マウイの楽曲「Can I Get A Chee Hoo?」のパートでは試練を乗り越えていく修行のような描写があったりと、今作を観ながらふと思い出すのはディズニーのアニメ映画『ヘラクレス』(1997年)だ。
今作では神がかった存在や伝説級の怪物が登場し、モアナの“選ばれし勇者”感もよりいっそう強調されている。前作からあった神話・英雄譚風の世界観が強まり、ロマンあふれる王道アドベンチャーものとしてファミリーで楽しめる仕上がりといえよう。
仲間を増やし、協力者を得ながら一難去ってはまた一難の予測不能な冒険を一歩一歩クリアしていく様子は、ファンタジーRPGなどが好きな観客にも刺さるかもしれない。もちろんそのエキサイティング体験は美麗かつ迫力のある映像によるものだ。
モアナが世間知らずの冒険お嬢から、責任感に揺れる新人リーダーとして、真のリーダーへの過渡期を見せてくれる、歌にも厚みを増した新たな英雄譚ミュージカル映画『モアナと伝説の海2』は12月6日(金)日本公開。迫力の映像と歌声に胸を躍らせていただきたい。
作品情報
タイトル:『モアナと伝説の海2』
原題:Moana2
監督:デイブ・デリック・ジュニア
音楽:アビゲイル・バーロウ、エミリー・ベアー、オペタイア・フォアイ、マーク・マンシーナ
日本版声優:屋比久知奈(モアナ)、尾上松也(マウイ)
全米公開日:11月27日
日本公開日:12月6日
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配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。