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なぜビヨンセはグラミー賞主要部門で評価されないのか? 歴代最多受賞を誇るも主要部門受賞は1度だけ・・ 夫のジェイ・Zが不満を爆発させた過去も

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ビヨンセ (Grey82 / Shutterstock.com)

ビヨンセは、その卓越した才能と圧倒的なカリスマ性で音楽業界を牽引するスーパースターだ。これまでに音楽業界の最大の栄誉であるとされるグラミー賞を史上最多の32回受賞している。

2025年2月2日(米国時間)に開催される第67回グラミー賞でも最多となる11部門にノミネート。通算ノミネート数は99となり、こちらも史上最多記録を更新した。

今回ビヨンセが受けた11のノミネートのうち、いわゆる「主要部門」(年間最優秀レコード賞、年間最優秀アルバム賞、年間最優秀楽曲賞、最優秀新人賞)については、アルバム『COWBOY CARTER』年間最優秀アルバム賞にノミネート。リードシングル「TEXAS HOLD ‘EM」年間最優秀レコード賞年間最優秀楽曲賞にノミネート。受賞の期待が高まっている。

主要部門受賞は15年前に1回だけ

しかしこれまでの歴史を振り返ると、ビヨンセは何度も主要部門にノミネートされ受賞が有力視されながらも、ことごとく受賞を逃してきた。詳しく見ていこう。

ビヨンセは2025年までに通算で、年間最優秀レコード賞、年間最優秀アルバム賞、年間最優秀楽曲賞にそれぞれ5回ずつ、合計15回ノミネートされているが、受賞したのは2010年に「Single Ladies」で獲得した年間最優秀楽曲賞のみだ。(※2025年分の受賞結果は含まず)

主要部門の中でも特に注目されるのが年間最優秀アルバム賞だが、ビヨンセは過去5度ノミネートされたが一度も受賞はしていない。(※2025年の受賞結果は含まず)

ちなみにビヨンセがアルバム賞にノミネートされた年の受賞者は次のようになっている。

  • 2010年: ビヨンセ『I Am… Sasha Fierce』ノミネート / 受賞はテイラー・スウィフト『Fearless』
  • 2015年: ビヨンセ『Beyoncé』ノミネート / 受賞はベック『Morning Phase』
  • 2017年: ビヨンセ『Lemonade』ノミネート / 受賞はアデル『25』
  • 2023年: ビヨンセ『Renaissance』ノミネート / 受賞はハリー・スタイルズ『Harry’s House』

音楽業界最高峰のアワードだけに、いずれの年も手ごわい競合候補がいたことは確かだ。

今年最優秀アルバム賞を争うライバルは・・?

では2025年の候補はどうなっているだろうか?最優秀アルバム賞ノミネートは次のとおり。

  • アンドレ3000『New Blue Sun』
  • ビヨンセ『COWBOY CARTER』
  • サブリナ・カーペンター『Short n’ Sweet』
  • チャーリーXCX『BRAT』
  • ジェイコブ・コリアー『Djesse Vol. 4』
  • ビリー・アイリッシュ『HIT ME HARD AND SOFT』
  • チャペル・ローン『The Rise And Fall Of A Midwest Princess』
  • テイラー・スウィフト『THE TORTURED POETS DEPARTMENT』

一番の有力候補とされるテイラー・スウィフトは史上最高となる20億ドル超のチケット売り上げを記録した「THE ERA TOUR」を終えたばかりで勢いにのっている。彼女はビヨンセが一度も獲っていない最優秀アルバム賞をなんと4回も受賞している(史上最多)。

またビリー・アイリッシュは第62回グラミー賞(2020年)で年間最優秀楽曲賞、年間最優秀アルバム賞、年間最優秀レコード賞、最優秀新人賞の主要4部門をコンプリートしたことがまだ記憶に新しい。

ビヨンセの悲願達成の前には、今回も非常に手ごわいライバルたちが立ちはだかっている。ビヨンセがアルバム賞を受賞しても、他のアーティストが獲ってもおかしくはない状況だ。

夫ジェイZが不満をぶちまける

しかし音楽シーンに多大な影響を与え、グラミー賞での受賞数、ノミネート数がともに史上最多を誇るビヨンセが、たった一度も年間最優秀アルバム賞を獲れていないことを疑問視する声は事あるごとに大きくなってきている。昨年、彼女の一番の身内が公に声を上げる一幕があった。

2024年2月に開催された第66回グラミー賞授賞式でのこと。ビヨンセの夫であるラッパーで音楽プロデューサーのジェイ・Z(Jay-Z)は「ドクター・ドレー・グローバル・インパクト賞」を受賞し、スピーチのため壇上に上がった。

ジェイ・Zは、グラミー賞の評価システムが正しく機能していないことがあることを指摘。その流れの中で、次のように続けた。

この若い女性に恥をかかせるつもりはないですが、彼女は誰よりも多くのグラミー賞を受賞しながら、年間最優秀アルバム賞を一度も受賞していません。つまり、あなたたち自身の基準に照らしても、それは理にかなっていません。考えてみてください。最も多くのグラミー賞を受賞していながら、年間最優秀アルバム賞を受賞していない。それはおかしいですよね

ジェイ・Zはビヨンセの名前こそ出さなかったが、「若い女性」はもちろんビヨンセのことを指していて、彼女にアルバム賞を受賞させないグラミー賞の評価システムを痛烈に批判したわけだ。

このジェイ・Zの発言は音楽業界やファンの間で大きな話題となった。彼の発言は、グラミー賞の選考過程や評価基準に対する疑問を投げかけ、そのプロセスの透明性や公平性を求める声も高まっている。

もちろんグラミー賞を主宰するレコーディング・アカデミーも無策ではない。伝統的にグラミー賞では白人アーティストや男性アーティストが優遇されているという批判があり、どうやって公平な評価を行うかについては長年にわたり議論と改革がおこなわれてきた。その一環として、選考プロセスの透明化、選考メンバーの多様化、新カテゴリーの設置など様々な試みが行われてきたのだ。

注目の第67回グラミー賞授賞式はいつ?

それでも万人が納得する評価というのは、なかなか難しいのかもしれないが、少なくともビヨンセのような素晴らしいアーティストが惜しみない評価と称賛を受けるようなアワードであってほしいものだ。

注目の第67回グラミー賞授賞式は米国時間2025年2月2日、ロサンゼルスのクリプト・ドット・コム・アリーナで開催される。

日本ではWOWOWが授賞式の模様を独占生中継で放送・配信。生中継(二カ国語版・同時通訳)は2月3日午前9時から、字幕版は同日午後10時から放送・配信される予定。

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