テイラー・スウィフトの「The Eras Tour」の公式回顧録「Eras Tour Book」(エラズ・ツアー・ブック)が発売された。
同書の日本語版リリースについてはまだ告知がされていないが、裏表紙に書かれたテイラーの真摯なメッセージは早くも世界中で話題になっている。
Taylor Swift teases a new chapter on the back cover of The Eras Tour Book:
“See you next era…” pic.twitter.com/XCGCX00Q1E
— Swift HQ (@SwiftUpdatesHQ) November 29, 2024
新規のファンにも最古参のファンにも敬意を
テイラーは裏表紙の挨拶を「『The Eras Tour』のコンセプトを、アイデアとしてチームに説明したときの電話は決して忘れません。当時私はアルバム『Midnights』に取り組んでいたので、いつも通りであれば、“Midnights Tour”の計画を進めたことでしょう。でも、私が一番嫌いなのは、いつも通りを繰り返すことです」と切り出し、壮大なツアーが生まれたきっかけを説明。
「私は『これを“The Eras Tour”と呼び、各アルバムにそれぞれの章、世界を持たせたいの』と言い、私自身が各“era”(時代)における音楽面、スタイリング面、アート面にフルで関わりたいと伝えました。それぞれ(のera)がタイムカプセルのように感じられるべきです。私は『もし正しく実現させれば、新規のファンにも最古参のファンにも敬意を表し、祝福することができる』と言いました」と、テイラーはすべてのファンに捧げるために作り上げられたこのツアーを回顧した。
新録と再録に挟まれて生まれた壮大な計画
「前作のツアーから6年が経ち、その6年間で、私のクリエイティブ面に多くの変化がありました。私は『Lover』『folklore』『evermore』、そして『Midnights』をリリースしました。一方で、元のレコード会社に売られた私の最初の6枚のアルバムを再レコーディングするという情熱を注いだプロジェクトも、優先事項でした。過去の楽曲を取り戻すなかで、私はそれらに再び恋をしたのです。過去の作品を再訪した経験により、それらの作品と、ファンが“Taylor’s Version”のアルバムで私にしてくれたことに敬意を表したいと思うようになりました。そして、新しいアルバムたちと再録アルバムたちが『どうしたら、これらすべての音楽をライブで演奏できるの?』というジレンマを生んだのです」と、新曲を生み出す作業と過去曲を振り返る作業に挟まれたテイラーの心境が、「The Eras Tour」につながったことを説明したテイラー。
続けてテイラーは「私は今までで最も長く、最も野心的なショーを作ることに決めました。平均して3時間15分、45曲を演奏するのです。私の目標は、そのショーを見終えたすべてのファンに、私が自分のすべてを捧げたと感じてもらうことでした。私は自分自身に約束しました。肉体的にも精神的にも、これまで以上にタフでいると。自分の健康、フィットネス、スタミナ管理にいっそう規律を持とうと専念しました。幸い、私の周りにはすばらしいクルー、バンド、シンガー、ダンサーがいて、皆がこの大規模で挑戦的なショーに身を捧げる私に応えてくれました」と、覚悟とそれに続く自分自身、そして周囲の献身的な努力を振り返った。
どんな時もショーを届ける理由
そして最後は「私たちはこの公演を、大雨の中、焼けつくような暑さの中、最も湿度の高い中、最狂の風の中、そして冷たい寒さの中で行いました。私たちは、風邪をひこうと疲れていようと、ケガをしていようともやり遂げました。心が折れている時だってやり遂げました。この舞台で幸せと驚きを作り上げるという貴重な機会を愛しているからこそ、私たちは公演をやります。コンサートに来てくれるためには時間、労力、お金、エネルギーが必要だと知っているからこそ、私たちは公演をやります。交換されたすべてのフレンドシップ・ブレスレットが新しい友達をつくる可能性を秘めているからこそ、私たちは公演をやります。そして、私たちが訪れるすべての都市で夢のような景色を描くことに成功したとき、どれほどの夢が芽生えるか想像もできないからこそ、私たちは公演をやります。人々がどれだけ過酷な人生から逃げる必要があるかを理解しているからこそ、私たちは公演をやります。そして、それが一夜限りでも彼らにとって生涯の名誉であることを知っているからこそ、私たちは公演をやります。そして、私たちはみんなこの壮大で恐ろしい人生でひとりぼっちだけど、他の80,000人の人々と一緒にキラキラ光るフェイスペイントをして同じ言葉を歌っているとき、なんだかひとりぼっちだとは感じなくなります。人生は波が寄せるように、それぞれのフェーズが来るように、すばらしいマジカルな瞬間のようにやってきて、それらすべてのものが一つになって…Eras(時代)を作り上げるからこそ、私たちは公演をやります」と、パフォーマンスをし続ける理由を、誠心誠意語る。
締めくくりとしてテイラーは「ここに、私の人生で最もすばらしいツアー、愛する『Eras Tour』の公式回顧録ができました。次のEraでお会いしましょう…」と、未来まで示してくれた。
フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。